読み終わったミステリについてコメント。でも最近は脇道にそれぎみ。 このブログは水樹奈々さんを応援しています。
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加賀美雅之「縛り首の塔の館 シャルル・ベルトランの事件簿」 

縛り首の塔の館 シャルル・ベルトランの事件簿 (講談社ノベルス)縛り首の塔の館 シャルル・ベルトランの事件簿 (講談社ノベルス)
(2011/03/08)
加賀美 雅之

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★★★☆☆

 衆人環視の地下室に閉じこもった霊能力者が己の霊体を使い、自分を詐欺師扱いした30マイル遠方の老人を刺殺。だが自身もまた地下室で死亡した。凶器は老人が手にしていた銃。さらに地下室の金庫には刺された男の血液がついた短剣も!もはや二人が空間を越えて殺し合ったことは明白!?怪奇事件の謎にパリ警視庁を牛耳る予審判事、シャルル・ベルトランが迫る。

 収録作は以下の5編

 「縛り首の塔の館」
 「人狼の影」
 「白魔の囁き」
 「吸血鬼の塔」
 「妖女の島」


 巻頭の「縛り首の塔の館」は『密室殺人大百科』に収録されていたものの再録で、その他の4編がメフィストに掲載されたものです。すべて予審判事シャルル・ベルトランが探偵役となって活躍するシリーズものです。

 不可能犯罪の案出や奇怪な謎・雰囲気で煽り立てる作風は堂に入っており、解決編に至るまではすごく面白い。こんな不可能犯罪が論理で解体できるのか、という興味が読者に沸いてくるでしょう。しかし、真相は悪い意味で単純だったり、機械トリックばかりだったり、なんだかしょうもないのです。確かに不可能犯罪の度合があまりに高いのでその解決とのギャップは相当あり、そこがミステリとしてのサプライズにはなっています。しかし、その現実レベルの解決の方に説得力がないのです。「白魔の囁き」などは、足が不自由とはいえ構造をそうする理由がよくわからない。トリックのためのトリックとしか思えないのです。
 「縛り首の塔の館」と「吸血鬼の塔」あたりが良かったかな。前者は探偵役の目の前で不可能犯罪が展開されていくので謎の強度は強いし、どんでん返しを含んだ解決編も面白みがあります。が、トリックの方は高木彬光の流用(『呪縛の家』だったか?うろ覚え)だし、錯覚トリックも既にいろんな亜種があって、どこかで見たようなことがあるもの。「吸血鬼の塔」の方は逆転の発想が面白い一編で、それが明らかにされると登場人物たちの関係も浮き彫りになってくるという、トリックを組み込んだ小説としては面白かった。

 意外と作者はトリックメーカーではないのかもしれないと思った。
 それよりも不可能犯罪や奇怪な謎や舞台で話を盛り上げている感があり、何度も言いますが、解決編までがものすごく面白い。が、解決編を読むとショボンとなってしまいます。加賀美さんの作品では『監獄島』が一番好きなんですが、今思うとそれは、解決編までの道中が長かったからなのかもしれません。もうちょっとプロットで読ませる方が良いのではないか。1つの謎が明らかにされると別の謎が生じたり、はたまた謎の意外性ではなく展開の意外性だったり。今回は短編集なのでそんなの無くても良かったのかもしれないけれど…。
 15~20年位前に出ていればものすごく評価された作品だと思う、が、こういうミステリが少ないのも事実だし、今度の長編作品には期待したい。




監獄島 上監獄島 上
(2004/08/20)
加賀美 雅之

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監獄島下 (カッパノベルス)監獄島下 (カッパノベルス)
(2004/08/20)
加賀美 雅之

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[ 2011/03/13 12:24 ] 加賀美雅之 | TB(0) | CM(0)

加賀美雅之「双月城の惨劇」 

双月城の惨劇 双月城の惨劇
加賀美 雅之 (2006/12/07)
光文社

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★★★★☆

 パリ警察が誇る名予審判事、シャルル・ベルトラン。悪魔的推理力を誇る彼に、ライン川流域の古城『双月城』で起きたある事件の捜査依頼が。不気味な伝説を持つこの城はカレンとマリア、双子の姉妹が城主をつとめていた。ベルトランが城を訪ねる直前、密室であった城内の『満月の部屋』で、首と両手首を切り取られた無惨な死体が発見された!死体はカレンかマリア、どちらかのもの…。ベルトランの好敵手、ベルリン警察のシュトロハイム男爵も登場、熾烈な推理合戦のなか、新たな惨劇が。

 こういう古城を舞台にしたミステリというのは基本的に好きです。この作品もありきたりといえばありきたりですが、悪くはなかったです。
 「新月の部屋」と「満月の部屋」の2つの密室が見どころの作品ですが、なかでも「満月の部屋」の密室トリックは素晴らしいと思いました。手と頭を焼かれた双子の片割れの死体が出た時点で、たいていの読者は人物入れ替えトリックを予想すると思いますが、その期待に応えつつ見事に裏切ってみせるというハイレベルな双子のトリックは見物です。とくに双子の一方カレンのとったある行動が明らかにされた瞬間は驚きましたね。そこまでやるか、彼女の思いはそこまでのものだったのか、といたく感動しました。小道具であるクーラーケースの氷に三役もさせている点も見逃せません。
 フーダニットとしても面白く、たんに犯人が意外なだけではなく、ミステリのお約束を逆手に取ったミスリードも仕掛けられており、密室トリックがメインとはいいつつも、あくまで犯人当て・犯人捜しにこだわっている点は好感が持てます。

 ただ、全体的に型にはまりすぎている感は否めなく、もっと冒険をしてもいいと思います。トリックメーカーはすでに国内だけでも、二階堂黎人さんや柄刀一さんといった作家がいるのですから、兼業作家という強みも活かして本格ミステリに対するこだわりを表現して欲しいものです。


 以下余談。
 これで無事『双月城の惨劇』『監獄島』『風果つる館の殺人』の3長編を読了することが出来たけど、やっぱり自分は『監獄島』が一番好きですね。孤島である必然性、密室トリックを仕掛ける必然性といったものをすべて瑣末な問題として捉え、すべてをトリック成立のために優先させた思い切りの良さが好きです。叙述トリックも効果的だし、類型的ではありますが犯人の性別とトリックの種類とを関連付けさせた工夫もなかなかのものだと思います。
[ 2006/12/15 20:25 ] 加賀美雅之 | TB(0) | CM(0)

加賀美雅之「風果つる館の殺人」 

風果つる館の殺人 風果つる館の殺人
加賀美 雅之 (2006/08/22)
光文社

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★★★☆☆

 恋人のメアリー・ケリイに付き添って、ケリイ家の屋敷・通称『風果つる館』を訪れたパトリック・スミスは、膨大な遺産を巡る諍いに巻き込まれる! 発端は、奇怪極まる遺言状。一族はやがていがみ合い、パットとメアリーの運命にも暗雲が立ちこめる。そんななか、この地に伝わる伝説の巨人の影が、見えない襲撃者が、人間業とは思えぬ殺害現場を造り上げていく――。
 パリ警視庁の名予審判事シャルル・ベルトランが、この難事件に挑む!

 ジョン・ディクスン・カーかと思ったら実はナイオ・マーシュだった!……そんな作品。
 前作『監獄島』は、死体が飛ぶわバラバラになるわ燃え上がるわで不可能犯罪の大宴会といったテンションでしたが、『風果つる館の殺人』はそういうのは控えめで、少しおとなしめといった印象を受けます。館の女主人は三人娘と反発しあったり、愛人と死に別れたり…。そんな女主人の心は、風吹きすさぶ舞台と重なって見えます。さらにそれに追い討ちをかけるかのような、亡き人を置き去りにした三人娘の骨肉の争い。そして事件解決のために掘り起こされる38年前の幼少期の思い出の数々…などなど、こっちの気分も重くなってきそうです。
 登場人物の感情面にウェイトをおいた真相は悪くなかったけど、いろいろと首をかしげるところが多かったなぁ。サイロのてっぺんに死体が吊るされる事件のトリックにしても、ベルトランは「トリックが暴かれても、誰がそれを仕掛けたのかは判らないのですから」と言って、犯人にとってはトリックが暴かれても問題ないとしているけれど、それはないでしょうと言いたい。トリックが暴かれたら犯人のアリバイが消失するのだから、自動的に犯人候補として名前が挙がってきます。続く一文に「ましてや彼はケリイ家の莫大な財産を巡る遺産相続には全く無関係です」と一見それっぽいことを言っていますが、それならなぜこんな大掛かりなトリックを使ってまで、わざわざアリバイ工作をしたのでしょう。もうわけがわからない。さまざまな可能性を検討するのは良いことだとは思うけれど、なんかその場その場で繕っている気がします。
 今作では、不可能犯罪は過去の事件を含めて4つ起こります。ですがその真相たるや偶然だったとか、自作自演だったとか、犯人と被害者は共犯だったとか…読者ががっかりする真相満載だったのも残念です。オリジナリティという点でも、著者の他作品同様カーのトリックの流用も見られます。
 舞台とトリックが一体となっているところや、レギュラーメンバーが遺産相続問題に深く関わってしまうところは良かったけど、傑作とは言いがたいです。個人的にこういった作風は好きなので、今後も期待したいところなんだけど…。『監獄島』よりは綺麗にまとまっていると思いますが、わたしは瑕はたくさんあれど『監獄島』の方が好きですね。


 P.166
 × 要するにウィリアムは、餓鬼大将だった子供時代から~
 ○ 要するにスティーブンは、餓鬼大将だった子供時代から~
[ 2006/08/27 19:06 ] 加賀美雅之 | TB(0) | CM(0)
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プロフィール

ウイスキーぼんぼん

Author:ウイスキーぼんぼん

初めて読んだミステリは『そして扉が閉ざされた』(岡嶋二人)。以来ミステリにどっぷりハマリ中。
「SUPER GENERATION」で水樹奈々さんに興味を持ち「Astrogation」で完全にハマる。水樹奈々オフィシャルファンクラブ「S.C. NANA NET」会員。

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好きな推理作家:島田荘司ゴッド
嫁本:アトポス)
好きな歌手:水樹奈々ちゃん
嫁曲:SUPER GENERATION)
誕生日:ヘレン・マクロイとおなじ
体型:金田一耕助とおなじ

本年度のお気に入り(国内)
御朱印巡り
集めた御朱印です。
(各都道府県参拝した順)
※記事に出来ていない寺社多数です!鋭意執筆中!
※リンクが切れているものは下書き状態です。しばらくしたら公開されます。

【東京】
・靖國神社(その1)
・靖國神社(その2)
・東京大神宮
・浅草寺 御本尊
・浅草寺 浅草名所七福神
・浅草神社
・浅草神社 浅草名所七福神
・今戸神社
・明治神宮(その1)
・明治神宮(その2)
・増上寺
・烏森神社
・神田明神
・乃木神社
・上野東照宮

【神奈川】
・鶴岡八幡宮
・建長寺
・高徳院(鎌倉大仏殿)
・長谷寺

【愛知】
・熱田神宮
・一之御前神社、別宮八剣宮
・真清田神社
・大神神社
・大須観音

【大阪】
・大阪天満宮
・豊國神社
・四天王寺
・住吉大社
・坐摩神社
・法善寺
・難波八阪神社
・道明寺天満宮
・一心寺
・安居神社
・生國魂神社
・生國魂神社 干支(申)
・生國魂神社 干支(酉)
・三光神社
・玉造稲荷神社
・今宮戎神社
・方違神社
・難波神社
・露天神社(お初天神)
・太融寺
・大鳥大社
・石切劔箭神社
・枚岡神社
・慈眼寺
・久安寺

【京都】
・鈴虫寺(その1)
・鈴虫寺(その2)
・松尾大社(その1)
・月読神社
・天龍寺
・御髪神社
・常寂光寺
・二尊院
・野宮神社
・下鴨神社(賀茂御祖神社)
・河合神社(下鴨神社摂社)
・盧山寺
・梨木神社
・白雲神社
・護王神社
・御霊神社
・下御霊神社
・平安神宮
・銀閣寺(慈照寺)
・金閣寺(鹿苑寺)
・龍安寺
・八坂神社
・八坂神社 美御前社
・八坂神社 又旅社
・八坂神社 冠者殿社
・八坂神社 青龍
・八坂神社 祇園御霊会
・伏見稲荷大社 本殿
・伏見稲荷大社 奥社奉拝所
・伏見稲荷大社 御膳谷奉拝所
・三十三間堂
・養源院
・東福寺
・建仁寺
・南禅寺(その1)
・南禅寺(その2)
・永観堂(禅林寺)
・北野天満宮
・北野天満宮 宝刀展限定「鬼切丸」
・大将軍八神社
・法輪寺(達磨寺)
・妙心寺
・妙心寺 退蔵院
・仁和寺
・建勲神社
・晴明神社
・御金神社
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・豊国神社
・由岐神社
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・貴船神社
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・六道珍皇寺 六道まいり
・六波羅蜜寺 都七福神
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・知恩院 徳川家康公四百回忌
・青蓮院門跡
・青蓮院門跡 近畿三十六不動尊霊場
・粟田神社
・鍛冶神社(粟田神社末社)
・東寺
・上賀茂神社(賀茂別雷神社)
・大徳寺 本坊
・大徳寺 高桐院
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・三千院 西国薬師四十九霊場第四十五番
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・春日大社 第六十次式年造替
・興福寺 今興福力
・興福寺 南円堂
・如意輪寺
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・吉野水分神社
・金峯神社
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・法隆寺 西円堂
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【和歌山】
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【滋賀】
・比叡山延暦寺 文殊楼
・比叡山延暦寺 根本中堂
・比叡山延暦寺 大講堂
・比叡山延暦寺 阿弥陀堂
・比叡山延暦寺 法華総持院東塔
・比叡山延暦寺 釈迦堂
・比叡山延暦寺 横川中堂
・比叡山延暦寺 四季講堂(元三大師堂)
・三尾神社
・三井寺 金堂
・三井寺 黄不動明王
・近江神宮

【兵庫】
・生田神社
・廣田神社
・西宮神社
・湊川神社
・走水神社
・千姫天満宮
・男山八幡宮
・水尾神社
・兵庫縣姫路護國神社
・播磨国総社 射楯兵主神社
・甲子園素盞嗚神社
・北野天満神社

【岡山】
・吉備津神社
・吉備津彦神社

【鳥取】
・白兎神社
・宇倍神社
・聖神社
・鳥取東照宮(樗谿神社)

【広島】
・吉備津神社
・素盞嗚神社
・草戸稲荷神社
・明王院
・出雲大社 福山分社
・沼名前神社(鞆祇園宮)
・福禅寺(対潮楼)

【徳島】
・大麻比古神社

【福岡】
・太宰府天満宮
・筥崎宮(筥崎八幡宮)
・住吉神社

【沖縄】
・波上宮

■朱印帳■
・京都五社めぐり
・高野山 開創1200年記念霊木朱印帳
・平安神宮 御朱印帳
・全国一の宮御朱印帳
・住吉大社 御朱印帳
・建仁寺 御朱印帳
・今戸神社 御朱印帳
・大将軍八神社 御朱印帳
・晴明神社 御朱印帳
・東寺 御朱印帳
・明治神宮 御朱印帳
・大阪市交通局 オオサカご利益めぐり御朱印帳
・北野天満宮「宝刀展」記念朱印帳
・熊野那智大社 御朱印帳

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