読み終わったミステリについてコメント。でも最近は脇道にそれぎみ。 このブログは水樹奈々さんを応援しています。

知念実希人「神のダイスを見上げて 広島限定版」 

神のダイスを見上げて 広島限定版神のダイスを見上げて 広島限定版
2018/11/1
知念実希人

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★★★★★



 【内容紹介】

 地球に向けて、巨大小惑星ダイスが接近中。人類は、あと5日で終わりを迎える。人々はその瞬間、『裁きの刻』をどう迎えるのか―高校生の漆原亮の姉、圭子が殺された。コスモスの咲き乱れる花壇で、全裸で胸にナイフを突き刺された姿で発見された姉は、亮にとって唯一の家族、“世界そのもの”だった。恋人のこともそっちのけで、亮はとにかく犯人を見つけ出し、自分の手で復讐したいと暴走。そして“あるもの”を手に入れるため、クラスの“禁忌”と呼ばれる異端児・四元美咲に接触する。優しく、美しかった圭子を殺したのは、圭子の恋人だったのでは?しかしそれが誰なのかわからない。犯人を追い求めて、亮は圭子が入っていた天文学同好会、そしてダイスを崇拝するカルト集団『賽の目』に踏み込んでいく…。人類滅亡まであと幾日もない中で、なぜ圭子は殺されなければならなかったのか―




 『神のダイスを見上げて 広島限定版』は、広島の書店で先行発売されたものです。通常版の発売日より1か月ほど早くリリースされ、さらにジャケットも通常版と異なります。さらに全ての本に著者直筆のサイン入りという特別仕様になっています。
 しかし、内容のほうは多分通常版と広島限定版で違いはないと思われます。物語には広島は絡んできません。出版社の狙いとしては、この広島限定版を求めて、ファンの方々が広島まで旅行(遠征)して、本屋さん巡りをすることにあるのだと思います。広島出身のわたしとしては、こういう試みは面白いと思うし、観光で足を運んでくださる方がいるのであれば、それはやっぱり嬉しいことです。

 本作は帯にある言葉を借りると「ノンストップ・タイムリミット・ミステリー」です。作者持ち前のリーダビリティの高さがタイムリミットサスペンスを盛り上げています。何よりユニークなのが設定で、物語は小惑星「ダイス」が地球に衝突する直前を描いているだけでなく、絶望に覆われたその世界での、殺人事件の謎解きを描いている点です。
 数日後には人類が滅亡する世界で殺人を犯す理由にスポットを当てながら、同時に暴徒化した市民による警察組織の無力化をも描いているのが、本格ミステリの骨格を揺らがせています。後者については、警察「組織」だけではなく刑事「個人」においても、最期の時を愛する人と過ごしたい、という人としての想いによって事件捜査のモチベーションの低下が描かれているのが入念です。
 小惑星衝突の「裁きの刻」を迎えるにあたっての、ヒロイン四元とその母、串崎刑事とその娘の関係が、実はミスリードになっていて、犯行動機を完璧に読者の目から反らせてしまいます。犯行動機自体もある意味逆説的であり、それ単体においても読者には容易に尾っぽを掴ませません。制限時間付きのタイムリミットサスペンスという設定が、本格ミステリにおけるホワイダニットに奉仕されているのです。サスペンス、本格ミステリを経た後に浮かび上がるのが、青春であり愛であったりするのが展開として上手く、クライマックス畳み掛けるようなドンデン返しと相まって、駆け抜けるような読後感はたいそう気持ちが良いです。
 「狂人の理論」とも取れる犯行動機は注目ですが、それが人類滅亡直前という特殊状況から導かれているものである点で「異世界本格」といえるかもしれません。そんな「異世界本格」の魅力を持ちながらも、我々と地続きの世界を描き、地に足の着いた青春や恋愛を同時に描いているのがアクロバティックです。
 コアな本格ファンはもちろん、キャッチーな設定と読みやすさでライトなミステリファンにもおすすめできる作品だと思います。




神のダイスを見上げて神のダイスを見上げて
2018/12/13
知念実希人

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[ 2019/01/05 19:35 ] 知念 実希人 | TB(0) | CM(0)

知念実希人「祈りのカルテ」 

祈りのカルテ 祈りのカルテ
2018/3/29
知念 実希人

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★★★★☆



 【内容紹介】

 諏訪野良太は、純正会医科大学附属病院の研修医。初期臨床研修中で、内科、外科、小児科、産婦人科など、様々な科を回っている。ある夜、睡眠薬を大量にのんだ女性が救急搬送されてきた。その腕には、別れた夫の名前が火傷で刻まれていた。離婚して以来、睡眠薬の過剰摂取を繰り返しているという。しかし良太は、女性の態度に違和感を覚える。彼女はなぜ、毎月5日に退院できるよう入院するのか…。(「彼女が瞳を閉じる理由」)初期の胃がんの内視鏡手術を拒否する老人、循環器内科に入院中の我が侭な女優…。驚くほど個性に満ちた患者たちとその心の謎を、新米医師、良太はどう解き明かすのか。ふと気づけば泣いていた。連作医療ミステリ。




 諏訪野良太という研修医を主人公とした医療ミステリーです。彼が研修期間中、精神科、外科、皮膚科、小児科、循環器内科の5つの科を順繰りに巡って、自身の配属を決めるまでを描いた連作集です。それぞれの科で出会った患者にまつわる謎を解いていく趣向が、ミステリー連作の造りとして面白いです。
 いずれの患者も秘めたる想いを持っており、諏訪野良太が患者と真摯に向き合うことで、その患者が持つ複雑な想いを見抜いていきます。入院後患者の火傷が広がる謎、処方された薬を捨てる患者、内視鏡手術ではなく敢えて開腹手術望む患者、などなど、わざわざ病院にかかっているのに普通じゃ考えられないことが続発します。これらの「何故?」がミステリとしてのホワイダニットの魅力に繋がっています。
 多くの作品に共通して言えるのが、患者の「自己犠牲」です。自分以外の誰かを幸せにするために、事が良い方向へと向かわせるために、自身の体を痛めつけており、それが想いの強さを体現させる形になっています。患者を救い快方へと向かわせる、という使命を持ち職務を全うする医者(探偵)と、本作で描かれる患者(犯人)たちの目的はどこか根っこの部分では共通するところがあるのが面白いです。その患者の自己犠牲が最大に描かれるのが、最終話「胸に嘘を秘めて」でしょうか。連作集総タイトル「祈りのカルテ」の真の意味がここに来て明らかになります。ある段階で明らかになる、患者が抱く救済への願いは大変大きく、それがミステリとしてサプライズの大きさ、そして物語の感動の大きさ、その双方へとつながっていくプロットは巧妙です。
 サプライズの大きさでいえば「シンデレラの吐息」が個人的にはベスト。本作で描かれているホワイダニットには前例がありますが、割とサイコ方面のダークサイドへと話の展開が持って行かれがちなネタであるにもかかわらず、ハッピーエンドで後味の良いものにしているところが作者らしくて好きです。

[ 2018/03/31 19:15 ] 知念 実希人 | TB(0) | CM(0)

知念実希人「崩れる脳を抱きしめて」 

崩れる脳を抱きしめて崩れる脳を抱きしめて
2017/9/15
知念 実希人

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★★★★☆



 【内容紹介】

 彼女は幻だったのか?
 今世紀最高の恋愛ミステリー!!

 作家デビュー5周年、
 実業之日本社創業120周年記念作品

 圧巻のラスト20ページ!
 驚愕し、感動する!!!
 広島から神奈川の病院に実習に来た研修医の
 碓氷は、脳腫瘍を患う女性・ユカリと出会う。
 外の世界に怯えるユカリと、過去に苛まれる
 碓氷。心に傷をもつふたりは次第に心を
 通わせていく。実習を終え広島に帰った
 碓氷に、ユカリの死の知らせが届く――。




 知念実希人氏の作家デビュー5周年と、実業之日本社創業120周年の両方がクロスする、作者にとっても版元にとっても勝負作となるであろう作品です。
 単行本税抜き1,200円、美麗な表紙イラスト、そしてキャッチーなタイトルと、「圧巻」「驚愕」「感動」という大フォントが並ぶ帯――書店に足を運んだ人間がレジへこの本を持っていくハードルは極めて低いと思われます。
 内容としては、簡単に言うと難病を患う女性に研修医が恋をする物語なのですが、前半部に患者である彼女との出会いを描き、後半は一転、場面が変わり彼女との別れを描くプロットは、起伏があり贅沢です。前半部分では、医者が患者に恋をする(あるいはその逆も)、というある意味王道のプロットを貫き、読者に「あるよねあるよね」といった安心した読書を提供しながらも、後半では彼女は死んだのか?はたまた生きているのか?遺書は本物か?最新の遺書なのか?古い遺書ならば最新の遺書はどこへ行ったのか?落としたのか?誰かが握りつぶしたのか?そもそも彼女は病院へ入院していたのか?医師たちの反応は?根本的に脳みそが崩れているのは主人公の研修医の方ではないのか??――と、数々の疑問符が一気に読者を襲い、物語はミステリとしての姿を現し始めます。ただ、これをサスペンスとしてのスピード感を損なうこと無く、かつ恋愛小説しての感情を置き去りにすること無く描いているのは達者で、理詰めの推理を求められるミステリと上手く噛み合わせている印象です。
 前半部分が終わるころに、主人公の父親の本心が明らかになり、後半に差しかかる頃には、さらに「患者の正体」という真相に肉薄するようなミステリとしての底が一段開けられます。しかしそれでもなお謎が継続し、クライマックスでどんでん返しを仕掛けてくる謎の強度と大きさには、恋愛小説と侮っていると足をすくわれることになるでしょう。
 作者自身が「僕にしか書けない恋愛小説」と語るとおり、患者と医者という登場人物の関係性以外にも、末期患者が生きる意味を考え、その想いが駆動力となっている点など、これらがミステリとして恋愛小説として上手く噛み合っているところなども医者としての作者の持ち味が発揮されたところなのではないかと思います。なぜそこまでしたのか?するのか?というその答えが、そのまま想いの大きさへと転化され、その登場人物のエネルギーが、ミステリとしてのサプライズの大きさ、恋愛小説としての感動の大きさ、物語の支えるこの2つの両輪へと伝わり迎えるラストは心揺さぶられます。

[ 2017/09/22 02:06 ] 知念 実希人 | TB(0) | CM(0)

知念実希人「白銀の逃亡者」 

白銀の逃亡者白銀の逃亡者
2016/6/23
知念 実希人

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★★★★☆



 【内容紹介】

 深夜の救急医療室で働く岬純也のもとに、白銀の瞳をもつ美少女・悠が現れる。致死率95%の奇病から生還した「ヴァリアント」である悠は、隔離地域「憩いの森」からの脱走者だった。ヴァリアントに異常な憎悪を抱く刑事・毛利の追跡が迫る中、悠は反政府組織が企む「ある計画」を純也に明かすのだが――。手に汗握る怒濤の展開、一気読み間違いなし!




 作者のノンスリーズ作品で文庫書き下ろし。
 どちらかと言うとティーン向けの作品ですが、架空の感染症を題材にし、その症状と後遺症から発生する社会問題までをリアルに描いていてパニックシミュレーションとしても読み応えがあります。刑事、感染者の罹患者、テロの首謀者、そして内閣総理大臣、と配置される登場人物の所属はスケールが大きく大風呂敷が広げられ、物語は視点を変えながら彼らを描きます。視点が主人公一辺倒になっておらず、彼ら全員の内面を描きつつも物語のスピード感ある流れが損なわれていないのはさすがです。キャラクターがしっかりと描かれているので無駄な混乱がなく、サスペンスとしての魅力を損ねていないのです。また、彼らが何を考えて行動しているかを描くことで得られるクライマックスも纏まりが良いです。真相は意外性を伴うミステリ度合いの高いものですが、その真相単体でサプライズを引き出して終わり、というのではなく、その真相が明らかにされることで登場人物それぞれに伝播する影響までも描かれているのが特徴です。その一つの真相が、ある人物には救済に、ある人物には破滅に繋がる点が非常に考えられています。
 個性的なキャラクターは読んでいてすんなり入ってくるし、謎を振りまきながら展開する物語はスピード感もテンポも良いです。スケールの大きな物語をきちんと閉じて閉幕するまとまりの良さ、トリックや伏線確認のためにわざわざ読み返す必要のない一気読み可能な良い意味で二度読み不要のサスペンスの良作です。

[ 2016/07/03 10:28 ] 知念 実希人 | TB(0) | CM(0)

知念実希人「天久鷹央の推理カルテIII: 密室のパラノイア」 

天久鷹央の推理カルテIII: 密室のパラノイア天久鷹央の推理カルテIII: 密室のパラノイア
2015/5/28
知念 実希人

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★★★★☆



 【内容紹介】

 密室殺人。犯人は、病気(アイツ)だ。呪いの動画によって自殺を図った女子高生。男性に触れられた瞬間、肌に異常をきたす女性。そして、密室で溺死した病院理事長の息子……。常識的な診断や捜査では決して真相にたどり着けない不可解な事件。解決できるのは、怜悧な頭脳と厖大な知識を持つ変人女医・天久鷹央(あめくたかお)、ただ一人。日常に潜む驚くべき“病”と事件の繋がりを解明する、新感覚メディカル・ミステリー第3弾。




 お医者さんの天久鷹央を探偵役とするシリーズ第三弾です。
 収録作品は「閃光の中へ」「拒絶する肌」「密室で溺れる男」の3編で、「密室で溺れる男」が中編サイズ、それ以外が短編サイズのボリュームです。
 「閃光――」「拒絶――」については、カルテ回診、あるいは病院に足を運んだ患者さんの症状に目を留めて、天久が首を突っ込むのですが、最終話「密室――」については訳あって病院外で発生した殺人事件に首を突っ込んでいく点で、ほか2作品と趣が異なっています。
 3作のうち「閃光――」「拒絶――」については、真相が病を原因とするものであり専門的ではありますが、いずれもわたしたちがよく耳にする病気なので意外と専門性に対して抵抗はありません。こんなことも起こりそうだなあ、と真相に納得することでしょう。しかし、「密室――」については思いっきり専門的で、作中ではベテランの診療医ですら見抜けない特殊な症例が真相となっています。当然わたしたち素人にもこんな病気のことは分かるはずもなく、天久の説明をただ受け入れるしかありません。これじゃあメディカルミステリとして失敗作なんじゃないか…と思われる本作なのですが、実はこの専門性が本書の場合成功のカギになっているのです。
 「密室――」では、密室内で溺死した男性の謎が描かれます。“密室内での溺死”という謎は我が国のトリックメーカーである柄刀一さんの「絵の中で溺れた男」や我らが御大の『水晶のピラミッド』などの作例があります。ぱっと思い浮かびませんが、カーや二階堂黎人さんも書いているかもしれません。とまあ兎も角、こういったいかにもな密室は本格ミステリ作家が好んで書きそうな謎であるわけです。
 本作で注目なのが、このような密室内での溺死を、類例作品のように密室トリックによって説明付けていない点です。先にも書きましたが、前2作に比べて高度な専門知識が密室の謎を解明するカギになっています。動機を持つ容疑者は揃っており、密室の真相が分からない状態で天久が乗り込んでくるのですが、もし仮に探偵役が医学知識を有していない時(最後の「カギ」を持っていない時)、この段階で状況を説明できる密室トリックが存在した場合はどうなるでしょうか。おそらくその密室トリックを以って密室の真相とし、容疑者が逮捕され大団円を迎えるでしょう。しかしメディカルミステリである本書においては、それは真相を外した推理ということになります。つまり本作品は後期クイーン的問題における“未知の手がかり”という変数に“高度な医療知識”を代入して描いてみせた作品なのです。最終的に“解”を「○殺」としている点も皮肉が効いており、たいへんまとまりの良い作品でした。個人的には現時点でシリーズ最高作はこの「密室で溺れる男」です。ミステリファンは一読あれ!(^o^)





OZの迷宮OZの迷宮
2006/5/11
柄刀 一

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水晶のピラミッド水晶のピラミッド
1994/12/7
島田 荘司

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[ 2015/08/29 22:31 ] 知念 実希人 | TB(0) | CM(0)

知念実希人「天久鷹央の推理カルテII ファントムの病棟」 

天久鷹央の推理カルテII: ファントムの病棟 (新潮文庫nex)天久鷹央の推理カルテII: ファントムの病棟 (新潮文庫nex)
(2015/02/28)
知念 実希人

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★★★☆☆



 【内容紹介】

 その病気(ナゾ)、命にかかわるぞ? 炭酸飲料に毒が混入された、と訴えるトラック運転手。夜な夜な吸血鬼が現れる、と泣きつく看護師。病室に天使がいる、と語る少年。問題患者の巣窟たる統括診断部には、今日も今日とて不思議な症例が舞い込んでくる。だが、荒唐無稽な事件の裏側、その“真犯人”は思いもよらぬ病気で……。破天荒な天才女医・天久鷹央(あめくたかお)が“診断”で解決する新感覚メディカル・ミステリー第2弾。




 新潮文庫nexからメディカルミステリーの第二弾です。
 今作は白血病にかかっている少年を通して、天久と小鳥遊コンビが前作にも増してよりはっきりと描かれています。元来、ワトソン役というのは、読者に近い目線に立って、名探偵の思考に読者がおっつかない部分に対し、適宜疑問を投げかけるのが主な役目です。しかし本作のワトソン役である小鳥遊という医者はそういう役目だけにとどまっていません。天才型の名探偵である天久に足りない部分をしっかり補っているのが特徴です。よく考えてみたら、医者を探偵役にするということは、「犯行動機なんて興味が無い」「謎解きはパズル」といったようなことを言うことが許されません。特に本シリーズのように病からくる謎に軸を置いている場合、真犯人と直接対決する以上に、患者ともしっかり対話しなければならないからです。一般常識の欠ける天才型探偵とはミスマッチに思えますが、そこをサポートするのがワトソン役でした。本書に収録されている「天使の舞い降りる夜」に顕著ですが、そこに探偵役とワトソン役の上下関係は存在しません。お互いがお互いを必要としている二人三脚のような関係で、医者を主人公しているからこそ生まれる新鮮な設定でした。ワトソン役にこういう使い方があるのか、と感心しました。
 こういった二人三脚の関係は、ライトノベル風の作風とも相性が良いと思います。天久鷹央の活躍、では無くコンビとしての活躍にシリーズの今後が楽しみになってきます。
 ミステリとしては病院内で患者やナースがこぞって天使を目撃する、という奇想と、心温まる真相――掴みと着地が見事に決まる「天使の舞い降りる夜」が頭ひとつ抜け出ている印象です。全体としてハウダニットの部分は医学的知識に依存していますが、そこはあくまで真相の「従」の部分で、「主」たる部分は、どちらかというとホワイダニットです。第二話「吸血鬼症候群」にしても、おどろおどろしい事件に対して与えられた真相は全く逆のものであったりし、読後感が良いのも本書の特徴です。

 5月にシリーズ最新作が出ると聞きます。以前どこかで聞いた話ですが、ライトノベルで人気が出るためには刊行ペースが速くなければダメなんだそうです。そういう意味ではこの刊行ペースは十分と言えるのではないでしょうか。
 本業のお医者さんが自分のテリトリーを描いたミステリであり、かつジャケットイラストはいとうのいぢ氏、脅威の刊行ペース、攻守最強です。人気が出ないわけがありません。
[ 2015/04/19 22:00 ] 知念 実希人 | TB(0) | CM(0)

知念実希人「仮面病棟」 

仮面病棟 (実業之日本社文庫)仮面病棟 (実業之日本社文庫)
(2014/12/05)
知念 実希人

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★★★☆☆



 【内容紹介】

 療養型病院に強盗犯が籠城し、自らが撃った女の治療を要求した。事件に巻き込まれた外科医・速水秀悟は女を治療し、脱出を試みるうち、病院に隠された秘密を知る―。閉ざされた病院でくり広げられる究極の心理戦。そして迎える衝撃の結末とは。現役医師が描く、一気読み必至の“本格ミステリー×医療サスペンス”。著者初の文庫書き下ろし!




 福ミス受賞作家による初の文庫書き下ろし長編です。
 帯に「一気読み注意!」とあり、それは決して間違いなく、たいへんリーダビリティの高い作品といえます。序盤の早い段階で登場人物を揃えてしまい、クローズドサークルとなる舞台まで整えてしまって、わずらわしいことは抜きにしてとっとと本題に入ってしまう導入部分に好感が持てます。あとは固定された舞台で登場人物のやりとりだけで物語が展開していくため、難しいことを考えることなくどんどんページをめくってしまいました。上手く物語を展開させないと単調になりがちな設定ですが、本書の場合はそのようなこととは無縁で、次々に浮き彫りになる謎と、追っ手による恐怖、がテンポよく描かれていて道中楽しく読書をすることが出来ました。
 本書では巻末において、あらゆる伏線が一点に集中し、意外な犯人が登場します。この意外性はたいへん大きいのですが、そうはいっても全体を通してみると理詰めのフーダニットの興味よりサスペンス性で読ませている部分が大きいです。このサスペンス性で数百ページ読者の興味を煽っておけるだけの筆力があるのは著者の大きな武器だと思います。コテコテの館モノで犯人当てを描いても傑作を生むのではないかと思います。今後はそっち方面のミステリにも期待したいところです。
[ 2015/02/12 22:20 ] 知念 実希人 | TB(0) | CM(0)
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プロフィール

ウイスキーぼんぼん

Author:ウイスキーぼんぼん

初めて読んだミステリは『そして扉が閉ざされた』(岡嶋二人)。以来ミステリにどっぷりハマリ中。
「SUPER GENERATION」で水樹奈々さんに興味を持ち「Astrogation」で完全にハマる。水樹奈々オフィシャルファンクラブ「S.C. NANA NET」会員。

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好きな推理作家:島田荘司ゴッド
嫁本:アトポス)
好きな歌手:水樹奈々ちゃん
嫁曲:SUPER GENERATION)
誕生日:ヘレン・マクロイとおなじ
体型:金田一耕助とおなじ

本年度のお気に入り(国内)
御朱印巡り
集めた御朱印です。
(各都道府県参拝した順)
※記事に出来ていない寺社多数です!鋭意執筆中!
※リンクが切れているものは下書き状態です。しばらくしたら公開されます。

【東京】
・靖國神社(その1)
・靖國神社(その2)
・東京大神宮
・浅草寺 御本尊
・浅草寺 浅草名所七福神
・浅草神社
・浅草神社 浅草名所七福神
・今戸神社
・明治神宮(その1)
・明治神宮(その2)
・増上寺
・烏森神社
・神田明神
・乃木神社
・上野東照宮
・波除稲荷神社
・富岡八幡宮

【神奈川】
・鶴岡八幡宮
・建長寺
・高徳院(鎌倉大仏殿)
・長谷寺

【愛知】
・熱田神宮
・一之御前神社、別宮八剣宮
・真清田神社
・大神神社
・大須観音

【大阪】
・大阪天満宮
・豊國神社
・四天王寺
・住吉大社
・坐摩神社
・法善寺
・難波八阪神社
・道明寺天満宮
・一心寺
・安居神社
・生國魂神社
・生國魂神社 干支(申)
・生國魂神社 干支(酉)
・生國魂神社 干支(戌)
・三光神社
・玉造稲荷神社
・今宮戎神社
・方違神社
・難波神社
・露天神社(お初天神)
・太融寺
・大鳥大社
・石切劔箭神社
・枚岡神社
・慈眼寺
・久安寺
・多治速比売神社

【京都】
・鈴虫寺(その1)
・鈴虫寺(その2)
・松尾大社(その1)
・月読神社
・天龍寺
・御髪神社
・常寂光寺
・二尊院
・野宮神社
・下鴨神社(賀茂御祖神社)
・河合神社(下鴨神社摂社)
・盧山寺
・梨木神社
・白雲神社
・護王神社
・御霊神社
・下御霊神社
・平安神宮
・銀閣寺(慈照寺)
・金閣寺(鹿苑寺)
・龍安寺
・八坂神社
・八坂神社 美御前社
・八坂神社 又旅社
・八坂神社 冠者殿社
・八坂神社 青龍
・八坂神社 祇園御霊会
・伏見稲荷大社 本殿
・伏見稲荷大社 奥社奉拝所
・伏見稲荷大社 御膳谷奉拝所
・三十三間堂
・養源院
・東福寺
・建仁寺
・南禅寺(その1)
・南禅寺(その2)
・永観堂(禅林寺)
・北野天満宮
・北野天満宮 宝刀展限定「鬼切丸」
・大将軍八神社
・法輪寺(達磨寺)
・妙心寺
・妙心寺 退蔵院
・仁和寺
・建勲神社
・晴明神社
・御金神社
・八大神社
・豊国神社
・由岐神社
・鞍馬寺
・貴船神社
・六道珍皇寺
・六道珍皇寺 六道まいり
・六波羅蜜寺 都七福神
・安井金比羅宮
・知恩院 徳川家康公四百回忌
・青蓮院門跡
・青蓮院門跡 近畿三十六不動尊霊場
・粟田神社
・鍛冶神社(粟田神社末社)
・東寺
・上賀茂神社(賀茂別雷神社)
・大徳寺 本坊
・大徳寺 高桐院
・今宮神社
・妙顯寺
・三千院 御本尊
・三千院 西国薬師四十九霊場第四十五番
・三千院 聖観音
・実光院
・勝林院
・宝泉院
・寂光院
・宝厳院
・大覚寺
・清涼寺
・祇王寺
・化野念仏寺
・落柿舎
・城南宮
・飛行神社
・石清水八幡宮
・岡崎神社
・長岡天満宮
・平野神社
・法金剛院
・高台寺
・清水寺
・宝蔵寺 阿弥陀如来
・宝蔵寺 伊藤若冲
・勝林寺
・平等院 鳳凰堂
・宇治神社
・宇治上神社
・智恩寺
・元伊勢籠神社
・眞名井神社
・梅宮大社
・錦天満宮
・藤森神社(あじさい祭り限定)
・智積院
・御香宮神社
・神護寺
・西明寺
・高山寺

【奈良】
・唐招提寺
・薬師寺 御本尊
・薬師寺 玄奘三蔵
・薬師寺 吉祥天女
・薬師寺 水煙降臨
・東大寺 大仏殿
・東大寺 華厳
・東大寺 二月堂
・春日大社 ノーマル
・春日大社 第六十次式年造替
・興福寺 今興福力
・興福寺 南円堂
・如意輪寺
・吉水神社
・勝手神社
・金峯山寺
・吉野水分神社
・金峯神社
・法隆寺
・法隆寺 西円堂
・中宮寺
・法輪寺
・法起寺
・元興寺
・橿原神宮
・橘寺
・飛鳥寺
・飛鳥坐神社
・般若寺

【和歌山】
・金剛峯寺
・金剛峯寺 六波羅蜜
・高野山 金堂・根本大塔
・高野山 奥之院
・高野山 女人堂
・高野山 徳川家霊台
・高野山 南院(波切不動尊)
・熊野那智大社
・青岸渡寺
・飛瀧神社
・伊太祁曽神社
・國懸神宮
・紀三井寺

【滋賀】
・比叡山延暦寺 文殊楼
・比叡山延暦寺 根本中堂
・比叡山延暦寺 大講堂
・比叡山延暦寺 阿弥陀堂
・比叡山延暦寺 法華総持院東塔
・比叡山延暦寺 釈迦堂
・比叡山延暦寺 横川中堂
・比叡山延暦寺 四季講堂(元三大師堂)
・三尾神社
・三井寺 金堂
・三井寺 黄不動明王
・近江神宮
・滋賀縣護國神社

【兵庫】
・生田神社
・廣田神社
・西宮神社
・湊川神社
・走水神社
・千姫天満宮
・男山八幡宮
・水尾神社
・兵庫縣姫路護國神社
・播磨国総社 射楯兵主神社
・甲子園素盞嗚神社
・北野天満神社

【岡山】
・吉備津神社
・吉備津彦神社

【鳥取】
・白兎神社
・宇倍神社
・聖神社
・鳥取東照宮(樗谿神社)

【広島】
・吉備津神社
・素盞嗚神社
・草戸稲荷神社
・明王院
・出雲大社 福山分社
・沼名前神社(鞆祇園宮)
・福禅寺(対潮楼)
・厳島神社
・大願寺
・千光寺
・艮神社

【徳島】
・大麻比古神社

【福岡】
・太宰府天満宮
・筥崎宮(筥崎八幡宮)
・住吉神社

【沖縄】
・波上宮

■朱印帳■
・京都五社めぐり
・高野山 開創1200年記念霊木朱印帳
・平安神宮 御朱印帳
・全国一の宮御朱印帳
・住吉大社 御朱印帳
・建仁寺 御朱印帳
・今戸神社 御朱印帳
・大将軍八神社 御朱印帳
・晴明神社 御朱印帳
・東寺 御朱印帳
・明治神宮 御朱印帳
・大阪市交通局 オオサカご利益めぐり御朱印帳
・北野天満宮「宝刀展」記念朱印帳
・熊野那智大社 御朱印帳

最新のつぶやき
2016年の水樹奈々さん
ハーイ!ハーイ! ハイ!ハイ!ハイ!ハイ!