読み終わったミステリについてコメント。でも最近は脇道にそれぎみ。 このブログは水樹奈々さんを応援しています。

奥泉光「黄色い水着の謎 桑潟幸一准教授のスタイリッシュな生活2」 

黄色い水着の謎 桑潟幸一准教授のスタイリッシュな生活2黄色い水着の謎 桑潟幸一准教授のスタイリッシュな生活2
(2012/09/22)
奥泉 光

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★★★★☆



 【あらすじ】

 佐藤隆太さん主演でドラマ化もされた話題作桑潟幸一准教授のスタイリッシュな生活シリーズが帰ってきました! 大学教師とは名ばかりの薄給に田舎暮らし。顧問になった文芸部の部員たちにも「クワコー」呼ばわりされてしまうが、下流生活に適応しひらきなおってたくましく生きているクワコー。今回は、文芸部の夏合宿に誘われたのが発端。ところが到着早々、女子部員の水着が盗まれる事件が発生。突き刺さる疑いの視線に、クワコーは必至で潔白を証明しようとする……。夏の期末テストの答案用が盗まれたことから始まる、「期末テストの怪」も同時収録。本格的な謎解きと抱腹絶倒のユーモアが両方楽しめる、「一冊で二度美味しい」作品です!




 シリーズ第二弾。『モーダルな事象』から誰がここまで発展することを予想し得たでしょうか。前作の「1」でほぼ読者に定着した、たらちね国際大学のキャラクターたちが前作以上に事件に絡んでいきます。特に教授陣の面白おかしいキャラクター(性格)が、本作の場合深く事件の動機に関わっていたりするので、そういう意味では前作よりさらにパワーアップした、より深化した作品集とも言えます。「期末テストの怪」と表題作「黄色い水着の謎」(「海のクワコー」改題)の2編が収録されています。そのうちで個人的に好きなのはやはり「黄色い水着の謎」。
 「黄色い水着の謎」はガストン・ルルーのもじりのようですが、密室は登場しません。が、要となる一部の真相が若干被るので、多少は意識しているのかも。しかし本作の場合は、クライマックスにおいてあらゆる真相がユーモア方向へ向いてしまうのが面白いところ。クワコーの立ち位置には笑うばかりです。
 全体を通した流れとしては、謎の提示のあと、捜査をしていく過程でさまざまな新たな謎が発生していくのが面白いです。紛失した水着を探していたら別の女性の水着が見つかり、この瞬間から2着の水着の辿った経路を追う展開が発生します。さらにこの過程で意外な場所から本来探していた水着が出現してしまい、アリバイの謎、犯行動機の謎といったさらなる謎がクローズアップされていくのです。このように、謎の出現が読み進めるための駆動力になっていて、作者自身が以前に言っていた「ミステリーが現代文学において有力なジャンルであり技法」ということをよくあらわした作品といえます。
 ストーカーガチムチ男の出現やアワビ取りが急に上手くなった教授、大学OBがプロポーズされたシチュエーションなどといったサブエピソードが、結末において伏線として本筋に絡んでくるプロットは練られています。論理的推理こそ少ないものの本格としての読み応えは十分です。




桑潟幸一准教授のスタイリッシュな生活桑潟幸一准教授のスタイリッシュな生活
(2011/05)
奥泉 光

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[ 2012/10/17 21:15 ] 奥泉光 | TB(0) | CM(0)

奥泉光「桑潟幸一准教授のスタイリッシュな生活」 

桑潟幸一准教授のスタイリッシュな生活桑潟幸一准教授のスタイリッシュな生活
(2011/05)
奥泉 光

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★★★★☆

 日本一下流の大学教師、クワコーこと桑潟幸一と女子大生探偵たちの活躍を描くユーモア・ミステリー。たらちね国際大学に首尾よく職を得たものの、薄給と田舎暮らしに意気上がらないクワコー。そのうえ顧問をつとめる文芸部の部員たちはファッションがゴスロリだったり、学校の裏庭でホームレスのような生活をする変わり者ぞろい。だがそんな彼女たちが抜群のチームワークで、クワコーの周囲で発生する怪事件を次々解決していく

 『モーダルな事象』の桑潟幸一が帰ってきた!
 今回は短編集で、前作のような非日常的な幻想に振れることはなく、かなり地に足の着いたミステリといます。ホームレス中学生ならぬホームレス大学生がいたり、コスプレ大好き大学教授がいたりと、ちょっぴりヘンテコではありますが、まあ今ふうの日常風景といえなくはないです。収録作は「呪われた研究室」「盗まれた手紙」「森娘の秘密」の3編。

 以前勤務していた泥舟大学レータンを命かながら脱出し、新天地たらちねでクワコーは個性的な女子大生たちに出会います。彼が受け持つ文芸部の部員たちがそれですが、彼女らの個性が強烈で楽しい。女子会じみたガールズトーク(?)がかなりリアルで、作者奥泉光さん(※55歳)が書いたとは到底思えない若々しさとバカっぷりです。それから新入部員には男の子もいて、彼の会話も「こういう話し方する奴いるいる」と納得してしまうほど妙なリアリティがあるのです。こういう今ふうの若々しさはキャラクター造形にとどまっておらず、ゲームや同人、やおい、コスプレ、などの若者文化にまで及んでおり、中でも「テニミュ」という言葉が作中で出てきたのには驚いた。
 こういうクワコーにとってはなじみの少ない文化にどっぷりとつかった文芸部の女子たちが、クワコーとともに難事件に挑むわけです。といっても准教授クワコーが基本被害者的な立場にまわってしまううえ、解決担当がホームレス女子大生ジンジンであったりするので、クワコーのダメっぷりが際立ちます。しかしこのクワコー、休日は夕方から居酒屋浸り、月給は11万とんで350円(しかも家賃は7万円)、大学のコーヒー豆をパクり、肩書きは沈みかけの下流大学教師、と完全に駄目キャラであるのは確定的に明らかですが、何故か嫌いになれないのです。むしろ愛すべきキャラ。だから、彼が被害者になっても同情してしまって、こっちまで涙が……というのはさすがに無いか。

 本作で描かれる事件も、とくに「森娘の秘密」なんかはオチがクワコーのダメさ加減と密接にかかわっていたりするので、結構完成度が高い。ギャグ満点の物語とミステリの謎解きとのマッチングが不自然でないのです。
 「盗まれた手紙」や「森娘の秘密」では“どうやって?”というハウダニットだけでなく“どうして?”という動機の問題にフォーカスを合わせている点も、個性的なキャラクターが織り成す物語とあっています。

 奥泉光さん自身は「何度も読まれる作品がよい作品だと思っている」と語っていますが、まさにその言葉どおり本書は結末が分かっても楽しく再読できそうです。ミステリと言ってもトリックだけにこだわっていないのが良いです。
 『モーダルな事象』の続編…というほど前作とつながりは強くないので、前作未読の方はこちらから読んでも問題ないでしょう。『モーダルな事象』同様、年末のランキングではスルーされそうな作品ですが、とにかく面白いです。ぜひとも今後続編を書いてほしいですね!オススメ! 


 【関連リンク】
 文藝春秋|雑誌|本の話|自著を語る 下流大学教師と女子大生の活躍するユーモア・ミステリー
[ 2011/05/16 21:00 ] 奥泉光 | TB(0) | CM(1)

奥泉光「モーダルな事象 桑潟幸一助教授のスタイリッシュな生活」 

・出版社/メーカー:文藝春秋
・定価:¥1,950
・発売日:2005/07/10
・メディア:単行本

★★★★★

 大阪のしがない短大で近代文学を講じる桑潟のもとに、ある編集者が太宰治と親交のあった童話作家の遺稿を持ち込んできた。桑潟がこれを発表するや評判を呼び、出版された作品集は「純愛ブーム」の追い風を受けて瞬く間にベストセラー。しかし、喜びも束の間、件の編集者が首なし死体で発見され、大事な遺稿も盗まれてしまう……。
 SFやミステリをこよなく愛する芥川賞作家が、渾身の力で書きおろした千枚超の大作!

 これは面白かった。傑作だと思います。
 桑潟助教授のもとに持ち込まれた溝口俊平の遺稿。そこから全てが始まり、以降の話の広げ方がハンパじゃない。首の切断された死体の謎を追ううちに、表層に浮き出る謎の数々。十五人の少年の遭難、地下室での謎の実験、ロンギヌス物質、三ツ星製薬とMD教会…。新聞や雑誌の切り抜きを挿入することで妙なリアリティがあります。作品世界に入り込んで、夢中になって読み終わりました。

 この作品は大学助教授桑潟幸一助の話と、ジャズシンガー兼ライターの北川アキの話の二つが交互に展開されていきます。
 北川アキの話の方は、元夫の諸橋倫敦と共にする事件の捜査がメインで描かれています。北海道や岡山など各地での情報収集、それを基にした推理など本格としてはしっかりしていると思います。梶川、溝口、猪原一族などの家系の絡み合い方も好きですね。
 でも、捜査・推理は非常にしっかりしているけれど、真相の暴き方が気になりました。悪いとかそういうのではなく、本格としてどうかという問題です。探偵の推理が行き着く前に犯人が自供したり、推理の切り口をひらめきで見つけたり(ただし、そこから構築される推理は上に書いたように見事なものです)。
 で、桑潟幸一助の話の方は、SF的幻想的な話です。彼がコインを手にした時から、幻想による侵食のされ方がすごいです。ホントに徐々に徐々に。なんか皆川博子さんの「聖女の島」を思い浮かべました。第五章手前なんか酔います。なんともいえない不思議な感じがしました。
 この桑潟がなかなか可愛いキャラをしていて、すっかり好きになってしまいました。

 事件自体には現実レベルの決着がつきますが、余剰部分といいますか、そういう不思議な部分も残ります。この作品を本格のものさしで図ろうとすると、そういった点や偶然に頼った推理など目に付くかもしれません。しかし、霧のように深い謎、その中をさまようような推理と、その霧が晴れたときの気持ちよさは、本格ミステリの面白さだと、わたしは思います。
 評判の良い「グランド・ミステリー」をまだ読んでないので、それと比べてどうこう言うことは出来ませんが、「モーダルな事象」も今年の大きな収穫になると思います。

 千枚超の大作ですが、もっと読んでいたいと思った作品は久しぶりです。ホントに面白かった。
 孤島が舞台だけどクローズドサークルものでは無く、暗号は出れど小さく扱ってるに過ぎない。コードに頼らずここまでの大作。首の切断理由が少し面白くなかったけど、作品自体は同じ生首事件を扱った「生首に聞いてみろ」より、よっぽど面白かった。
[ 2005/08/01 20:29 ] 奥泉光 | TB(0) | CM(0)
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プロフィール

ウイスキーぼんぼん

Author:ウイスキーぼんぼん

初めて読んだミステリは『そして扉が閉ざされた』(岡嶋二人)。以来ミステリにどっぷりハマリ中。
「SUPER GENERATION」で水樹奈々さんに興味を持ち「Astrogation」で完全にハマる。水樹奈々オフィシャルファンクラブ「S.C. NANA NET」会員。

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好きな推理作家:島田荘司ゴッド
嫁本:アトポス)
好きな歌手:水樹奈々ちゃん
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誕生日:ヘレン・マクロイとおなじ
体型:金田一耕助とおなじ

本年度のお気に入り(国内)
御朱印巡り
集めた御朱印です。
(各都道府県参拝した順)
※記事に出来ていない寺社多数です!鋭意執筆中!
※リンクが切れているものは下書き状態です。しばらくしたら公開されます。

【東京】
・靖國神社(その1)
・靖國神社(その2)
・東京大神宮
・浅草寺 御本尊
・浅草寺 浅草名所七福神
・浅草神社
・浅草神社 浅草名所七福神
・今戸神社
・明治神宮(その1)
・明治神宮(その2)
・増上寺
・烏森神社
・神田明神
・乃木神社
・上野東照宮

【神奈川】
・鶴岡八幡宮
・建長寺
・高徳院(鎌倉大仏殿)
・長谷寺

【愛知】
・熱田神宮
・一之御前神社、別宮八剣宮
・真清田神社
・大神神社
・大須観音

【大阪】
・大阪天満宮
・豊國神社
・四天王寺
・住吉大社
・坐摩神社
・法善寺
・難波八阪神社
・道明寺天満宮
・一心寺
・安居神社
・生國魂神社
・生國魂神社 干支(申)
・生國魂神社 干支(酉)
・三光神社
・玉造稲荷神社
・今宮戎神社
・方違神社
・難波神社
・露天神社(お初天神)
・太融寺
・大鳥大社
・石切劔箭神社
・枚岡神社
・慈眼寺
・久安寺

【京都】
・鈴虫寺(その1)
・鈴虫寺(その2)
・松尾大社(その1)
・月読神社
・天龍寺
・御髪神社
・常寂光寺
・二尊院
・野宮神社
・下鴨神社(賀茂御祖神社)
・河合神社(下鴨神社摂社)
・盧山寺
・梨木神社
・白雲神社
・護王神社
・御霊神社
・下御霊神社
・平安神宮
・銀閣寺(慈照寺)
・金閣寺(鹿苑寺)
・龍安寺
・八坂神社
・八坂神社 美御前社
・八坂神社 又旅社
・八坂神社 冠者殿社
・八坂神社 青龍
・八坂神社 祇園御霊会
・伏見稲荷大社 本殿
・伏見稲荷大社 奥社奉拝所
・伏見稲荷大社 御膳谷奉拝所
・三十三間堂
・養源院
・東福寺
・建仁寺
・南禅寺(その1)
・南禅寺(その2)
・永観堂(禅林寺)
・北野天満宮
・北野天満宮 宝刀展限定「鬼切丸」
・大将軍八神社
・法輪寺(達磨寺)
・妙心寺
・妙心寺 退蔵院
・仁和寺
・建勲神社
・晴明神社
・御金神社
・八大神社
・豊国神社
・由岐神社
・鞍馬寺
・貴船神社
・六道珍皇寺
・六道珍皇寺 六道まいり
・六波羅蜜寺 都七福神
・安井金比羅宮
・知恩院 徳川家康公四百回忌
・青蓮院門跡
・青蓮院門跡 近畿三十六不動尊霊場
・粟田神社
・鍛冶神社(粟田神社末社)
・東寺
・上賀茂神社(賀茂別雷神社)
・大徳寺 本坊
・大徳寺 高桐院
・今宮神社
・妙顯寺
・三千院 御本尊
・三千院 西国薬師四十九霊場第四十五番
・三千院 聖観音
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・勝林院
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・化野念仏寺
・落柿舎
・城南宮
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・石清水八幡宮
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・長岡天満宮
・平野神社
・法金剛院
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・清水寺
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・宝蔵寺 伊藤若冲
・勝林寺
・平等院 鳳凰堂
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・梅宮大社

【奈良】
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・薬師寺 御本尊
・薬師寺 玄奘三蔵
・薬師寺 吉祥天女
・薬師寺 水煙降臨
・東大寺 大仏殿
・東大寺 華厳
・東大寺 二月堂
・春日大社 ノーマル
・春日大社 第六十次式年造替
・興福寺 今興福力
・興福寺 南円堂
・如意輪寺
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・勝手神社
・金峯山寺
・吉野水分神社
・金峯神社
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・法隆寺 西円堂
・中宮寺
・法輪寺
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・橘寺
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・飛鳥坐神社

【和歌山】
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・高野山 金堂・根本大塔
・高野山 奥之院
・高野山 女人堂
・熊野那智大社
・青岸渡寺
・飛瀧神社
・伊太祁曽神社
・國懸神宮
・紀三井寺

【滋賀】
・比叡山延暦寺 文殊楼
・比叡山延暦寺 根本中堂
・比叡山延暦寺 大講堂
・比叡山延暦寺 阿弥陀堂
・比叡山延暦寺 法華総持院東塔
・比叡山延暦寺 釈迦堂
・比叡山延暦寺 横川中堂
・比叡山延暦寺 四季講堂(元三大師堂)
・三尾神社
・三井寺 金堂
・三井寺 黄不動明王
・近江神宮

【兵庫】
・生田神社
・廣田神社
・西宮神社
・湊川神社
・走水神社
・千姫天満宮
・男山八幡宮
・水尾神社
・兵庫縣姫路護國神社
・播磨国総社 射楯兵主神社
・甲子園素盞嗚神社
・北野天満神社

【岡山】
・吉備津神社
・吉備津彦神社

【鳥取】
・白兎神社
・宇倍神社
・聖神社
・鳥取東照宮(樗谿神社)

【広島】
・吉備津神社
・素盞嗚神社
・草戸稲荷神社
・明王院
・出雲大社 福山分社
・沼名前神社(鞆祇園宮)
・福禅寺(対潮楼)

【徳島】
・大麻比古神社

【福岡】
・太宰府天満宮
・筥崎宮(筥崎八幡宮)
・住吉神社

【沖縄】
・波上宮

■朱印帳■
・京都五社めぐり
・高野山 開創1200年記念霊木朱印帳
・平安神宮 御朱印帳
・全国一の宮御朱印帳
・住吉大社 御朱印帳
・建仁寺 御朱印帳
・今戸神社 御朱印帳
・大将軍八神社 御朱印帳
・晴明神社 御朱印帳
・東寺 御朱印帳
・明治神宮 御朱印帳
・大阪市交通局 オオサカご利益めぐり御朱印帳
・北野天満宮「宝刀展」記念朱印帳
・熊野那智大社 御朱印帳

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