読み終わったミステリについてコメント。でも最近は脇道にそれぎみ。 このブログは水樹奈々さんを応援しています。

北山猛邦「オルゴーリェンヌ」 

オルゴーリェンヌオルゴーリェンヌ
2014/11/21
北山 猛邦

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★★★★☆



 【内容紹介】

 書物が駆逐される世界。旅を続ける英国人少年クリスは、検閲官に追われるユユと名乗る少女と出会う。追い詰められた二人を救おうと、突如現れた少年検閲官エノ。三人は、少女が追われる原因となった“小道具”をいち早く回収すべく、オルゴールを作り続ける海墟の洋館に向かったが…。そこで彼らを待っていたのはオルゴール職人たちを標的にした連続不可能殺人だった!先に到着していたもう一人の少年検閲官カルテの支配下に置かれた場所で、三人は犯人を突き止めるべく、トリックの解明に挑む。待望の“少年検閲官”シリーズ最新作。




 割と最近出た『人魚姫 探偵グリムの手稿』がさっぱり評価されていなくて首をかしげた覚えがあるのですが、やっぱりファンタスティックな世界感とミステリの融合は北山氏です。『人魚姫 探偵グリムの手稿』が不遇だったのに対して、本作が評価されたのは嬉しいですね。初期の「城」シリーズなんて、ミステリと世界観が乖離しているといったようなマイナス評価をよく目にしたのですが、なんのなんの、そんなものは過去の評価です。本作を読んでみてください――たぶん既に多くのミステリファンは読んでいると思いますが、オルゴールが彩る物語は、そのオルゴールを主軸としてミステリとしても小説としても面白いものにしています。愛すべき人を亡くしながらも、それでも鳴り止まない強く儚いオルゴールの音色。オルゴールに託した犯人の想い、感動必至です。
 第三の密室トリックなんかは北山ミステリでも屈指の名トリックだと思います。「城」シリーズで見せたような物理トリックごり押しのイケイケ感は少し影を潜めているのですが、犯人がオルゴールに想いを託し、そしてその願いを叶えた時に鳴り響くオルゴール。密室空間にあるのは灯火消えた死体と、儚いながらも動き始めたオルゴールの音色が支配するのみです。なんというんでしょう、誰もいない密室が持つ寂しさとオルゴールの音色、犯人像、密室トリック、それらがすべて渾然一体となっていて、物理トリックの持つ豪快さとはまた別次元の感動と繊細さを示しています。
 本書で描かれる三件の殺人事件は、トリックの点では小粒な印象を受けましたが、推理の転がし方が抜群に上手いです。それらの殺人事件にさまざまな解釈を与えながら、後半にかけて怒涛のどんでん返しを生み出す展開は、単純に「物理の北山」と言うのがはばかられるほどのクオリティです。このようなトリックを扱い方を見ても、初期作品のようにトリックの種明かしをして終わり、になっておらず、そこからさらに先へ踏み出してトリックを物語の核(本書の場合はオルゴール)へとジョイントして感動にまで結び付けているのは、本当に素晴らしいです。ミステリ作家としての明らかな成長です。

 ミステリとは殺人事件を扱う文学ですが、しかし本作のようにトリックが物語を支え、トリックによって感動できる作品は早々ありません。
 『人魚姫 探偵グリムの手稿』、そしてこの『オルゴーリェンヌ』によって確かなレベルアップを示してくれた作者、今後の新作がますます楽しみです。
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[ 2015/12/24 21:41 ] 北山猛邦 | TB(0) | CM(0)
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プロフィール

ウイスキーぼんぼん

Author:ウイスキーぼんぼん

初めて読んだミステリは『そして扉が閉ざされた』(岡嶋二人)。以来ミステリにどっぷりハマリ中。
「SUPER GENERATION」で水樹奈々さんに興味を持ち「Astrogation」で完全にハマる。水樹奈々オフィシャルファンクラブ「S.C. NANA NET」会員。

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御朱印巡り
集めた御朱印です。
(各都道府県参拝した順)
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