読み終わったミステリについてコメント。でも最近は脇道にそれぎみ。 このブログは水樹奈々さんを応援しています。
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レオ・ブルース「死の扉」 

死の扉 (創元推理文庫)死の扉 (創元推理文庫)
(2012/01/27)
レオ・ブルース

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★★★★☆

 英国のとある小間物屋で深夜、二重殺人が発生。店主のエミリーと、巡回中のスラッパー巡査が犠牲となった。町にあるパブリック・スクールで歴史教師をするキャロラスは、生意気な教え子プリグリーに焚きつけられて、事件を調べることに。嫌われ者だったエミリーのせいで容疑者には事欠かないが…素人探偵の推理やいかに?イギリス屈指の名探偵、キャロラス・ディーン初登場作。


 1955年発表のポスト黄金時代の本格ミステリ。
 まずは復刊してくれたことに感謝したいです。
 日本に紹介されたのは1957年、東京創元社の『現代推理小説全集』の第一回の配本として刊行されたのが最初らしく、本国で発表されてからすぐだったようです。そのため当時シリーズの中から出来の良いのを選んで翻訳した、というわけではなさそうです。解説を読むとキャロラス・ディーン初登場作というだけでなく「シリーズを代表する出来栄え」とのことらしく、結果的にこれがレオ・ブルース本邦初紹介作品となったのは悪いことでは無かったと思います。……しかし翻訳がまあ出ないこと出ないこと。90年代になって何作か出てもすぐに絶版。人気が無かったのか分かりませんが、当時の探偵小説ファンは何してたんでしょう。
 長らく絶版だった本書ですが、クオリティーは高いです。事件後のキャロラス・ディーンの捜査が地味なところが、おそらく当時人気がイマイチだった点だと思います。しかし舌の肥えた今の本格ファンなら、限定された時間帯の中で、大勢の容疑者の動きを並行して追う過程に面白さを見つけることが出来ると思います。そして容疑者の動きが混迷を極めた果てに、たったひとつのアイデアが事件を照らしたときに、一気に解決へと導かれていく謎解きは爽快感があります。読書中は関係者の動きに夢中になり、キャロラス・ディーンが真相を語る頃には、それまでの長い捜査の中に埋め込まれた手がかりの上手さ、開幕早々に仕掛けられた巨大なミスリードに舌を巻くことになるでしょう。このような「先が気になる面白さ」と解決後に「さかのぼって確認する面白さ」がともに味わえる良作です。

 キャラクターたちにも味があり、ルーパートとキャロラスのコンビには古典的な探偵小説の雰囲気を感じるし、なかでも容疑者の身内のリンブリックというおっさんが強烈。探偵小説マニアなのです。彼の口からはグラディス・ミッチェル、E.C.R.ロラック、ジョン・ロードといった実在した探偵作家の名前がボンボン出てくるのです!しかもこれらの作家の作品は近年の翻訳ブームでわが国に紹介されたものばかりです。本書が復刊された今ならこのおっさんと面白さを共有できます!すばらしい時代だ!


 というわけでオススメ。文庫で安いので買っときましょう。
 シリーズ第3作『Dead for a Ducat』も良作らしいので、本書が売れれば翻訳されるかな~?(チラッチラッ




骨と髪 (ヴィンテージ・ミステリ・シリーズ)骨と髪 (ヴィンテージ・ミステリ・シリーズ)
(2005/08)
レオ ブルース、森 英俊 他

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「2006本格ミステリ・ベスト10」
海外本格ミステリ・ランキング 第1位

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[ 2012/02/09 23:27 ] レオ・ブルース | TB(0) | CM(0)

レオ・ブルース「結末のない事件」 

結末のない事件 結末のない事件
レオ ブルース (2000/09)
新樹社

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★★★★☆

 さまざまの難事件を解決し、退職して私立探偵を開業したビーフ。兄の無罪を立証してほしいという依頼にビーフはなぜかいつもの名探偵顔負けの解決ぶりを発揮しない…。巧妙に仕組まれた謎、アガサ・クリスティーに匹敵するミスディレクション、そして思いもかけぬ解決。ブルースの名作第3作。

 ビーフ・シリーズ第3作。これの前にきちんと『死体のない事件』を読んでおくべきだった。も~、早く言ってよ。
 もうこういうオチもお腹いっぱいといった感じですが、なんたってタイトルが『結末のない事件』だから、最後の最後までどうやって話を纏めるのか興味が尽きません。実際、ビーフは最後になるまで推理を口にしないし、真相も最後の最後数ページまで伏せられているため、嫌でも期待は高まるわけです。肝心のオチに関しては、ちょっと期待しすぎたかな。レオ・ブルースらしくて面白い(特に誌面でのビーフのバカにされようには思わず笑ってしまいました)のだけれど、罪と罰のオチのつけ方といえば、エラリー・クイーンの「キャロル事件」の方が断然上に感じるし、なんていうか中途半端に感ます。
 ですが、伏線やミスディレクションは大変素晴らしく、何度も言及される手がかり以外に、さりげなく描写されているものが謎解きに有効に機能したり、解説にも書かれてある『ルバイヤート』に関するミスディレクションには舌を巻きました。名探偵を皮肉るラストはそれなりだったけど、こういう部分は非常に満足できる出来です。


 なにやら当時の評価は低かったらしく、ちょっと調べてみました。

 レイトン・コートの謎 1925
 陸橋殺人事件 1925  
 ウィッチフォード毒殺事件 1926  
 ロジャー・シェリンガムとヴェインの謎 1927  
 毒入りチョコレート事件 1929
 第二の銃声 1930
 最上階の殺人 1931  
 地下室の殺人 1931  
 ジャンピング・ジェニイ 1933

 サイロの死体 1933
 Panic Party(米 Mr. Pidgeon's Island) 1934
 三人の名探偵のための事件 1936
 死体のない事件 1937
 結末のない事件 1939
 ロープとリングの事件 1940


 オレンジがバークリー、緑がノックス、青がレオ・ブルース。数字は出版年。
 こうやってみると完全にバークリー、ノックスの後追いなんだよなぁ。
 あとそれから、本作みたいなオチはちょうど今年翻訳されたクラシック作品とも似ており、バークリーがほとんど紹介されたことと併せ、今読むのには少々時期が悪かったかも。
 でもまぁこういうオチはもともと好きだし、巧みな伏線とミスディレクションも素晴らしかったので悪くない。
[ 2006/11/02 20:23 ] レオ・ブルース | TB(0) | CM(0)

レオ・ブルース「骨と髪」 

・出版社/メーカー:原書房
・定価:¥2,310
・発売日:2005/08
・メディア:単行本

★★★★☆

 「従妹のアンが行方不明になった。財産狙いで夫が殺して逃げたにちがいない」。依頼を受けたキャロラス・ディーンが調査を進めてるうち、次第に不可解な事実が明らかになってきた。かつて夫婦が住んでいた場所でもアンは失踪し、やはり夫が殺して逃げたという噂が流れていた。しかしその「アン」はキャロラスが探しているアンとは別人としか思えない。背格好も性格も違いすぎるのだ。しかし本当に別人なのか?
 軽妙で洒落たストーリーテリング、巧みで切れのある仕掛けで読者に挑む本格推理。


  「2006本格ミステリ・ベスト10」
  ・海外本格ミステリ・ランキング 第1位


 とのことなので読んでみました。
 レオ・ブルースの作品を読むのはこれが2作目。「三人の名探偵の事件」は面白かったんですが、他の作品は読むのが後回し後回しになってしまい、結局未読。
 この作品はビーフものではないですが、レオ・ブルースらしい期待を裏切らない傑作でした。

  過去に何が起こったのかはっきりせず、まさに霧の中を進むようで、怪奇性とユーモアをも併せ持った作品です。ある人物の過去を明らかにするために、足を使って聞き込みや調査をする過程は、本ミス第5位の「愚か者の祈り」と似ていました。その部分はどっちかというと「愚か者の祈り」のほうが面白いくらい。たぶんこの作品が1位になったのは、ラストで明らかにされるへんてこりんな真相にあると思います。
 その真相は、今の時代に通ずるものがあるし、なによりそのことのためにそこまでするかと呆然。素人探偵はかなりの人物に聞き込みをするのですが、そのなかに大量の伏線を埋め込んでいて、ラストでそれらが活きてくるのは黄金時代のミステリらしいと思います。
 真相はそこまで意表をついたものではありませんでしたが、それでも驚けてしまうのは不思議です。

 「三人の名探偵の事件」もそうでしたが、ミステリでは当たり前となっていることを崩している部分もあって、皮肉が面白いです。
 個人的には本ミス第2位の「悪女パズル」の方が好みですが、ミステリ史に名前を刻むとしたら、こっちの「骨と髪」だろうなぁと。
[ 2005/12/18 18:52 ] レオ・ブルース | TB(0) | CM(0)

レオ・ブルース「三人の名探偵のための事件」 

・出版社/メーカー:新樹社
・定価:¥2,100
・発売日:1998/12
・メディア:単行本

★★★★☆

 なごやかなウィークエンド・パーティの夜、突如として起こった密室殺人事件。三人の名探偵たちはそれぞれ推理をつくして謎に挑戦する!

 「新樹社ミステリ」の一冊で、2000年版『このミス』第4位と人気も高いみたい。
 ピーター・ウィムジィ卿、エルキュール・ポアロ、ブラウン神父をモデルにしたとおぼしき三人の名探偵が、事件解決に乗り出します。
 「世界ミステリ作家事典[本格派篇]」のアントニイ・バークリーの頁によると、この作品は多重推理をテーマとした「毒入りチョコレート事件」を意識して書かれたようだ。ただ「毒入りチョコレート事件」の方は推理の瑕を指摘し、新たな推理がそれをひっくり返すの繰り返しですが、こちらの「三人の名探偵のための事件」の方は、三つの推理が並列して提示されます。というのも、各探偵がそれぞれ別行動をするためで、仕入れた情報が各人違うからです。ラストにおいて、三つの推理をビーフ巡査部長の推理が一刀両断するのは、「毒入りチョコレート事件」とはまた違った面白さと言えると思います。

 探偵を皮肉った真相や、主人公のビーフからすると事件解決の邪魔でしかない探偵の存在など、そういう部分が割りと楽しめました。悪くない作品だと思います。読み終わると良く分かりますが、タイトルも実に皮肉たっぷり!

 ラストでビーフがサーストンとウィリアムズをふたりきりにさせたのは、一応説明されていますが、やっぱりおかしいよね。



 「骨と髪」という作品も、そろそろ原書房から出るみたいですね。もう出てるのかな?
 海外古典は値段高いうえにペースはやすぎ(笑)。特に論創社! m9(`・ω・´) でもこれはうれしいことかな。
[ 2005/08/15 16:12 ] レオ・ブルース | TB(0) | CM(0)
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プロフィール

ウイスキーぼんぼん

Author:ウイスキーぼんぼん

初めて読んだミステリは『そして扉が閉ざされた』(岡嶋二人)。以来ミステリにどっぷりハマリ中。
「SUPER GENERATION」で水樹奈々さんに興味を持ち「Astrogation」で完全にハマる。水樹奈々オフィシャルファンクラブ「S.C. NANA NET」会員。

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好きな推理作家:島田荘司ゴッド
嫁本:アトポス)
好きな歌手:水樹奈々ちゃん
嫁曲:SUPER GENERATION)
誕生日:ヘレン・マクロイとおなじ
体型:金田一耕助とおなじ

本年度のお気に入り(国内)
御朱印巡り
集めた御朱印です。
(各都道府県参拝した順)
※記事に出来ていない寺社多数です!鋭意執筆中!
※リンクが切れているものは下書き状態です。しばらくしたら公開されます。

【東京】
・靖國神社(その1)
・靖國神社(その2)
・東京大神宮
・浅草寺 御本尊
・浅草寺 浅草名所七福神
・浅草神社
・浅草神社 浅草名所七福神
・今戸神社
・明治神宮(その1)
・明治神宮(その2)
・増上寺
・烏森神社
・神田明神
・乃木神社
・上野東照宮

【神奈川】
・鶴岡八幡宮
・建長寺
・高徳院(鎌倉大仏殿)
・長谷寺

【愛知】
・熱田神宮
・一之御前神社、別宮八剣宮
・真清田神社
・大神神社
・大須観音

【大阪】
・大阪天満宮
・豊國神社
・四天王寺
・住吉大社
・坐摩神社
・法善寺
・難波八阪神社
・道明寺天満宮
・一心寺
・安居神社
・生國魂神社
・生國魂神社 干支(申)
・生國魂神社 干支(酉)
・三光神社
・玉造稲荷神社
・今宮戎神社
・方違神社
・難波神社
・露天神社(お初天神)
・太融寺
・大鳥大社
・石切劔箭神社
・枚岡神社
・慈眼寺
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【京都】
・鈴虫寺(その1)
・鈴虫寺(その2)
・松尾大社(その1)
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・天龍寺
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・常寂光寺
・二尊院
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・河合神社(下鴨神社摂社)
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・護王神社
・御霊神社
・下御霊神社
・平安神宮
・銀閣寺(慈照寺)
・金閣寺(鹿苑寺)
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・八坂神社 美御前社
・八坂神社 又旅社
・八坂神社 冠者殿社
・八坂神社 青龍
・八坂神社 祇園御霊会
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・伏見稲荷大社 奥社奉拝所
・伏見稲荷大社 御膳谷奉拝所
・三十三間堂
・養源院
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・南禅寺(その1)
・南禅寺(その2)
・永観堂(禅林寺)
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・北野天満宮 宝刀展限定「鬼切丸」
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・青蓮院門跡 近畿三十六不動尊霊場
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・金峯神社
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・比叡山延暦寺 大講堂
・比叡山延暦寺 阿弥陀堂
・比叡山延暦寺 法華総持院東塔
・比叡山延暦寺 釈迦堂
・比叡山延暦寺 横川中堂
・比叡山延暦寺 四季講堂(元三大師堂)
・三尾神社
・三井寺 金堂
・三井寺 黄不動明王
・近江神宮

【兵庫】
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・廣田神社
・西宮神社
・湊川神社
・走水神社
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【岡山】
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【鳥取】
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【徳島】
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【福岡】
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・筥崎宮(筥崎八幡宮)
・住吉神社

【沖縄】
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■朱印帳■
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