読み終わったミステリについてコメント。でも最近は脇道にそれぎみ。 このブログは水樹奈々さんを応援しています。

泡坂妻夫「湖底のまつり」 

湖底のまつり湖底のまつり
1994/6
泡坂 妻夫

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★★★★☆



 【内容紹介】

 傷ついた心を癒す旅に出た香島紀子は、山間の村で急に増水した川に流されてしまう。ロープを投げ、救いあげてくれた埴田晃二という青年とその夜結ばれるが、翌朝晃二の姿は消えていた。村祭で賑わう神社で、紀子は晃二がひと月前に殺されたと知らされる。では昨日、晃二と名乗っていた人物はだれか。読む者に強烈な眩暈感を与えずにはおかない泡坂妻夫の華麗な騙し絵の世界。




 今更な感じもしますが、先日書店へ行って、新本格ミステリの再読用の本を物色するために文庫本エリアをウロウロしてたら発見したのがこの本。ポップを見ると、今話題沸騰中のミステリなんだそうな。どこで流行っているのかよくわからないのですが、連城三紀彦氏(ガイドブックや復刊)や、竹本健治氏(このミス1位に短編集新刊)らがスポットを浴びている昨今、久しぶりに同時代の作家である泡坂妻夫氏も良いだろうと思って、再読してみました。

 作者がマジシャンであることを考えるといかにも「らしい」作品です。読者に見せたカードが、終段で別の絵柄に変わるサプライズ、右手にあるはずのコインが、いつのまにか左手に移動しているミスリード、このような詐術が小説化されたと言っても良いのが本書です。
 ダムの底へと沈む舞台と、ヒロインの女性が川で溺れかける事故が交錯し、冒頭から夢の中を彷徨い歩くかのような幻想性に覆われている物語です。一夜限りの村祭り、男性との邂逅、もうじき水底へと沈む村――これらの時限式イベントが幾重にも重ねられるために、ひとつの儚さを生むと同時に、過去と現在、日常と非日常を曖昧なものにしています。このような幻想性・文学性の高さは連城三紀彦氏や竹本健治氏らと同じ時代に活躍した幻影城作家らしさを感じさせてくれます。
 大どんでん返し――で終わる類のミステリでは無く、ひっくり返されたあとに、序盤の序盤まで遡って作者の「仕込み」の周到さ、つまり、右手のコインを消すまでに、どれだけ早い段階から左手で手品をしていたのかを知って驚けるのが本書です。おそらくミステリを読み慣れた読者、ある程度ミステリの構造まで考えてしまうような玄人向けの作品だと思います。
 レッドヘリングが、ミステリとして読者の目をそむけるためのミスリードにとどまらず、物語としての結末部分へ、上手い具合連結する伏線と化してしまうのが驚くべきところです。トリックと物語が密接なのです。女性が一夜の思い出を胸に男性を求めて村へ戻る時、そしてダムが決壊して、“故郷が甦る”時、その瞬間に全ての絵が正しい姿を見せるクライマックスはミステリとしても物語としても感動的です。

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[ 2017/04/09 02:56 ] 泡坂妻夫 | TB(0) | CM(0)

泡坂妻夫「夢の密室」 

・出版社/メーカー:光文社
・定価:¥540
・発売日:1998/03
・メディア:文庫

★★★☆☆

 収録作6つの内5つが不可能犯罪ものという、なんとも豪華な短編集!

[ 2005/07/03 18:18 ] 泡坂妻夫 | TB(0) | CM(0)

泡坂妻夫「砂時計」 

・出版社/メーカー:光文社
・定価:¥540
・発売日:2000/03
・メディア:文庫

★★☆☆☆

 親友に"離婚した女と一緒になってくれ"と頼まれたら…?二見幸夫は、能勢陶吉の頼みを断われず、彼の元妻・波妙と奇妙な同居生活を始める。半月後、能勢は殺人容疑で逮捕された。波妙は「計画的犯行だった」と二見に告白。親友の確信犯的殺人の背後には何が…!?(表題作)紋章上絵師、仕立職人、奇術師等―奇才が仕掛けた綺羅星の如きトリック。哀歓漂う傑作選。

 文庫の表紙に書かれている「傑作推理小説」という言葉に釣られてしまったようだ。この作品集の大半、というかほとんどがミステリー“的”な作品。収録作にはたいてい「あっ、なるほど」という場面があるが、それは広い意味でのミステリーで、謎解きの本格ものではなかった。
 紋章上絵師、仕立て職人などの人情話が多いが、そのなかでもやはりミステリーとして光る作品があった。個人的なお気に入りは「静かな男」「鶴の三変」。「静かな男」の方は金森という物静かな男が、銀行強盗をしてしまうお話で、「何故金森がそんなことをしたのか?」という動機の真相が秀逸。伏線がちゃんと張られているので、読者もある程度納得できる仕上がりになっている。一方「鶴の三変」の方は、会うたびに美しくなる鶴子と、彼女の周りで起こる事件の関連に迫る話。以前読んだ「ダイヤル7をまわす時」に収録されている「可愛い動機」の様な作品。こちらもホワイダニットが楽しめる。こんな動機で殺人を犯す人間はおらんだろうと思うが、ミステリとしてはこういった作品のほうが面白いんだよなぁ。

 たとえば亜愛一郎シリーズのような本格ミステリ集より、「砂時計」に収録されている作品は、小説としての面白みがある気がするので、こちらの方が一般受けしそう。こういうのも泡坂妻夫さんらしいけど、やっぱり、わたしは「おもいっきり騙されたい」という気持ちが強いので、少し複雑。
[ 2005/05/19 22:44 ] 泡坂妻夫 | TB(0) | CM(0)

泡坂妻夫「死者の輪舞」 

・出版社/メーカー:講談社
・定価:¥441
・発売日:1989/01
・メディア:文庫

★★★★☆

 競馬レースの最中、しかも大観衆のど真中で、1人の男が殺された!しかもこれが合図かのように、奇妙極まりない殺人事件が続発。特殊犯罪捜査課のベテラン&新米の名物刑事コンビが、乗り出して、右往左往の末に解明した事件の驚くべき全貌。緻密なトリックと軽妙な語り口。新境地を拓く鬼才の傑作長編!

 後の「毒薬の輪舞」へと続く輪舞シリーズ(?)の第1作目。第3作目の未刊の本「紙幣の輪舞」の噂も聞いた事があるけど、どうなったのかな。
 病院が舞台となっていることや「命を助けるはずの医師が殺人の指導者」といったような逆説など「毒薬の輪舞」といくつかの共通項を見つけることができた。
 序盤からハイペースで事件が起こって、進介・海方コンビが捜査をするのだけど、全体のつながりが有るのか無いのか全く謎。「どの被害者も幸せを感じている時に殺された」という奇妙な共通項がさらに事件を難解にさせる。
 中盤から推理の中心を占めることになる、事件のウロボロス説には驚いた。まさか、刑事が主役のミステリでそれが出るとは思わなかった。しかもそれが、ラストに巨大なミスディレクションとして機能させていたと知り、さらに驚き。
 人を殺す動機より、自分を殺す動機に目を向けなければならなかった点や、加害者と被害者が協力しあった点など、ミステリとして型破りなことが多かったのも面白かった。
 鎖のように閉じられた閉鎖的な事件は、ただひたすら死に目を向けている8人を象徴しているようで、テーマと事件構造の一体感がみごとに演出されていた。
[ 2005/04/09 17:22 ] 泡坂妻夫 | TB(0) | CM(0)

泡坂妻夫「ダイヤル7をまわす時」 

・出版社/メーカー:光文社
・定価:¥448
・発売日:1990/04
・メディア:文庫

★★★★☆

 ミステリばかりを集めた短編集なので、個人的は非常にうれしい。
 しかもどの短編もレベルが高く、技巧の光るものばかり。とにかく意表をつく真相ばかりなので、すれっからしのミステリファンもかなり驚けると思う。

[ 2005/03/27 00:13 ] 泡坂妻夫 | TB(0) | CM(0)

泡坂妻夫「蚊取湖殺人事件」 

・出版社/メーカー:光文社
・定価:¥540
・発売日:2005/03/10
・メディア:文庫

★★★☆☆

 収録作の内「雪の絵画教室」と「蚊取湖殺人事件」以外は文庫オリジナル
収録作でお気に入りは「雪の絵画教室」と「蚊取湖殺人事件」。

 表題作の「蚊取湖殺人事件」は「ミステリーズ」の、真相を当てるとサイン色紙がもらえる企画のトップバッターだった覚えがある。結構正解率良かったみたいだけれど、私は思いっきり外した気が…。泡坂氏は今年で72歳らしいけれど、こんなにクオリティーの高いミステリが書けるなんて信じられない。すごい。

 「雪の絵画教室」は雪の密室をあつかった本格モノ。パズル要素の強い作品で、意表を突いた犯人も良かった。
 純粋な気持ちでキャンバスに向かう渡辺と、時間に追われるミケランジェロの2人の差がもっと真相に関わってくるのかなと思ったけど、そうでもなかったので少し残念。
 トリックもおぼろげながら見抜けたが、まさか本当にそれが真相とは…。

 「銀の靴殺人事件」は解決に至るまでの論理展開が自然。何気ない冒頭のエピソードもラストでちゃんと繋がって、とても綺麗な作品だと思う。

 「秘宝館の秘密」はユーモアたっぷりな雰囲気のなか、怪奇現象や秘宝館の不気味さがアクセントとして効いていていい感じ。雪の足跡のトリックはさすがにすぐわかったが、現金の隠し場所の方は面白かったかな。
モアイ像の顔が、何故犯人の顔に似ていたのか少し疑問。

 ここまでが本格ミステリとして十分に楽しめる作品。だけれど、「えへんの守」等もミステリとして面白かった。ラストで、前半に出された謎の説明がついて物語が1本になる点はミステリの面白さだと思う。奇術師でもある著者だからこそ見えてくる問題点なども興味深かった。

 「念力時計」「紋の神様」も著者ならではのネタ。
死んだ人の奇術コレクションはどうなってしまうのかという問題は「本棚探偵の冒険」を思い出してしまった。もっとも、こちらは古書の話だけど。
 社家さんなど曾我佳城シリーズでおなじみの登場人物も出てくるし、ラストの奇術博物館もおそらく佳城苑のことだろう。
[ 2005/03/13 16:10 ] 泡坂妻夫 | TB(0) | CM(0)
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プロフィール

ウイスキーぼんぼん

Author:ウイスキーぼんぼん

初めて読んだミステリは『そして扉が閉ざされた』(岡嶋二人)。以来ミステリにどっぷりハマリ中。
「SUPER GENERATION」で水樹奈々さんに興味を持ち「Astrogation」で完全にハマる。水樹奈々オフィシャルファンクラブ「S.C. NANA NET」会員。

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好きな推理作家:島田荘司ゴッド
嫁本:アトポス)
好きな歌手:水樹奈々ちゃん
嫁曲:SUPER GENERATION)
誕生日:ヘレン・マクロイとおなじ
体型:金田一耕助とおなじ

本年度のお気に入り(国内)
御朱印巡り
集めた御朱印です。
(各都道府県参拝した順)
※記事に出来ていない寺社多数です!鋭意執筆中!
※リンクが切れているものは下書き状態です。しばらくしたら公開されます。

【東京】
・靖國神社(その1)
・靖國神社(その2)
・東京大神宮
・浅草寺 御本尊
・浅草寺 浅草名所七福神
・浅草神社
・浅草神社 浅草名所七福神
・今戸神社
・明治神宮(その1)
・明治神宮(その2)
・増上寺
・烏森神社
・神田明神
・乃木神社

【愛知】
・熱田神宮
・一之御前神社、別宮八剣宮
・真清田神社
・大神神社
・大須観音

【大阪】
・大阪天満宮
・豊國神社
・四天王寺
・住吉大社
・坐摩神社
・法善寺
・難波八阪神社
・道明寺天満宮
・一心寺
・安居神社
・生國魂神社
・生國魂神社 干支(申)
・生國魂神社 干支(酉)
・三光神社
・玉造稲荷神社
・今宮戎神社
・方違神社
・難波神社
・露天神社(お初天神)
・太融寺
・大鳥大社
・石切劔箭神社
・枚岡神社
・慈眼寺
・久安寺

【京都】
・鈴虫寺
・松尾大社(その1)
・月読神社
・天龍寺
・御髪神社
・常寂光寺
・二尊院
・野宮神社
・下鴨神社(賀茂御祖神社)
・河合神社(下鴨神社摂社)
・盧山寺
・梨木神社
・白雲神社
・護王神社
・御霊神社
・下御霊神社
・平安神宮
・銀閣寺(慈照寺)
・金閣寺(鹿苑寺)
・龍安寺
・八坂神社
・八坂神社 美御前社
・八坂神社 又旅社
・八坂神社 冠者殿社
・八坂神社 青龍
・八坂神社 祇園御霊会
・伏見稲荷大社 本殿
・伏見稲荷大社 奥社奉拝所
・伏見稲荷大社 御膳谷奉拝所
・三十三間堂
・養源院
・東福寺
・建仁寺
・南禅寺(その1)
・南禅寺(その2)
・永観堂(禅林寺)
・北野天満宮
・北野天満宮 宝刀展限定「鬼切丸」
・大将軍八神社
・法輪寺(達磨寺)
・妙心寺
・妙心寺 退蔵院
・仁和寺
・建勲神社
・晴明神社
・御金神社
・八大神社
・豊国神社
・由岐神社
・鞍馬寺
・貴船神社
・六道珍皇寺
・六道珍皇寺 六道まいり
・六波羅蜜寺 都七福神
・安井金比羅宮
・知恩院 徳川家康公四百回忌
・青蓮院門跡
・青蓮院門跡 近畿三十六不動尊霊場
・粟田神社
・鍛冶神社(粟田神社末社)
・東寺
・上賀茂神社(賀茂別雷神社)
・大徳寺 本坊
・大徳寺 高桐院
・今宮神社
・妙顯寺
・三千院 御本尊
・三千院 西国薬師四十九霊場第四十五番
・三千院 聖観音
・実光院
・勝林院
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・寂光院
・宝厳院
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・宝蔵寺 伊藤若冲
・勝林寺
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・宇治上神社
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・薬師寺 水煙降臨
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・東大寺 華厳
・東大寺 二月堂
・春日大社 ノーマル
・春日大社 第六十次式年造替
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・興福寺 南円堂
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・吉野水分神社
・金峯神社
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・法隆寺 西円堂
・中宮寺
・法輪寺
・法起寺
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・橘寺
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・飛鳥坐神社

【和歌山】
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・高野山 奥之院
・高野山 女人堂
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・青岸渡寺
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・伊太祁曽神社
・國懸神宮
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【滋賀】
・比叡山延暦寺 文殊楼
・比叡山延暦寺 根本中堂
・比叡山延暦寺 大講堂
・比叡山延暦寺 阿弥陀堂
・比叡山延暦寺 法華総持院東塔
・比叡山延暦寺 釈迦堂
・比叡山延暦寺 横川中堂
・比叡山延暦寺 四季講堂(元三大師堂)
・三尾神社
・三井寺 金堂
・三井寺 黄不動明王
・近江神宮

【兵庫】
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・廣田神社
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・水尾神社
・兵庫縣姫路護國神社
・播磨国総社 射楯兵主神社
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・北野天満神社

【岡山】
・吉備津神社
・吉備津彦神社

【鳥取】
・白兎神社
・宇倍神社
・聖神社
・鳥取東照宮(樗谿神社)

【広島】
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・素盞嗚神社
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・出雲大社 福山分社
・沼名前神社(鞆祇園宮)
・福禅寺(対潮楼)

【徳島】
・大麻比古神社

【福岡】
・太宰府天満宮
・筥崎宮(筥崎八幡宮)
・住吉神社

【沖縄】
・波上宮

■朱印帳■
・京都五社めぐり
・高野山 開創1200年記念霊木朱印帳
・平安神宮 御朱印帳
・全国一の宮御朱印帳
・住吉大社 御朱印帳
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・晴明神社 御朱印帳
・東寺 御朱印帳
・明治神宮 御朱印帳
・大阪市交通局 オオサカご利益めぐり御朱印帳
・北野天満宮「宝刀展」記念朱印帳
・熊野那智大社 御朱印帳

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