読み終わったミステリについてコメント。でも最近は脇道にそれぎみ。 このブログは水樹奈々さんを応援しています。

笠井潔「転生の魔 私立探偵飛鳥井の事件簿」 

転生の魔 私立探偵飛鳥井の事件簿転生の魔 私立探偵飛鳥井の事件簿
2017/10/11
笠井潔

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★★★★☆



 【内容紹介】

 43年前、二重密室から消えた幻の女が、当時とまったく同じ容姿のまま、国会前でデモをする群衆の中にいた? 謎の女「ジン」の捜索依頼を受けた私立探偵飛鳥井は過去の消失事件の関係者を探るうちに、現代日本の病巣と密接につながった忌まわしき犯罪の存在に気づく。本格ミステリ+ハードボイルド+社会問題がクロスする「本格私立探偵小説」の傑作巨編! 私立探偵飛鳥井シリーズ、待望の復活!!




 私立探偵飛鳥井シリーズ再起動です。シリーズは完結していなかったようで、前作の『魔』から実に14年ぶりの新作となるようです。ことに長編となると第一作の『三匹の猿』以来の2作目です。
 この14年の歳月は無為に過ぎ去ったものではありません。14年の間に日本、及び世界では様々な事件が起きましたが、本物語で強く描かれているのは、安保法案成立の件です。そしてそこから翻るかたちで9.11同時多発テロとイラク戦争後へも矛先が向かい、さらには時計の針を戻すかたちで、1970年代の新左翼の学生運動へと物語は時を遡っていきます。時代が時代なので、当時の学生運動なんかは、わたしにとっては全く別世界の話にしか聞こえないのですが、わたしのように、時代が違う、関係ない人たちの話、と一歩引いたところから見ている人間を、そうとばかりは言えないよ、と引きずりこんでしまう魅力があるのが本書です。
 ひとりの女性が43年前のそのままの姿でデモ行進の群衆の中に現れる、というミステリの謎は、過去と現在をリンクさせる構図という点で絵的に美しいです。まさに過去の繰り返しだと言わんばかりの現代日本を取り巻く情勢、そしてその中を生きる「あなたは変わらないで」と本書で再三繰り返されれる言葉に象徴される革命家によって、ミステリと物語が美しく一本に貫かれます。
 証言ひとつで覆ってしまう二重密室のトリックは、それのみを抽出すると上級クラスのトリックでは無いと思うのですが、密室内からの個人の消失を、大量死(テロ)を招く革命家連中の中で描いてみせているのは作者らしいところかもしれません。それを考えると、空虚なる転落死の真相には含意がありそうで、表面的には大量死とは真逆の位置にある個人の死が、テロなりトリックなりによって人の命を奪うことそれ自体が目的で無い点で、実は近しい関係にあるのではないか、という点にはハッとさせられます。

 当時の全共闘運動や最近の安保法案可決の影になった暗がりの中、オタク文化や引きこもり、失われた20年などといった社会問題(オタク文化は違うけど)なども本作には盛り込まれていて、まさに時勢を映した物語といえます。本格ミステリという側面はもちろん、社会派推理としても面白く読めます。
 後半部分では主人公の飛鳥井が、契約の切れた依頼人であるにも関わらず、決死になって命を助けに行くシーンがあります。その姿が、捕らえられた孫を助けるべくシリアへと向かう革命家と重なって見えるのは気のせいでしょうか。大切なもののためには命を賭する、という正義のあり方。殺人は悪か、死刑台へと送り込む探偵は正義か、それらを超えて、テロと内乱によって成立したアメリカ国家は正義か、9.11同時多発テロを起こしたアルカーイダは悪か、といったスケールの大きな問題にまで及ぶ推理小説の枠を超えた大作と言えると思います。笠井潔氏にしか書けない作品です。
[ 2017/10/19 02:23 ] 笠井潔 | TB(0) | CM(0)

講談社ノベルスの鉄道ミステリフェア開催! 



AAの画像化

 線路は続くよどこまでも~♪



 10月の講談社ノベルスの新刊は鉄道ミステリがいっぱいです。

 ・『十津川警部 山手線の恋人』 西村京太郎
 ・『鉄道探偵団 まぼろしの踊り子号』 倉阪鬼一郎
 ・『鉄路の牢獄 警視庁鉄道捜査班』 豊田 巧
 ・『東海道新幹線殺人事件』 葵 瞬一郎


 なにやら鉄道ミステリフェアとのことで、この新刊4冊の中から2冊を買って応募券を送ると、抽選で50名に特製図書カードが当たるそうです。


http://kodansha-novels.jp/1710/train2017/
講談社ノベルス鉄道ミステリフェア開催!|講談社ノベルス|講談社BOOK倶楽部
http://kodansha-novels.jp/1710/train2017/




 早速この中から『鉄道探偵団 まぼろしの踊り子号』と『東海道新幹線殺人事件』を買ってきました。
 倉阪さんのは作者にしては珍しい鉄道ミステリ。連作集です。既に読ませていただいたのですが、どの短編も鉄道を通して人の心の暖かさを描いていて、読後はほっこりするものばかりでした。なかなかの良作!
 もう一方の『東海道新幹線殺人事件』は、葵瞬一郎さんのデビュー作なんだそうな。こっちはまだ読んでないのですが、十津川警部や浅見光彦に続くトラベルミステリの名探偵として期待されているとか。


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 応募券はカバーの折り返しに付いています。
 応募締切は12月31日で、まだ期間が有りますが、カバーの撤去されていない本を買いましょう。


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 応募券を切り切り。
 なんだか電車の切符のようなデザインです。


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 はがきに応募券を貼って、講談社の鉄道ミステリフェア係へ送ると応募完了です!
 図書カード500円分、というのが額面的に微妙ですが、「特製」というのが気になります。当たるといいな~。


 いままでこういうプレゼント企画には興味がなくて、ことごとくスルーしていたのですが、せっかく新刊本を買っているのになんだか勿体無いな、とふと思ったので今後なるべく応募していくようにしたいと思います


[ 2017/10/16 19:07 ] 【気になった事】 | TB(0) | CM(0)

今村昌弘「屍人荘の殺人」 

屍人荘の殺人屍人荘の殺人
2017/10/12
今村昌弘

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★★★★☆



 【内容紹介】

 神紅大学ミステリ愛好会の葉村譲と会長の明智恭介は、曰くつきの映画研究部の夏合宿に加わるため、同じ大学の探偵少女、剣崎比留子と共にペンション紫湛荘を訪ねた。合宿一日目の夜、映研のメンバーたちは肝試しに出かけるが、想像しえなかった事態に遭遇し紫湛荘に立て籠もりを余儀なくされる。
 緊張と混乱の一夜が明け――。部員の一人が密室で惨殺死体となって発見される。しかしそれは連続殺人の幕開けに過ぎなかった……!! 究極の絶望の淵で、葉村は、明智は、そして比留子は、生き残り謎を解き明かせるか?!
奇想と本格ミステリが見事に融合する第27回鮎川哲也賞受賞作!




 第27回鮎川哲也賞受賞作です。乱歩賞や横溝賞に受賞作が無い一方で、鮎川賞のほうは第26回、そして本作の第27回と豊作が続いたところを見ると、一概にミステリシーンの盛り下がりを結論付けるのは早計かもしれません。本作がそれを証明しています。
 本作はまれに見る着想が光るクローズドサークルもので、おそらく応募作の中ではひときわ異彩を放っていたのではないかと想像します。ホラーアドベンチャーのTVゲームやホラーパニック映画でよく見る「アレ」と、本格ミステリのクローズドサークルものをマッシュアップし、新たな魅力の創造に成功している点で、本作はミステリ史に名を刻むだけの格を有しています。特殊状況下でしか発生しない価値観や考えをミステリとしてのロジックにこれ以上に無い程活かしている点は新人離れしていると思う一方で、「他の応募作より目立ってやろう!」という尖ったシチュエーション設定は新人らしさを感じるところです。
 作中でも言及されているとおり、ハウダニット、フーダニット、ホワイダニット、その三方全てにエネルギーが注がれているのが特徴です。たぶんいちばんの売りにしているのが、3つのうちで最後に明らかになるホワイダニットだと思うのですが、なんだか既視感があるのがちょっと惜しいです。しかしこの舞台、この設定でしか生まれ得ない動機であるのは間違いないので、従来の本格ミステリには無い魅力を纏っています。ハウダニットを複雑化させる、密室に入れるのは人間だが、殺人は「アレ」にしか犯せない、という不可能設定なんかはすごく良いです。
 前半部分で綾辻氏の館シリーズに白々しく言及して、レッドヘリングへ読者の目を誤導させようとする、良い意味で小生意気なところもあり、作者自身が「本格ミステリに傾倒していたわけではなく」という割に本格ミステリの書き手として筋の良さを感じます。ロジック、ミスリード、ともに良かったです。

 古風なタイトルとは裏腹に、本格ミステリを読み慣れた読者にも新鮮な驚きがあると思います。お勧めです。選者の北村薫氏の言うとおり、年末ベストテンに楽々入ってくることでしょう。


[ 2017/10/15 12:37 ] 未分類 | TB(0) | CM(0)

万博記念公園の第4回カレーEXPO 

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 こんにちは!
 管理人のウイスキーぼんぼんです。

 万博記念公園で開催されていた 第4回 カレーEXPO に行ってきました。
 公園内で行われるイベントで、ここでカレーを食べて、遊んで、また食べて、さらに遊んで~、と永遠に続けられます。


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フルーツ大福 1個210円

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同時開催のフルーツEXPO



 といってもわたしはカレーライスは食べずに、同時開催されていた スイーツEXPO のほうでフルーツ大福をいただきました。
 高槻の 薩喜庵 というお店の和菓子で、大福に蜜柑や巨峰が挟まっています。いちご大福の亜種と言ってもよく、巨峰より酸味の強い蜜柑の方がアンコと相性が良い感じです。

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忍者唐揚げ(中) 500円



 カレーやスイーツ以外にもパンやB級グルメの出店もあって目移りします。
 滋賀県大津に忍者唐揚げというB級グルメがあるらしく、橘屋というお店のそれをいただいてみました。
 カラッと揚がった唐揚げに秘伝のタレを絡めるようです。天つゆみたいなサラッとしたタレで、全体的に濃い目の味付け。ビールとよく合いそうです。

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ジンジャーエール 200円



 お腹いっぱいになったので、腹ごなしに園内を散歩です。


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彼岸花

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 園内を歩いていると、彼岸花が咲いていました。やっぱり咲くのは川沿いです。
 でも花の散ったものが多くて、早くも彼岸花は見頃を終えてしまったようです。つい先週亀岡へ彼岸花を見に行ったばかりなのに、早いものです。


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「青を司るデルフィニジンも生成できない。バラの花の大半が黄色や赤なのもここに理由がある」

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「白バラはデルフィニジンどころかペラルゴニジンもシアニジンも生成できない種類だ」

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「ありえないものを目にすると、人は美より先に恐怖を感じてしまうらしいな」

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「«深海 -Abyss-»、というのはどうだ?」



 薔薇が多く咲いていました。


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赤とんぼ

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 次はコスモスです。
 もう花が咲き始めているので見頃を迎えるのはもうすぐそこです。


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 【関連リンク】
 万博記念公園 http://www.expo70-park.jp/





[ 2017/10/02 20:18 ] 【おでかけ】 | TB(0) | CM(0)

三津田信三「忌物堂鬼談」 

忌物堂鬼談忌物堂鬼談
2017/9/7
三津田 信三

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★★★☆☆



 【内容紹介】

 得体の知れぬ何かに脅える中学生の由羽希は、救いを求めひとり遺仏寺を訪れ、住職の天山天空と黒猫に出会う。本堂に置かれた数々の品は、所有するだけで祟られる「忌物」だと聞かされる。寺へ来た理由を尋ねられ、由羽希は答えに詰まる。「分からない…」。記憶を失くした彼女も、実は忌物を持っていた!すぐには助けられないと言う天空に命じられ、由羽希は毎夜、忌物に纏わる怪異譚に耳を傾けた。謎を解かされる羽目になるのだが…。やがて真の恐怖が彼女自身に襲い来る。




 三津田信三氏の新シリーズです。
 帯にはホラーミステリーとありますが、純粋にホラーと考えたほうが良いと思います。少なくとも刀城言耶シリーズのような物語ではありません。
 連作集です。一夜ずつ遺仏寺の住職の天山天空による怪異譚を聴かされます。そして最終話の第五夜において、聴き手である由羽希にとり憑いた怪異にまで話が及びます。それまで間接的に怪異を聴かされていた物語が一転、目の前で直接怪異の恐怖が襲い掛かってくる展開は緊張感が大きく、手に汗握ります。
 天山天空が、由羽希の憑物落としのために四夜という時間を取って解決策を考える、というのが全体の構成なのですが、その意味が最終話で明らかになるのはミステリ的です。それまでの四夜で語られた忌物の数々、その特徴が伏線となって浮かび上がる趣向を、ミステリとしての謎解きによってでは無く、ホラー小説としての怪異現象の中でやってみせるのは、ある意味刀城言耶シリーズとは真逆と言えるかもしれません。これが本書の場合、かなり成功しているため、推理によって興が削がれることなくホラー小説として心地よい余韻を残したまま物語が幕を閉じます。
 ちなみに、毎夜聴かされる怪異譚によって主人公が成長し、その成長が最終話で活きてくる、という趣向は、同時発売の柾木政宗氏のメフィスト賞受賞作『NO推理、NO探偵?』と通ずるところがあるのはたまたまでしょうか。

 各短編に目を向けると、少し駆け足でそっけない印象を受けます。第四夜の「霊吸い」なんかが顕著で、事象が淡々と描かれた後で、この怪異を引き起こした忌物は何でしょう?――由羽希「〇〇です。」と、紆余曲折なく起伏もなくほぼノーミスでここまで描かれるのはサラッとしています。各短編でじっくり怖がらせてくれる、という点では同じ本年度発売の『わざと忌み家を建てて棲む』の方に個人的には軍配が上がります。




わざと忌み家を建てて棲むわざと忌み家を建てて棲む
2017/7/19
三津田 信三

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[ 2017/10/02 00:26 ] 三津田信三 | TB(0) | CM(0)

円居挽「逆転裁判 時間旅行者の逆転」 

逆転裁判 時間旅行者の逆転逆転裁判 時間旅行者の逆転
2017/9/26
円居 挽

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★★★★☆



 【内容紹介】

 そのタイムトラベル、異議あり!
 「逆転裁判」シリーズ15周年記念ノヴェライズ

 2016年10月、新米弁護士・成歩堂龍一のもとに助手の真宵が依頼人――尾根紡優子を連れてくる。彼女は2001年に起きた事件から逃れるため、タイムトラベルしたと主張する。やがて明らかになる、優子が被告とされた15年前の密室殺人事件。25年間無敗の検事・狩魔豪と敏腕弁護士・御剣信が激突したその裁判は、被告逃亡のため判決が凍結されていた。時空を超え、成歩堂が手にする真実とは?




 ゲームボーイアドバンスやニンテンドーDSでお馴染みのゲーム「逆転裁判」のノベライズです。
 なんでもシリーズ15周年記念の作品らしく、今回ノベライズを手がけたのは、現代を代表するリーガルミステリー「ルヴォワール」シリーズでお馴染みの円居挽氏です。

 わたしは「逆転裁判」は、シリーズ序盤のゲームボーイアドバンスソフトでしか遊んだことがないのですが、本物語が「逆転裁判1」の2話と3話の間の出来事なので、どちらかというと古参向けなのかもしれません。作者自身はツイッターで「これまで『逆転裁判』に触れたことのない方にも配慮した仕上がり」とツイートされていますが、やはり記念作品ということもあり、ゲームで遊んだことのある読者の方がより楽しめます。そもそもゲームをしていないと、御剣信が後半に登場しなくなった理由もよくわからないのではないかと思います。
 存在自体があやふやな「タイムマシン」の存在が、事件を複雑化させます。時間旅行が主題となっていることは、物語前半2001年と後半2016年の二部構成である点にも象徴されていて、タイムマシンがこの2つの時間をジョイントするプロットが贅沢です。
 なんといっても前半部分の2001年、御剣信弁護士と狩魔豪検事の争いの行く末にゾクゾクしました。前半閉幕時に、ゲームのある重要な部分を補完する出来事であったことがわかるのですが、このあたりはゲームファンであればきっと満足出来ると思われます。
 一転、現在を舞台にした2016年では、成歩堂龍ノ介弁護士と御剣怜侍検事の争いが描かれます。一応のところ、本書の主人公はナルホドくんの方になるのですが、御剣怜侍のほうも「逆転検事」というゲームシリーズでは主人公を務めていることもあり、ファンは多いはずです。その両者を立たせた結末部分はファンへの配慮が感じられます。と同時に、よくこういうオチへと持っていったなぁ、と労作感も感じるラストでした。

 ミステリとしては、やはり「被害者は何故助けを呼ばなかったのか?」というホワイダニットが見どころでしょうか。「タイムマシン」という考えがあるからこそ成立する特殊性が斬新なだけでなく、この真相が過去と現在をつなぎ、御剣信と怜侍の親子愛をも描き出しているのが考え抜かれています。この瞬間ナルホドくんは脇へと後退します。前半部分が「あの事件」の前夜であったことと合わせると、本物語の主人公は実は御剣信・怜侍親子なのではないか。御剣ファンには感涙ものです。
 そのために、ナルホドくんと御剣が、それぞれ正義と悪の白黒ハッキリ分かれた立場にいるわけではく、「悪」vs「正義」つまるところ「名探偵」vs「犯人」といった燃えるような構図にはなっていないのは、致し方ないところでしょうか。

 現在と過去の両方に密室トリックも登場するのですが、うっかり読み飛ばしてしまいそうなほどそっけない感じだし、過去の事件の方にはアリバイトリックも登場するのですが、そちらも時計の構造がよく分からなかったりと、なんだかツッコミたくなるところはありますが、最終的にすべての謎があきらかになり、辻褄が合う点はミステリ的な爽快感があります。
 真相に到達するまでのプロセスについても、ゲーム(キャラクター)を意識した展開が見られます。ナルホドくんが「発想を逆転」させて、15年前に信の前に立ちふさがった狩魔の弟子で、かつ信の息子である御剣怜侍を討つ展開は感動的ですね。
 ミステリとして、真相を現実レベルに着地させながらも、タイムマシンというふわっとした概念、ともすればアンフェアとなるような要素を上手く代入して、物語・ミステリ両方を魅力あるものにしているのはさすがです。

 作者らしい斬新なアイデアが盛り込まれたリーガルミステリーでありながら、ゲームの魅力もふんだんに盛り込まれた良作です。
 北山猛邦氏の『ダンガンロンパ』ノベライズ、黒田研二氏の『逆転裁判』コミック原作、推理作家が手がけたミステリゲームのアレンジは多々ありますが、本作も成功作のひとつに数えて良いのではないかと思います。




逆転裁判123 成歩堂セレクション Best Price!逆転裁判123 成歩堂セレクション Best Price!
2015/4/2
カプコン

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[ 2017/09/30 01:57 ] 円居挽 | TB(0) | CM(0)

天祢涼「希望が死んだ夜に」 

希望が死んだ夜に希望が死んだ夜に
2017/9/13
天祢 涼

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★★★★☆



 【内容紹介】

 神奈川県川崎市で、14歳の女子中学生の冬野ネガが、同級生の春日井のぞみを殺害した容疑で逮捕された。少女は犯行を認めたものの、「あんたたちにはわかんない」と動機は全く語らない。
 なぜ、美少女ののぞみは殺されたのか。
 二人の刑事が捜査を開始すると、意外な事実が浮かび上がってくる。
 希望の「希」という漢字が「ねが(う)」と読むことから名づけられた、ネガ。現在は、母親の映子と川崎市登戸のボロアパートに暮らしている。
 母はあまり働かなくなり、生活保護も断られた。まわりに頼れる大人や友人がいないネガだったが、あるとき、運命的な出会いをした……。




 昨年ツイッターを中心に話題になった「日本死ね」というフレーズを小説化したような物語で、今現在の日本の生きづらさを描いた作品です。
 未来の進路について悩むべき中学生が、最終的に「希望が死んだ夜みたいに真っ暗なこの国」と結論づけさせる展開が衝撃的です。しかし、そこへ至るまでの展開は決して荒唐無稽ではなく、リストラ、転職失敗、離婚、母子・父子家庭、生活保護、貧困スパイラル、ネグレクト、児童虐待など、これら現在進行形で現代の日本が抱える問題がリアルで、今後日本を支えていく子供へとシワ寄せが集中していく様子が残酷に描かれていきます。
 基本的に子どもたちに罪はなく、すべての元凶はこのような環境・社会を作った大人たちだったりするのですが、それがミステリとしての真相にも反省されているが巧妙です。ネガが黙秘を続ける動機もそうなのですが、親友同士のネガとのぞみが追い詰められ、作中で描かれるような結論に至ったクライマックスにおいてもなお、自己の保身のために子どもたちの裏へ隠れてコソコソとする真犯人がゲスいです。自己のために子供に金銭を稼がせるネガの母親、生活保護のために大切なフルートを捨てさせるのぞみの父親、直接的に罪には問われないであろうこれらの人物ですが、真犯人の行動原理となんら変わらないのが社会の闇を表しているようで象徴的です。
 現在の「希望が死んだ夜みたいに真っ暗なこの国」が大人によって作られたものであり、その「真っ暗」な中で生きるのが子供であるならば、その「希望が死んだ夜」を作った大人を裁く一撃を加えたのが、じつは社会のレールから外れたホームレスであるのが皮肉です。子供が社会に押しつぶされる時、社会の外部に立つホームレスが事件解決の決め手となる構図は探偵小説としては面白く読みました。

 「面白かった」と言うとなんだか語弊があるかもしれませんが、読んで良かったです。今の日本をリアルに切り取った社会派ミステリなので、今後何十年か経って本書を読み返すことがあれば、その時は「このときの日本が一番ひどかった」と思えれば良いな、と思います。
[ 2017/09/25 20:08 ] 天祢涼 | TB(0) | CM(0)

第五回文学フリマ大阪へ行きました。 

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堺市産業振興センター

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 もう先週の話になりますが、9月18日に開催された第五回文学フリマ大阪へ行きました。
 場所は例年通り堺市産業振興センターというところで、大阪の市営地下鉄御堂筋線の最南端、なかもず駅から徒歩数分くらいのところにあります。


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カタログ

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購入物



 無料でいただけるものも含めて、いろいろもらって来ました。
 ミステリー系の小説や評論の頒布物が中心です。

 京都大学推理小説研究会が機関紙の『蒼鴉城』を頒布していたので1冊買ってみることにしました。初めて読みます。わたしが買ったのは40号で、なんでも記念号だとか。目次を見ると研究会OBの祝辞が載っているようでした。

 小説以外にも、カメラが趣味と思われる方が、簡単な写真集を販売していたので、それも幾つか買ってみました。


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 会場の外にはキッチンカーがあって、そこでカレーライスの販売が行われていました。
 会場内をウロウロして、ちょうどお腹がすいてきたところだったので、お昼はここで食べることにします。
 なかなか本格的なカレーで、わたしには少し辛かったです。

 なんか大阪で第一回開催の時には、次にまた大阪で開催されるかどうかわからない、といったような不安定なことを耳にしていたのですが、こうやって今回の第五回が無事開催されたことは、結構軌道に乗ってきたということでしょうか。
 なんにせよ素敵なイベントだと思うので、長く続いて欲しいものです。

 頒布物についてはこれからゆっくり読ませていただきます。


 【関連リンク】
 文学フリマ - 文学フリマ公式サイト-お知らせ
 http://bunfree.net/






[ 2017/09/24 21:02 ] 【おでかけ】 | TB(0) | CM(0)

彼岸花を撮りに行きました。 

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彼岸花



 こんにちは!
 管理人のウイスキーぼんぼんです。

 休日を利用して彼岸花を撮って来ました。
 9月下旬から10月上旬あたりに見頃を迎える花で、田んぼや川の土手なんかに群生します。草の緑と彼岸花の赤の、補色調和が楽しめます。
 日本各地に名所があるようで、そのうちの京都の亀岡市まで足を運んでみました。


背中合わせ背中合わせ

連城 三紀彦

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 ミステリファン的には連城三紀彦さんの「彼岸花」という作品が有名でしょうか?そうでもないかな?
 「死人花」とかあまり良いイメージのない名前ですが、「赤い花・天上の花」の意味で、めでたい兆しとされることもある、とのこと(Wikipediaより)。
 ちなみに彼岸花を家に持ち帰ると火事になるという言い伝えがあるそうなので、そのあたりにも注意して撮影に望みたいです。


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桂川



 亀岡市は観光地で人気の嵐山を北へ行ったところにあります。渡月橋の掛かっている桂川を北上したあたりです。


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 車塚古墳あたりに群生すると聞いたので、そのあたりを散策です。
 確かに群生していましたが、群生場所が田んぼのあぜ道だったりするので、人んちの土地に入らないよう撮影には気を使います。

 チョウチョウがひらひらと舞っていて、なかなか絵になります。


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出雲大神宮

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出雲大神宮 御朱印






 車塚古墳の東に出雲大神宮という丹波国一之宮があったので、せっかくなので参拝していきます。
 島根の有名な出雲大社はこの出雲大神宮の分社だそうで、ルーツはこちらのほうにあるそうです。驚きです。
 ありがたく御朱印をいただいて帰りました。


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 おじさんや、あと若い女の子らが大きな一眼レフを携えて彼岸花を撮影していましたね。初めて訪れた場所なので、最盛期なのかそうでないのかがよく分からないのですが、まあこんなもんか、という感じです。

 ひとしきり彼岸花を撮影したので、今度は南の方の穴太寺周辺へと移動です。


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穴太寺

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穴太寺 御朱印






 穴太寺も有名なお寺で、西国三十三所第21番札所なんだそうな。ここでも御朱印をもらいつつ、彼岸花撮影にいそしみます。
 御朱印は何種類かあったのですが「御本尊の御朱印ちょーだい」というと上の写真の御朱印がもらえました。

 御朱印&彼岸花ということでか、ここでもカメラを携えた女の子が多かったです。インスタ映えする写真を狙っているのでしょうか。


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近づく

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さらに近づく



 いいですね~。こちらも群生していました。
 そもそも彼岸花の群生って、田舎では普通に見られる光景なのかもしれませんが、わたし個人としてはあんまりこういう光景は見たことがなく、なかなか珍しく観賞しました。

[ 2017/09/24 00:22 ] 【写真・カメラ】 | TB(0) | CM(0)
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プロフィール

ウイスキーぼんぼん

Author:ウイスキーぼんぼん

初めて読んだミステリは『そして扉が閉ざされた』(岡嶋二人)。以来ミステリにどっぷりハマリ中。
「SUPER GENERATION」で水樹奈々さんに興味を持ち「Astrogation」で完全にハマる。水樹奈々オフィシャルファンクラブ「S.C. NANA NET」会員。

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好きな推理作家:島田荘司ゴッド
嫁本:アトポス)
好きな歌手:水樹奈々ちゃん
嫁曲:SUPER GENERATION)
誕生日:ヘレン・マクロイとおなじ
体型:金田一耕助とおなじ

本年度のお気に入り(国内)
御朱印巡り
集めた御朱印です。
(各都道府県参拝した順)
※記事に出来ていない寺社多数です!鋭意執筆中!
※リンクが切れているものは下書き状態です。しばらくしたら公開されます。

【東京】
・靖國神社(その1)
・靖國神社(その2)
・東京大神宮
・浅草寺 御本尊
・浅草寺 浅草名所七福神
・浅草神社
・浅草神社 浅草名所七福神
・今戸神社
・明治神宮(その1)
・明治神宮(その2)
・増上寺
・烏森神社
・神田明神
・乃木神社
・上野東照宮

【神奈川】
・鶴岡八幡宮
・建長寺
・高徳院(鎌倉大仏殿)
・長谷寺

【愛知】
・熱田神宮
・一之御前神社、別宮八剣宮
・真清田神社
・大神神社
・大須観音

【大阪】
・大阪天満宮
・豊國神社
・四天王寺
・住吉大社
・坐摩神社
・法善寺
・難波八阪神社
・道明寺天満宮
・一心寺
・安居神社
・生國魂神社
・生國魂神社 干支(申)
・生國魂神社 干支(酉)
・三光神社
・玉造稲荷神社
・今宮戎神社
・方違神社
・難波神社
・露天神社(お初天神)
・太融寺
・大鳥大社
・石切劔箭神社
・枚岡神社
・慈眼寺
・久安寺

【京都】
・鈴虫寺(その1)
・鈴虫寺(その2)
・松尾大社(その1)
・月読神社
・天龍寺
・御髪神社
・常寂光寺
・二尊院
・野宮神社
・下鴨神社(賀茂御祖神社)
・河合神社(下鴨神社摂社)
・盧山寺
・梨木神社
・白雲神社
・護王神社
・御霊神社
・下御霊神社
・平安神宮
・銀閣寺(慈照寺)
・金閣寺(鹿苑寺)
・龍安寺
・八坂神社
・八坂神社 美御前社
・八坂神社 又旅社
・八坂神社 冠者殿社
・八坂神社 青龍
・八坂神社 祇園御霊会
・伏見稲荷大社 本殿
・伏見稲荷大社 奥社奉拝所
・伏見稲荷大社 御膳谷奉拝所
・三十三間堂
・養源院
・東福寺
・建仁寺
・南禅寺(その1)
・南禅寺(その2)
・永観堂(禅林寺)
・北野天満宮
・北野天満宮 宝刀展限定「鬼切丸」
・大将軍八神社
・法輪寺(達磨寺)
・妙心寺
・妙心寺 退蔵院
・仁和寺
・建勲神社
・晴明神社
・御金神社
・八大神社
・豊国神社
・由岐神社
・鞍馬寺
・貴船神社
・六道珍皇寺
・六道珍皇寺 六道まいり
・六波羅蜜寺 都七福神
・安井金比羅宮
・知恩院 徳川家康公四百回忌
・青蓮院門跡
・青蓮院門跡 近畿三十六不動尊霊場
・粟田神社
・鍛冶神社(粟田神社末社)
・東寺
・上賀茂神社(賀茂別雷神社)
・大徳寺 本坊
・大徳寺 高桐院
・今宮神社
・妙顯寺
・三千院 御本尊
・三千院 西国薬師四十九霊場第四十五番
・三千院 聖観音
・実光院
・勝林院
・宝泉院
・寂光院
・宝厳院
・大覚寺
・清涼寺
・祇王寺
・化野念仏寺
・落柿舎
・城南宮
・飛行神社
・石清水八幡宮
・岡崎神社
・長岡天満宮
・平野神社
・法金剛院
・高台寺
・清水寺
・宝蔵寺 阿弥陀如来
・宝蔵寺 伊藤若冲
・勝林寺
・平等院 鳳凰堂
・宇治神社
・宇治上神社
・智恩寺
・元伊勢籠神社
・眞名井神社
・梅宮大社

【奈良】
・唐招提寺
・薬師寺 御本尊
・薬師寺 玄奘三蔵
・薬師寺 吉祥天女
・薬師寺 水煙降臨
・東大寺 大仏殿
・東大寺 華厳
・東大寺 二月堂
・春日大社 ノーマル
・春日大社 第六十次式年造替
・興福寺 今興福力
・興福寺 南円堂
・如意輪寺
・吉水神社
・勝手神社
・金峯山寺
・吉野水分神社
・金峯神社
・法隆寺
・法隆寺 西円堂
・中宮寺
・法輪寺
・法起寺
・元興寺
・橿原神宮
・橘寺
・飛鳥寺
・飛鳥坐神社

【和歌山】
・総本山金剛峯寺
・高野山 金堂・根本大塔
・高野山 奥之院
・高野山 女人堂
・熊野那智大社
・青岸渡寺
・飛瀧神社
・伊太祁曽神社
・國懸神宮
・紀三井寺

【滋賀】
・比叡山延暦寺 文殊楼
・比叡山延暦寺 根本中堂
・比叡山延暦寺 大講堂
・比叡山延暦寺 阿弥陀堂
・比叡山延暦寺 法華総持院東塔
・比叡山延暦寺 釈迦堂
・比叡山延暦寺 横川中堂
・比叡山延暦寺 四季講堂(元三大師堂)
・三尾神社
・三井寺 金堂
・三井寺 黄不動明王
・近江神宮

【兵庫】
・生田神社
・廣田神社
・西宮神社
・湊川神社
・走水神社
・千姫天満宮
・男山八幡宮
・水尾神社
・兵庫縣姫路護國神社
・播磨国総社 射楯兵主神社
・甲子園素盞嗚神社
・北野天満神社

【岡山】
・吉備津神社
・吉備津彦神社

【鳥取】
・白兎神社
・宇倍神社
・聖神社
・鳥取東照宮(樗谿神社)

【広島】
・吉備津神社
・素盞嗚神社
・草戸稲荷神社
・明王院
・出雲大社 福山分社
・沼名前神社(鞆祇園宮)
・福禅寺(対潮楼)

【徳島】
・大麻比古神社

【福岡】
・太宰府天満宮
・筥崎宮(筥崎八幡宮)
・住吉神社

【沖縄】
・波上宮

■朱印帳■
・京都五社めぐり
・高野山 開創1200年記念霊木朱印帳
・平安神宮 御朱印帳
・全国一の宮御朱印帳
・住吉大社 御朱印帳
・建仁寺 御朱印帳
・今戸神社 御朱印帳
・大将軍八神社 御朱印帳
・晴明神社 御朱印帳
・東寺 御朱印帳
・明治神宮 御朱印帳
・大阪市交通局 オオサカご利益めぐり御朱印帳
・北野天満宮「宝刀展」記念朱印帳
・熊野那智大社 御朱印帳

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