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小島正樹「モノクローム・レクイエム」 

モノクローム・レクイエムモノクローム・レクイエム
2015/8/8
小島 正樹

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★★★☆☆



 【内容紹介】

 警視庁の特別捜査対策室五係と、民間の「怪譚社」を舞台に全五話の連作短篇。
 隣家の窓に火中の戦時中の防空頭布姿の人を見た女子大生からの依頼で、その謎を菱崎真司が解明(「火中の亡霊」)。
 怪譚社というネット上で不思議な話を募集、購入した事件の背後には犯罪が隠されていて、犯人は制裁を受ける(「踊る百の目」)。そしてラスト、警視庁を舞台に、彼らが探偵を始めた経緯や、それにまつわる謎が明らかに!




 ジャケットイラストが秀逸で、黒色と白色によって1人の男性の二面性を表現している点が本書を象徴しています。
 奇数話の第一話、第三話は刑事の菱崎真司が事件を解決し、偶数話の第二話、第四話は人々から奇妙な体験を買い取るという正体不明の「怪譚社」の男が悪を裁きます。そして最終話の第五話で、この二重螺旋がひとつに収束していきます。
 各短編に目を向けると、小島正樹さんらしい期待どおりのミステリです。出し惜しみの無い物理トリック、怪奇譚に現実レベルの解決を与える真相の意外性、と作者の名前買いをした読者は満足できることと思います。
 ただ、全体の物語の構図はなかなか面白く読めたのですが、不可解な現象は最終段において説明が付けられるのですが、そうでなければならなかった理由・必然性というのに説得力の弱さを感じました。探偵役がそう推理するからそうなるんだ、と言われれば元も子も無いのですが、たとえば第四話の「怨霊の家」において、見ず知らずの男が部屋に入って石を積む理由は説明されるのですが、何故石でなければならなかったのか、なぜ“積む”という行為がなされなければならなかったのか、という部分まで突っ込んで考えると、別に石を積まんでも別のことでも良かったんじゃないか、と思えて来ます。三途の川を演出したいばっかりに「石を積む」という行為が採用されたようにしか思えず、しかし犯人の属性を考えると、犯人にそこまで考える余地が無いことは作中ではっきりとしています。作者の都合で「石を積む」という行為が描かれているのです。
 本書で特徴的なのは、登場人物たちのキャラ付けです。登場人物たちの微妙な立ち位置が、物語全体に響いてくる構図、殺人犯に対して遠慮なく憎しみを抱く何か裏がありそうな探偵役、彼らの所属する特別捜査対策室五係に新しく異動になった読者に近い目線の女性警官など、過去の小島ミステリに比べてキャラクターがしっかりと描かれている印象を受けます。
 これぐらいのサイズ感の作品でトリックを連発いただけるのなら、次作も読んでみたいのですが、本書を最後まで読むと、どうもラスボス的な人物は裁かれてしまったし、シリーズ作品のようですがなんだか本書1冊で終わりな感じもします。最後にある人物が言う「五係を続けてほしい――」というのはわたしとしても同感。これで終わりって勿体無い。「怪譚社」の男ってなかなかいいキャラなのに。

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[ 2015/08/22 20:58 ] 小島正樹 | TB(0) | CM(0)
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ウイスキーぼんぼん

Author:ウイスキーぼんぼん

初めて読んだミステリは『そして扉が閉ざされた』(岡嶋二人)。以来ミステリにどっぷりハマリ中。
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御朱印巡り
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