読み終わったミステリについてコメント。でも最近は脇道にそれぎみ。 このブログは水樹奈々さんを応援しています。

柾木政宗「NO推理、NO探偵?」 

NO推理、NO探偵?NO推理、NO探偵?
2017/9/7
柾木 政宗

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★★★★★



 【内容紹介】

 私はユウ。女子高生探偵・アイちゃんの助手兼熱烈な応援団だ。けれど、我らがアイドルは推理とかいうしちめんどくさい小話が大好きで飛び道具、掟破り上等の今の本格ミステリ界ではいまいちパッとしない。決めた!私がアイちゃんをサポートして超メジャーな名探偵に育て上げる!そのためには…ねえ。「推理って、別にいらなくない―?」NO推理探偵VS.絶対予測不可能な真犯人、本格ミステリの未来を賭けた死闘の幕が上がる!




 帯に「絶賛」か「激怒」しかいらない、と書かれてあったので、わたしは「絶賛」の立場を取らせていただきます。中途半端も良くないだろうと思い、★5つです。
 笠井潔氏にゴミ呼ばわりされた『六枚のとんかつ』ほどにはゴミではないです。というよりむしろポスト新本格ミステリを象徴するような自由度の高い本格ミステリで、作者が何をやりたいのかが明確であり、その趣向が前衛的である点から、しっかりした本格ミステリという印象を受けます。
 終盤に至るまでは、ロジックを封じられた探偵が犯人を特定する、という趣向の短編が並びます。「謎の論理的解決」を絶対条件とした本格ミステリにおいて、あえてそれを全くせずに犯人にまで到達するのは可能なのか、というひとつの問題提起であると同時に、変種のフーダニットとして読むことが出来ます。中には蘇部健一の亡霊(※生きてます)が取り憑いたかのようなオチであったり、バカミス倒れのオチだったりと、結末部分及び犯人に到達するまでのアクセスはバラエティに富んでいて、自由にやりながらも謎解きが使えない制約の中、かなりの労作感が漂います。
 これだけで終われば、玉石混交のメフィスト賞の中にあっては完全に「石」で終わるのですが、最終章において本作は真の姿を現します。
 論理的謎解きが、あくまで「補足」に回る世界は斬新です。そもそも本格ミステリとは、論理的謎解きという解決までの「プロセス」を重んじるジャンルです。その論理的謎解きを補足程度に後退させる本書は、一見すると「プロセス」を軽んじているかのように見えるのですが、それは全く逆で、一つの真実に向けて、数多の解法を提示させてみせている点で、むしろ「プロセス」を重んじていると言えます。それは多重推理だの推理合戦だのと、そういう「論理的推理」の枝分かれでは無く、「論理的推理」とは別の、プラス「アルファ」を提示している点で、本作は前衛的です。
 また作中において、「名探偵の成長」を描いており、その成長が最終推理に活かされる点も本作の特徴といえます。冒頭から最後まで天才を貫き通す探偵ではなく、短編(事件)を経るごとに、探偵はひとつずつ力を得ていきます。それらの力がすべて最終推理に活かされている点は、それまでのバカバカしいまでのやり方で解決まで導いた短編(事件)の存在が決して無駄では無かったことの証明でもあります。奇しくもロジック絶対主義者が、それまでのトンデモ探偵法を容認せざるを得ない瞬間がこの時訪れるのです。
 その論理的謎解きによる最終推理の果てに導かれる真犯人は、本作らしい意外性がしっかり備わっている点も高ポイントです。
 確かに本格ミステリとしての芯はしっかりとしたものを感じるのですが、芯がしっかりしてさえいれば何をやっても良い、というような最近の若手の本格ミステリ作家特有のとっつきにくさはあります。個人的には好きですが。でもオススメはしにくいです。
 もっと読んでみたいですね。作者はアイデアが豊富そうです。まだまだ我々が読んだことのないミステリのアイデアが作者にはありそう。次作にも期待です。
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[ 2017/09/16 01:13 ] 未分類 | TB(0) | CM(0)

芦沢央「バック・ステージ」 

バック・ステージ バック・ステージ
2017/8/31
芦沢 央

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★★★☆☆



 【内容紹介】

 新入社員の松尾はある晩会社で、先輩の康子がパワハラ上司の不正の証拠を探す場面に遭遇するが、なぜかそのまま片棒を担がされることになる。翌日、中野の劇場では松尾たちの会社がプロモーションする人気演出家の舞台が始まろうとしていた。その周辺で4つの事件が同時多発的に起き、勘違いとトラブルが次々発生する。バラバラだった事件のピースは、松尾と康子のおかしな行動によって繋がっていき…。




 『小説 野生時代』に掲載された短編四編に、冒頭の『序章』と末尾の『終幕』の二編の描き下ろしを加えて、総タイトル『バック・ステージ』とした一冊です。
 『序章』と『終幕』で描かれる物語が、位置づけとしては表舞台、あるいはステージ上で起こっている物語と捉えることができ、雑誌掲載されたそれ以外の四編がその表舞台に対するバックステージにあたります。短編四編はいずれも独立した作品として読むことが可能なのですが、『序章』があるたがめに、一つの物語として共鳴し合います。なかなか力技を感じる数珠のつなぎ方なのですが、これが割と上手くて「連作短編集」として新たな輝きを放つことになります。雑誌連載時から追いかけている読者にとっては、一段大きな驚きを体験できることでしょう。なぜなら、雑誌掲載時にはステージ上で演じられているかに思われた物語が、単行本と化して連作短編集として読む時、それらがステージ裏へと後退することになるからです。
 収録作品いずれの短編も、終盤になると「なるほど、そうきたか」と合点がいって、綺麗に筋が通って納得するものばかりです。この「なるほど、そうきたか」という言葉は、実は主人公の口癖でもあり、主人公とおんなじことを読者もつぶやくことになるのです。このようなミステリの造りは大変に巧妙です。そして巻末の『終幕』を読み終わった時、全ての物語がつながり一つの結末を迎える時には、やっぱり「なるほど、そうきたか」とつぶやきたくなるのが面白いですね。


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 タイトルの『バック・ステージ』が象徴するように、なんと本書のカバー裏にはひとつの掌編が掲載されています。
 本の帯には「本を買った人だけが「すぐに」「必ず」読める」と書いてあります。
 確かに、図書館などだと、カバーが表紙にくっつけてあったり、カバー自体がなかったりする場合が多いので、「買った人だけが~」というこの趣向は面白いかもしれません。
 内容的には、本書を読み終わってから読むのが良いでしょう。本書に登場するあるキャラクターにスポットが当たった掌編のため、知らず知らずのうちに登場人物のファンになっていたことが分かります。
 登場人物たちは魅力的で、短編ミステリとしてはストンと落ちる結末が切れ味良く、連作短編集としては全てがつながる美しさと悪を討つスッキリで読後感が良く、たいへん魅力あふれる一冊でした。

[ 2017/09/08 02:32 ] 未分類 | TB(0) | CM(0)

相沢沙呼「マツリカ・マトリョシカ」 

マツリカ・マトリョシカマツリカ・マトリョシカ
2017/8/25
相沢 沙呼

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★★★★☆



 【内容紹介】

 校内の「開かずの扉」の秘密に、高校生の柴山と謎の美女マツリカが挑む!

 柴山祐希、高校2年生。彼は学校の近くにある廃墟ビルに住んでいる、
 謎の美女・マツリカさんに命じられて、学校の怪談を調査している。
 ある日、偶然出会った一年生の女子から『開かずの扉の胡蝶さん』の怪談を耳にする。
 密室状態の第一美術室で2年前に起きた、女の子が襲われるという事件。
 解決されないまま時が過ぎ、柴山の目の前で開かずの扉が開くことになったが、
 そこには制服を着せられたトルソーが、散らばる蝶の標本と共に転がっていた。
 現場は誰も出入りできない密室という状況で再び起きた事件。柴山が犯人と疑われてしまう事態になってしまい……。
 彼はクラスメイトと共に、過去の密室と現在の密室の謎に挑む!!




 相沢沙呼さんの本を読むのは初めてです。
 最新作の本作も、何やらマツリカシリーズと呼ばれるものの第三作目にあたる作品らしいのですが、「過去の密室」と「現在の密室」という文句は抗い難い魅力がありました。実際に読んでみると、本格ミステリとして楽しむぶんには、本作からいきなり読んでも問題ありませんでした。
 この人の作風を全く知らないのですが、やはり鮎川哲也賞受賞作家、本格ミステリとしてのクオリティが極めて高い作品です。学園モノなのですが、学生である登場人物たちが、謎解きを否が応にでも行って真犯人を特定しなければならないように仕向けるプロットは考えられています。ロジックが時として刃物となり、犯人を名指しすることによって相手を傷つけてしまう葛藤と戦う点なども、ミステリと青春小説とがよく絡められていて、この舞台でこの人物でこの事件を描く、といった三者に強い結びつきを感じるのが好感触です。これら人間の感情に重きを置いた物語は、ライトノベルも執筆している作者らしいところだと思うのですが、それでもライトノベル方向に大きく振れていないのは、論理的謎解きの分厚さ故です。
 玉石混交、学生たちがそれぞれに披露する謎解きは合計6つ。まさに『毒入りチョコレート事件』のような多重推理の魅力を併せ持ちます。これらの色とりどりの謎解きで揺さぶられた後に、ストレートパンチを見舞うが如くスッキリとした切り口から、王道的ロジックを展開する様子はまさにエラリー・クイーンの如きです。“自転車の鍵の問題”などは最たるもので、この謎解きがどこへ向かうのか、真犯人にまで本当に到達するのか、といった不安と期待を綯い交ぜにしたドキドキ感があり、このドキドキ感を味わわせてくれるこの一点だけで、すでに本作は傑作の領域に達しています。

 平成のクイーンは青○〇〇さん?いやいや~本作を読むと相沢沙呼さんも全然負けてないんじゃないですかね?作者の過去の作品も読んでみようと思います。
[ 2017/09/06 01:49 ] 未分類 | TB(0) | CM(0)

文善「逆向誘拐」 

逆向誘拐逆向誘拐
2017/8/28
文 善

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★★★☆☆



 【内容紹介】

 国際投資銀行A&Bから機密データが“誘拐”された。データが公開されれば新たな金融危機が起こりかねない。データにアクセスできたのは、大手ソフトウエア開発会社クインタス担当のアナリストたちのみ。とばっちりでアナリストたちと一緒に軟禁状態にされた情報システム部の植嶝仁は、一歩間違えば父親が率いる財閥までが巻き添えを食うと知り、“誘拐犯”の正体を暴こうとするが…。




 台湾の第三回島田荘司推理小説賞受賞作が遂に翻訳です。
 同時受賞の胡傑さんの『ぼくは漫画大王』から少し遅れての我が国への紹介となりました。

 『ぼくは漫画大王』同様に、目玉となるトリック(アイデア)をきちんと仕込んで、それによって読者を騙してやろう、という企みが作中からしっかり感じられるのが好感触です。
 ただ、本書の場合、誘拐ミステリといっても人質に取られるのはサーバー内にあるデータです。身代金の支払いもインターネットを利用して行われるため、従来の誘拐ミステリと比較して、動きが少ないのが展開に物足りなさを感じるところです。日本のミステリ作家で言えば、福ミス作家の一田和樹さんと作風は似ていて、インターネットなどのITが物語で幅を効かせますが、一田氏にくらべて展開はおとなしい印象です。しかし最後まで読んでみると、トリックを成立させるためには性質上、この動きの少なさはある程度仕方の無いことが分かります。要は割合の問題で、見せ場とするアイデアの盛り込まれた終盤が、割を食っているのです。どうして終盤、あのアイデアあふれるトリックのネタバラシが行われる一番の見せどころを、ああもそっけなく流して、それまでの展開をボリューミーに淡々と書いたのか……正直、本作で描かれる犯行トリックには驚きました。それだけに、なんだか少し勿体無いような気がします。

 『ぼくは漫画大王』はネタの隠し方が上手くなく、早々に分かってしまって、カードのウラとオモテが同時に見えている状態で物語が展開していったような、なんだか不思議な作品でしたが、本作の場合、そういうことはありませんでした。下手を打っていない点では、完成度としてはこちらの『逆向誘拐』のほうが上かもしれません。読んでいて楽しかったのは『漫画大王』の方ですけど。

 ちなみに本作は、クライドファンディングによる資金調達を経て出版された作品です。巻末には支援者の名前が挙がっています。文藝春秋ならクラウドファンディングなんかせずに自力で出版すればいいのに、と思ったのですが、本書を読んである程度納得です。じつはクライドファンディングによる出版までが作品のうち、と捉えることも可能です。わたしも「面白そうだったから」という理由で出資すれば良かったかも。本書を読めばわたしの言わんとしていることが分かると思います。
[ 2017/09/02 02:36 ] 未分類 | TB(0) | CM(0)

詠坂雄二「T島事件 絶海の孤島でなぜ六人は死亡したのか」 

T島事件 絶海の孤島でなぜ六人は死亡したのかT島事件 絶海の孤島でなぜ六人は死亡したのか
2017/7/19
詠坂雄二

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★★★☆☆



 【内容紹介】

 月島前線企画に持ち込まれた、既解決事件。孤島に渡った六人が全員死体で発見されたが、当人たちによって撮影された、渡島から全員死亡までの克明な録画テープが残っていた。何が起こったかはほぼ明確だ。警察はすでに手を引いている。ところが、依頼人は不満のようだ。真実が映っていなかったのか、あるいは嘘が映されていたのか―。目を眩ませる膨大な記録と、悲喜劇的な顛末。事件の背景に浮かび上がる、意外な真相とは!?




 作者がどういう意図で書いた作品なのか、想像するしか無いのですが、なんとなく新本格30周年を意識した作品のように思えます。物語は、かの有名な『そして誰もいなくなった』を彷彿とさせる、関係者全員が何らかのかたちで死亡していく経過を描いた作品です。作中で夢野久作の『瓶詰地獄』のリスペクトが示唆されていますが、それよりも時期が時期のせいか、わたしは綾辻行人氏の『十角館の殺人』を思い浮かべました。また、最近の傾向なのか、本格ミステリにおける名探偵のリスペクトを本書から感じます。おそらく、物語やプロット、トリックなどは全く違いますが、最近デビューした阿津川辰海氏の『名探偵は嘘をつかない』などと、やっていることは根っこの部分では同じではないかと考えます。
 正直、本書は本格ミステリとしてしか楽しめない反面、本格ミステリとしてはかなり玄人向けのネタが扱われていると思います。われわれ本格ミステリファンが何を楽しんで読書をしているのか、を再認識させるような仕掛けです。探偵による一応の推理が披露され、一応の解決がみられた時、読者は本書のページがまだ十分に残っていることを知るでしょう。そしてこの瞬間、最終章「補遺」に期待する事になります。おそらく読者は名探偵の力――名探偵の次なる推理が物語を牽引し、本格ミステリの面白さをさらなる高みへと昇華させることに。ただし、恐ろしいことに、この考えを読者にさせることが本書の狙いであり、犯人の思考と一部重ねることで、より本書のテーマ性を読者に訴えかけさせてくるのが巧妙なのです。麻耶雄嵩氏の「名探偵が舞台を求めるのではなく、舞台が名探偵を求めているのだ。」という帯の文句が象徴的で、本格ミステリは誰が創るのか、作者か?犯人か?舞台か?トリックか?――いいや名探偵だ、と本書を読み終わった時に読者に言わせてしまうほどの訴求力があります。読者も含め、全ては名探偵の力を求めているのです。
 孤島の連続殺人を描いている割に地味で、伝わりにくいネタに感じたりもするのですが、本格ミステリ文壇が成熟した今だからこそ評価されるべき作品であるとも思います。評価が難しいかも。新本格30周年の今年にぜひ。


 
[ 2017/07/28 01:23 ] 未分類 | TB(0) | CM(0)

一田和樹「御社のデータが流出しています: 吹鳴寺籐子のセキュリティチェック」 

御社のデータが流出しています: 吹鳴寺籐子のセキュリティチェック御社のデータが流出しています: 吹鳴寺籐子のセキュリティチェック
2017/6/22
一田 和樹

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★★★★☆



 【内容紹介】

 エンタメ企業ソニカのオンラインゲーム顧客データから個人情報が盗まれ、ネットで公開されてしまう。犯人はツイッターで犯行声明を出し、忽然と姿を消した。調査を依頼された82歳のセキュリティ・コンサルタント、吹鳴寺籐子が、「社内の」ネットワークを走査すると…「アンチウイルスソフトを買わせ金を奪う詐欺」「顧客データが暗号化される悲劇」等々、いま会社員が直面する危機と解決法を描き出したIT連作ミステリ。




 IT系ミステリ連作短編集です。
 わたしはあんまり(というか全く)ネットセキュリティには詳しくないのですが、そういう人間が読んでも楽しめる作品集です。ミステリさえ好きであればIT系の知識はさほど多くなくても大丈夫なのが親切です。
 作中でも作者自身もあとがきで書いていますが、要はたとえ技術が進歩しても人間のあり方は変化しないのです。犯罪を起こすのも人間で、犯行トリックによって探偵を騙し、罠にかけるのも人間だからで、ミステリとして本作の根底を流れるものは、いわゆる「古典」と言われる探偵小説群のそれと何ら変わりません。ミスディレクション、見えない人、意外な犯人、いわゆる狂人の論理など、これらを最新のIT(?使い方多分違いますが、ひとまずこの言葉で逃げます)と噛み合わせているのが本格ミステリとしての大きな見どころです。涙香、乱歩の時代から今日までの我が国の探偵小説史を眺めてみても、この手の探偵小説は非常に珍しいと思います。ドローンやVRなど最新技術を利用したミステリの新作が矢継ぎ早に刊行されている昨今、本作もそういった作品のひとつと言えるでしょう。しかし、最新の技術が使用されているとは言え、今後年月が経っても意外と経年劣化は少ないと想像します。先にも書いたとおりコアの部分に人間の変わらない部分が据えられており、かつ、長年我々が愛している本格ミステリ特有の騙しが盛り込まれているからです。
 連作集のため、最終話で大きなサプライズが発動します。ここにおいて、主人公が老婆であることが実は「IT」×「年寄り」という絵的なミスマッチさを演出するだけでなく、ミステリとして物語として大変重要な布石であったことがわかります。さらにそれまで要所要所で顔を出していた彼女の相方が、これから何かしそうな、という「過程」ではなく、老婆と一緒に生活しているそれ自体が「結果」であった構図の逆転が鮮やかです。
 トリックはバラエティに富んでいますが、難を言うなら、個人情報が流出したという企業に赴き依頼を受けるという展開と謎が四編一様である点でしょうか。しかし、殺人が起こって探偵が現場に赴いて…というのがミステリの王道展開であったりするし、それを考えると、わたしが気にし過ぎなだけかもしれません。
[ 2017/07/22 00:14 ] 未分類 | TB(0) | CM(0)

早坂吝「ドローン探偵と世界の終わりの館」 

ドローン探偵と世界の終わりの館ドローン探偵と世界の終わりの館
2017/7/12
早坂 吝

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★★★☆☆



 【内容紹介】

 颯爽と空から現れ犯人を捕獲する……そんな神出鬼没な存在として知られるドローン探偵こと飛鷹六騎(ひだか・ろっき)は、日々、犯人確保に余念がない。ところがある日、捜査中に両足を骨折。折しも大学探検部の面々と「廃墟探検」を計画中で、悩んだ六騎はドローンを使った妙案、廃墟付近に停めた車でドローンを操り、カメラ越しに探検するという方法を思いつく。
 そうして向かった廃墟、その実態は「ヴァルハラ」と呼ばれる洋館で、北欧神話の終末論に取り憑かれた男が建てた〈迷宮〉だった。神話にもとづいた仕掛けが至るところに施されたその場所を意気揚々と探検する部員たち。しかし、いつしかそこには不穏な気配が漂い、部員が一人、また一人と襲われ始め――。
 いったい犯人は誰なのか、なぜ皆を襲うのか? 六騎に打てる手はあるのか?
 本格ミステリーの申し子にして、定石破りの天才が贈る、これぞ究極のエンターテインメント!!




 上木らいちの登場しないノンシリーズ作品。ひょっとしたら新シリーズになりそうな予感のする長編です。
 探偵役が外部からドローンを駆使して、クローズドサークル内の事件現場を探索し真相まで到達する新しいタイプの本格ミステリです。
 おそらく大部分の人が騙されるであろう一発ネタが炸裂して、メイントリックは印象的です。ドローン自体が、我々一般人に認知されてから日が浅く、その認識を利用したトリックなのですが、ひょっとしたら本作のミステリとしての鮮度は今が最旬の可能性があります。最近、ドローンの操縦を習得するための専門学校があるのをニュースなんかで耳にしたのですが、今後ドローンがもっと社会に浸透し、被災地などに派遣されるのが当たり前になる時代が来る頃には、本書で描かれるミスリードが機能しなくなる可能性があります。上手い例えが思い浮かびませんが、むかしは「ケータイ」というと電話かメールでしたが、今は写真が撮れます。20年前はカメラを持たずに写真は撮れませんでしたが、いまはそんなことは無いのです。本書で描かれるドローンの、もう一つの側面が一般化されると、真相も「だから何?」となる可能性があります。
 とはいえ、本書の大ネタが明らかになった瞬間、密室トリックや犯行動機、それまでに事あるごとに語られてきた北欧神話の終末論が芋づる式に結びついていく快感は健在で、こちらは本格ミステリ特有の面白さなので朽ちないと思われます。

 話のネタにはなると思います。語弊を招く可能性がありますが、敢えて言うなら「バカミス」です。軽いノリで読めるのに、形態が単行本なのが惜しいですがおすすめです。奇想爆発です!
[ 2017/07/16 01:46 ] 未分類 | TB(0) | CM(0)
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プロフィール

ウイスキーぼんぼん

Author:ウイスキーぼんぼん

初めて読んだミステリは『そして扉が閉ざされた』(岡嶋二人)。以来ミステリにどっぷりハマリ中。
「SUPER GENERATION」で水樹奈々さんに興味を持ち「Astrogation」で完全にハマる。水樹奈々オフィシャルファンクラブ「S.C. NANA NET」会員。

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好きな推理作家:島田荘司ゴッド
嫁本:アトポス)
好きな歌手:水樹奈々ちゃん
嫁曲:SUPER GENERATION)
誕生日:ヘレン・マクロイとおなじ
体型:金田一耕助とおなじ

本年度のお気に入り(国内)
御朱印巡り
集めた御朱印です。
(各都道府県参拝した順)
※記事に出来ていない寺社多数です!鋭意執筆中!
※リンクが切れているものは下書き状態です。しばらくしたら公開されます。

【東京】
・靖國神社(その1)
・靖國神社(その2)
・東京大神宮
・浅草寺 御本尊
・浅草寺 浅草名所七福神
・浅草神社
・浅草神社 浅草名所七福神
・今戸神社
・明治神宮(その1)
・明治神宮(その2)
・増上寺
・烏森神社
・神田明神
・乃木神社
・上野東照宮

【神奈川】
・鶴岡八幡宮
・建長寺
・高徳院(鎌倉大仏殿)
・長谷寺

【愛知】
・熱田神宮
・一之御前神社、別宮八剣宮
・真清田神社
・大神神社
・大須観音

【大阪】
・大阪天満宮
・豊國神社
・四天王寺
・住吉大社
・坐摩神社
・法善寺
・難波八阪神社
・道明寺天満宮
・一心寺
・安居神社
・生國魂神社
・生國魂神社 干支(申)
・生國魂神社 干支(酉)
・三光神社
・玉造稲荷神社
・今宮戎神社
・方違神社
・難波神社
・露天神社(お初天神)
・太融寺
・大鳥大社
・石切劔箭神社
・枚岡神社
・慈眼寺
・久安寺

【京都】
・鈴虫寺(その1)
・鈴虫寺(その2)
・松尾大社(その1)
・月読神社
・天龍寺
・御髪神社
・常寂光寺
・二尊院
・野宮神社
・下鴨神社(賀茂御祖神社)
・河合神社(下鴨神社摂社)
・盧山寺
・梨木神社
・白雲神社
・護王神社
・御霊神社
・下御霊神社
・平安神宮
・銀閣寺(慈照寺)
・金閣寺(鹿苑寺)
・龍安寺
・八坂神社
・八坂神社 美御前社
・八坂神社 又旅社
・八坂神社 冠者殿社
・八坂神社 青龍
・八坂神社 祇園御霊会
・伏見稲荷大社 本殿
・伏見稲荷大社 奥社奉拝所
・伏見稲荷大社 御膳谷奉拝所
・三十三間堂
・養源院
・東福寺
・建仁寺
・南禅寺(その1)
・南禅寺(その2)
・永観堂(禅林寺)
・北野天満宮
・北野天満宮 宝刀展限定「鬼切丸」
・大将軍八神社
・法輪寺(達磨寺)
・妙心寺
・妙心寺 退蔵院
・仁和寺
・建勲神社
・晴明神社
・御金神社
・八大神社
・豊国神社
・由岐神社
・鞍馬寺
・貴船神社
・六道珍皇寺
・六道珍皇寺 六道まいり
・六波羅蜜寺 都七福神
・安井金比羅宮
・知恩院 徳川家康公四百回忌
・青蓮院門跡
・青蓮院門跡 近畿三十六不動尊霊場
・粟田神社
・鍛冶神社(粟田神社末社)
・東寺
・上賀茂神社(賀茂別雷神社)
・大徳寺 本坊
・大徳寺 高桐院
・今宮神社
・妙顯寺
・三千院 御本尊
・三千院 西国薬師四十九霊場第四十五番
・三千院 聖観音
・実光院
・勝林院
・宝泉院
・寂光院
・宝厳院
・大覚寺
・清涼寺
・祇王寺
・化野念仏寺
・落柿舎
・城南宮
・飛行神社
・石清水八幡宮
・岡崎神社
・長岡天満宮
・平野神社
・法金剛院
・高台寺
・清水寺
・宝蔵寺 阿弥陀如来
・宝蔵寺 伊藤若冲
・勝林寺
・平等院 鳳凰堂
・宇治神社
・宇治上神社
・智恩寺
・元伊勢籠神社
・眞名井神社
・梅宮大社

【奈良】
・唐招提寺
・薬師寺 御本尊
・薬師寺 玄奘三蔵
・薬師寺 吉祥天女
・薬師寺 水煙降臨
・東大寺 大仏殿
・東大寺 華厳
・東大寺 二月堂
・春日大社 ノーマル
・春日大社 第六十次式年造替
・興福寺 今興福力
・興福寺 南円堂
・如意輪寺
・吉水神社
・勝手神社
・金峯山寺
・吉野水分神社
・金峯神社
・法隆寺
・法隆寺 西円堂
・中宮寺
・法輪寺
・法起寺
・元興寺
・橿原神宮
・橘寺
・飛鳥寺
・飛鳥坐神社

【和歌山】
・総本山金剛峯寺
・高野山 金堂・根本大塔
・高野山 奥之院
・高野山 女人堂
・熊野那智大社
・青岸渡寺
・飛瀧神社
・伊太祁曽神社
・國懸神宮
・紀三井寺

【滋賀】
・比叡山延暦寺 文殊楼
・比叡山延暦寺 根本中堂
・比叡山延暦寺 大講堂
・比叡山延暦寺 阿弥陀堂
・比叡山延暦寺 法華総持院東塔
・比叡山延暦寺 釈迦堂
・比叡山延暦寺 横川中堂
・比叡山延暦寺 四季講堂(元三大師堂)
・三尾神社
・三井寺 金堂
・三井寺 黄不動明王
・近江神宮

【兵庫】
・生田神社
・廣田神社
・西宮神社
・湊川神社
・走水神社
・千姫天満宮
・男山八幡宮
・水尾神社
・兵庫縣姫路護國神社
・播磨国総社 射楯兵主神社
・甲子園素盞嗚神社
・北野天満神社

【岡山】
・吉備津神社
・吉備津彦神社

【鳥取】
・白兎神社
・宇倍神社
・聖神社
・鳥取東照宮(樗谿神社)

【広島】
・吉備津神社
・素盞嗚神社
・草戸稲荷神社
・明王院
・出雲大社 福山分社
・沼名前神社(鞆祇園宮)
・福禅寺(対潮楼)

【徳島】
・大麻比古神社

【福岡】
・太宰府天満宮
・筥崎宮(筥崎八幡宮)
・住吉神社

【沖縄】
・波上宮

■朱印帳■
・京都五社めぐり
・高野山 開創1200年記念霊木朱印帳
・平安神宮 御朱印帳
・全国一の宮御朱印帳
・住吉大社 御朱印帳
・建仁寺 御朱印帳
・今戸神社 御朱印帳
・大将軍八神社 御朱印帳
・晴明神社 御朱印帳
・東寺 御朱印帳
・明治神宮 御朱印帳
・大阪市交通局 オオサカご利益めぐり御朱印帳
・北野天満宮「宝刀展」記念朱印帳
・熊野那智大社 御朱印帳

最新のつぶやき
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ハーイ!ハーイ! ハイ!ハイ!ハイ!ハイ!