読み終わったミステリについてコメント。でも最近は脇道にそれぎみ。 このブログは水樹奈々さんを応援しています。

鳥飼否宇「痙攣的 モンド氏の逆説」 

・出版社/メーカー:光文社
・定価:¥1,890
・発売日:2005/04/20
・メディア:単行本

★★★★☆

 「ジャーロ」に掲載された4編に書き下ろし1編を加えた、計5編を収録。

 「廃墟と青空」ステージ上で殺されたロックバンド「鉄拳」プロデューサと、消えたメンバーたち。密閉空間で起こった事件の真相とは?
 この短編はどこかで読んだ覚えが…。「本格ミステリ04」だったかな?
 ミュージシャンを消す動機が面白かったし、なにより意外な犯人の登場の仕方に驚きました。えぇ!この人シリーズの主人公じゃないんですか!?ってな具合に。

 「闇の舞踏会」乱調の美をコンセプトとしたアートイベントが開かれた。その最中、1人のアートティストが変死体となって発見される。彼は自らの死によって芸術作品を完成させたのか!?
 生と死、0と1、○と×、反する2つのものを表現する今回のアート。それはもちろん自己と他己探偵と犯人にもいえることで、それを上手く表現した傑作です。
 現場に残した文字の意味もアーティストならではで、こんなダイイングメッセージの真相は見たことがありません。
 ラスト1行は、例えるなら"!"が10コくらいのサプライズ。ミステリで驚かされるというのは、まさにこの感覚。

 「神の鞭」幻日島で催された大掛かりなパフォーマンス<神の鞭>。あまりに巨大な力を人間が弄ぶ時、神の報復攻撃が始まった。
 この作品でようやく「どの作品にもアイダアキラが登場している」ことが分かりました。すこし、気付くのが遅かったかな。
 作中の観客だけでなく<神の鞭>の落雷のシーンは、読んでいるこっちも興奮しました。
 神の意思が介在したような真相が印象に残るし、ここでもまた空蝉主水がやってくれました。栗須賀零流が月を消した謎をめぐる推理もとても論理的でした。

 「電子美学」視覚、聴覚、嗅覚、触覚がそれぞれバラバラに入れ替わった中で起こる不可能犯罪。
 今までの作品に登場した入村、檐木、瀬古が再登場。その意味は作中で明らかに。
 SF的なスクィドというシステムがたいへん面白いです。西澤保彦さんの「人格転移の殺人」を上回るような設定です。声を出しても遠くから聞こたり、痛みはあるが傷は無かったり。そのなかで人が死ぬのだから、頭の中が大混乱。作中人物の論理的な推理には唸った。
 事件はモンド氏によって解決しますが、謎が微妙に残ってしまい、読者の頭はスッキリしない…。

 「人間解体」ここにきて"ロック"、"乱調の美"が描かれたことに必然性があったと気付くと同時に、ひとつ前の「電子美学」の「人-イカ皮-イカのリレー」がいかに可能だったのかがハッキリします。
 各短編のまとめ方に呆然としましたが、よくよく考えてみると"?"がいくらか残ります。
 しかし芸術を「身体の中心軸をわさわさ揺すぶられるような感じ」「意味は受け手の解釈次第でいかようにも変化する」などと解釈するならば、この形が最も良いのではないかと思います。

 全て作者の狙い通りなら、相当計算して書かれたミステリではないでしょうか。大傑作!
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[ 2005/04/26 12:31 ] 鳥飼否宇 | TB(0) | CM(0)
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プロフィール

ウイスキーぼんぼん

Author:ウイスキーぼんぼん

初めて読んだミステリは『そして扉が閉ざされた』(岡嶋二人)。以来ミステリにどっぷりハマリ中。
「SUPER GENERATION」で水樹奈々さんに興味を持ち「Astrogation」で完全にハマる。水樹奈々オフィシャルファンクラブ「S.C. NANA NET」会員。

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好きな推理作家:島田荘司ゴッド
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御朱印巡り
集めた御朱印です。
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※記事に出来ていない寺社多数です!鋭意執筆中!
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