読み終わったミステリについてコメント。でも最近は脇道にそれぎみ。 このブログは水樹奈々さんを応援しています。

三津田信三「首無の如き祟るもの」 

首無の如き祟るもの 首無の如き祟るもの
三津田 信三 (2007/04)
原書房

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★★★★★

 禊の井戸に打ち棄てられて死んでいた、長寿郎の双子の妹。それは連続首無し殺人の、ほんの序曲に過ぎなかった。次々と死んでいく長寿郎の花嫁候補たち。古く伝わる淡首様の祟りなのか、それとも死んだ双子の怨念か-。

 『厭魅の如き憑くもの』『凶鳥の如き忌むもの』に続く、刀城言耶が登場する待望のシリーズ最新作。バールストン先攻法によって死者と生者の境界を曖昧にし、ホラーとしての不気味さを増大させた傑作です。
 個人的に思うんだけど、作者はミステリのネタを料理するのが非常に上手いんだと思います。前作『凶鳥』の密室トリックしかり、本作の首無し死体しかり…。
 監視下に置かれた媛首山にて、人外の者の仕業としか思えない不可能犯罪が連発します。視点人物の一人の駐在さんが積極的に謎解きをしてくれるため、刀城言耶不在といえど論理的な謎解きの分量は豊富で、作品のかなりの部分をそれが占めています。本格ファンがこの点で不満を漏らすことはおそらくないでしょう。
 そして本作のすごいところは、なんといっても首無し死体を巡る推理とトリック、そしてその動機!首無し死体といえば人物の入れ替わりですが、『厭魅の如き憑くもの』や『凶鳥の如き忌むもの』で作者が見せたように、本作も一筋縄ではいきません。それも怪異をうまく結びつけたもので、死体同士の入れ替えはもとより、生きた人間同士の入れ替えたこと、そして従来のこの手のタイプのミステリとは真逆を行く動機など、常識的に考えて無理だろうと思えることを、淡首様の力を借りて綺麗に成立させています。
 終盤の謎解きは複雑めですが、刀城言耶が示唆した「あること」に気づきさえすれば、芋づる式に解けていくという、切り口の単純さがあり、ここらへんのポイントも高いです。
 通常首無し死体を自分に見立てるなら、服を着せたりして装飾するものなのに、本作の場合は死体を素っ裸にしているにもかかわらずそれが成立しているところがすばらしいと思いました。ほかには、首無し死体の分類が行われた必然性がちゃんと存在すること、終盤のどんでん返しの連続などが良かったですね。もう良いとこづくしです。
 フーダニット、ホワイダニット、ハウダニットはどれも高水準だし、読者に対してもフェア。怪異と身近に暮らしている人物たちならではの理屈が、謎解きにかかわっているのも作者らしいです。首無し死体を扱ったミステリといえば、という問いには今後このタイトルがあがりそうなほど大きなカリスマ性もあり、本作の存在は無視できないでしょう。

 ホラー領域よりミステリー領域に針が振れすぎているため、好みによってはこのあたりが作品の評価に影響するかも。
 ともかくわたしにとっては最高の作品でした。
 ようやく今年も傑作が来た。
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[ 2007/04/30 16:51 ] 三津田信三 | TB(0) | CM(0)
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ウイスキーぼんぼん

Author:ウイスキーぼんぼん

初めて読んだミステリは『そして扉が閉ざされた』(岡嶋二人)。以来ミステリにどっぷりハマリ中。
「SUPER GENERATION」で水樹奈々さんに興味を持ち「Astrogation」で完全にハマる。水樹奈々オフィシャルファンクラブ「S.C. NANA NET」会員。

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