読み終わったミステリについてコメント。でも最近は脇道にそれぎみ。 このブログは水樹奈々さんを応援しています。

須田狗一「神の手廻しオルガン」 

神の手廻しオルガン神の手廻しオルガン
2017/5/17
須田 狗一

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★★★★★



 【内容紹介】

 ポーランド人強制収容所囚人の日記に隠された意外な真実とは!日本とポーランドで起きた二つの殺人事件。72年前のナチスの闇が、今、甦る。正義の在り方と家族愛を問う、社会派ミステリー!




 第9回ばらのまち福山ミステリー文学新人賞受賞作です。
 江戸川乱歩賞、横溝正史賞のいずれも受賞作の無かった年に、福ミスに本作のような力作が応募されたことは大変に嬉しいことです。島田荘司御大の言うように、優秀な本格ミステリが福ミスにも集まっていることの証左では無いでしょうか。
 前回受賞作『アムステルダムの詭計』に引き続いて、今回も社会派色の強いミステリです。72年前のポーランド人強制収容所で発生した事件と、現代の猟奇的殺人件の2つが、時間と、そして国境を越えて結びつく、大変にスケールの大きな作品です。
 ナチスによるポーランド侵攻という、我々日本人にとっては馴染みの薄い事件が中心に描かれているのですが、物語の根幹にあるのは、人と人との愛情であったり、人が持つ欲望であったりします。過去と現在の事件を通してそれらがクローズアップされていくため、犯人側、そして探偵側いずれにも感情移入しやすく、同じヒトとして物語に没入できることでしょう。
 ミステリのトリックと物語のテーマが渾然一体となっている点に驚くばかりです。ポーランド人強制収容所の囚人が書いた日記が作中作として挿入されます。このような伝聞ではなくリアルタイムな目線で当時の収容所の様子が描かれるのは、もはやこの点で新人離れしていて、作者の知見の高さをうかがわせます。島田荘司御大の傑作『アトポス』をも想起させる構成ですが、決して幻想方向には振り切れていません。この作中作で生じる違和感から、ある事実を見抜き、そこからさらに医学的知識を導入することである人物に到達する一連のロジックの流れが大変に美しいです。そしてこのミステリとしての詐術そのものが、犯人による犯行動機と密接にリンクするのがじつに巧妙です。「神の手廻しオルガン」が動機を生み、トリックを生み、ミステリとして完成するのですが、本作の場合はそれだけではないのです。
 この72年前の過去の事件におけるある人物の失敗が、反省として現在の事件において活かされるのです。ある女性が「神の手廻しオルガン」によって間違いを犯そうとするその瞬間、探偵役の「あなたはあなたの人生を生きるべきです。あなたの罪だけをつぐなうべきです。」という台詞にたいへん心を打たれました。時を超え国境を越えて描かれた事件でも、我々読者に訴えかけてくるものは大きいです。

 昨年の福山ばら祭のステージ上で島田荘司御大は、日本の推理小説の歴史は、本格派か社会派かの、そのいずれか一方に振り子が振り切れていた、それの繰り返しである(第一・ニの波→清張の呪縛→第三の波)とおっしゃっていましたが、本作『神の手廻しオルガン』は本格ミステリと社会派推理小説の二重の光輪を纏った、新たな時代――ポスト新本格の時代にふさわしい本格ミステリと言えるでしょう。パズルのように人物が動き、手掛かりのピースが当てはまり、謎が解かれるタイプのミステリでは味わえない感動があります。傑作です。強くおすすめします。
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[ 2017/05/24 02:53 ] 未分類 | TB(0) | CM(0)

宮西真冬「誰かが見ている」 

誰かが見ている誰かが見ている
2017/4/13
宮西 真冬

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★★★☆☆



 【内容紹介】

 夫婦にも親子にも恋人にも「裏」がある。女性4人が繰り広げる極限のサスペンス!千夏子…ブログに虚偽の「幸せな育児生活」を書くことが止められない主婦。結子…年下の夫とのセックスレスに悩む、アパレル店の店長。春花…ストレスで過食に走り、恋人との結婚だけに救いを求める保育士。柚季…優しい夫と娘に恵まれ、円満な家庭を築いているように見える主婦。それぞれの思惑が意外な形でリンクする時、絶望と希望の天秤が激しく揺れる。




 2年ぶりくらいのメフィスト賞受賞作です。
 メインとなる登場人物は女性4人で、それぞれ子供や夫に対して悩みを抱えています。似たような悩みを抱える女性たち視点人物が次々と入れ替わりながら物語が展開していきますが、不思議と混乱無く描かれている点が新人離れしています。
 作者は女性で、独身か既婚者かは分かりませんが、女性らしい視点、女性だから気付ける点が随所に盛り込まれているのも特徴です。男のわたしが読んでも、気づかなかったけど言われてみれば確かにそうだな、と結構ズキっとくる場面があります。たとえば「家事を手伝うよ」という妻への一言が、実は「手伝う」という言葉がもう自分の仕事ではないという思いの表れである、という感覚など。こういった女性ならではの視点が、4人の女性の関係を、ボタンを掛け違えたかのごとく、徐々にねじれさせていくのが本書の大きな魅力です。
 ブログなどのインターネットが幅を利かせているのも今ふうで、SNSをやっていたら感じる「自己満足」「見栄の張り合い」「相手の上に立ちたい」「いいね!をいっぱいもらいたい」とかいう心理が隠し立て無く描かれるもの良く、登場人物は女性ばかりですが、ツイッターやブログをやっている男のわたしでも、結構感情移入できてしまいます。
 そういえば、「妊娠菌の付いた妊娠米」や「陣痛の時に妊婦が描いた富士山とコウノトリの絵」がオークションサイトで取引されている出来事が最近ニュースになりましたね。出品者は不妊に悩む女性のために~という理由で出品していますが、本書を読むとそうとばかりは思えなくなってしまいます。それが良いとか悪いとかは別にして、感情を持つ人である以上、もはや仕方が無い点もあるのではないか、納得出来る部分もあり、そのニュースへの見方も変わってきます。

 後半にさしかかったところで、ひとつミステリ的なサプライズがありますが、その仕掛け一点で支えられている作品ではありません。サスペンスやミステリと言うより、どちらかと言うと文芸寄りの作品ではないかと思います。
 人が持つ裏の顔を結構えぐってくる作品ですが、気取ったところがなく、一周回ってある種の気持ちよさがあります。不快な感じにはなりませんでしたね。キレイ事ばかり並べ立ててお涙頂戴と言った小説よりずっと読み心地が良いです。おすすめです。
[ 2017/05/11 20:00 ] 未分類 | TB(0) | CM(0)

明利英司「憑きもどり」 

憑きもどり憑きもどり
2017/2/28
明利 英司

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★★★☆☆



 【内容紹介】

 高校生の長江美里は家庭教師のアルバイトをしていた。ある日、彼女の教え子である原田茜が深夜に刃物で他殺される。現場には不思議な文字が残されていた…。それから次々と起こる通り魔事件、被害者の共通点…。一体誰が?何の為に?茜が殺された夜、の真実とは…。瑞々しい高校生活を脅かす、謎と恐怖の旋律。




 福ミス作家の明利英司の作品。文庫書き下ろしでしょうか?なんでも既に映画化が決定していて、ヒロインの一人を演じる前田明日香さんのブログではクランクアップも終わったようです。知らない間に話が結構進んでいました。公開日や公開劇場はまだよく分からないのですが、劇場公開はそこまで遠くは無さそうです。
 近々福山で開催されるばら祭でも、この件について何か告知があれば良いのにな、と思います。

 さくっと読める短めの長編です。ホラーテイストが強く、というか普通にお化けが出てくるホラー小説と言っても良いです。そのうえ、ミステリとしてのサプライズも健在。終盤で明かされる真犯人には驚きました。しかし、序盤の展開で、たぶん結構多くの読者が「ある箇所」に違和感を覚えるのではないでしょうか。中学生のアルバイトで○○したんかい!と思わずツッコミを入れてしまう展開、これが実は真犯人迫る重要な手掛かりだったりするので油断なりません。その違和感を推し進めて推理していくと真犯人に到達することも可能で、ミステリとしても楽しめる作品です。
 物語として感心したのがクライマックスシーンです。女の子二人が抱きつくシーンが二つ出てきます。一方は別れを告げるものであるのに対し、他方は友情を確かめ合うものです。これら全く相反する想いを、同じ抱きつくシーンに込めてダブらせているのは絵的に綺麗でした。ガチガチのホラーで読者を怖がらせたかと思えば、このクライマックスでは涙無しでは読めない感動を与えて、短い長編ながらも起伏の大きな物語展開には満足度は高いです。

[ 2017/05/10 20:00 ] 未分類 | TB(0) | CM(0)

北里紗月「さようなら、お母さん」 

さようなら、お母さんさようなら、お母さん
2017/4/13
北里 紗月

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★★★★★



 【内容紹介】

 島田荘司選 第9回ばらのまち福山ミステリー文学新人賞優秀作!
 その女は「毒」だ。身体を蝕み、心を壊す。
 美しい義姉の周りで続発する死と災厄。兄を亡くした妹は、親友とともに、義姉の「本当の顔」に迫る。
 原因不明の奇病を患った兄は激痛に耐えかね、病院の窓から飛び降りて死んだ。兄の症状に納得がいかない妹の笹岡玲央は看護師から、義姉の真奈美が兄の腫れた足に巨大な蜘蛛を乗せていたと聞く。美しく聡明で献身的な義姉の「本当の顔」とは? 玲央の幼なじみの天才毒物研究者・利根川由紀が乗り出す!




 第9回ばらのまち福山ミステリー文学新人賞の優秀作です。
 読後感は決して良いものでは無く、そういう意味ではイヤミスと言えるかもしれません。福ミスの法則発動です。
 リーダビリティはあって、新人の割に読めるのですが、なんというのでしょう、季節柄こういうことを思うのかもしれませんが、作品全体が面接対策をしまくった新卒学生のように思えてなりませんでした。先に書いたイヤミス要素、毒物に関する専門性、ポスト新本格を意識したゲーム性の排除、良くも悪くも福ミス対策を打って描かれた作品であるというのが第一印象です。
 奇病によって命を落とす男性が冒頭に登場するのはたいへんキャッチーで、さらに容疑者の生い立ちを求めて故郷の島へと渡る展開はスケールに膨らみがあってワクワクします。子供に対する母親の愛情が物語の核となるのは、本書を読む全ての人間に対して訴求力があります。ミステリとしては十二分に読めるのですが、では本格ミステリとしてはどうなのでしょう、という本格ファンが従来より福ミスに対して抱くものと同じ問題に直面してしまうことでしょう。
 ハウダニットについては、専門的も専門的で、そんなものが実在するのか、ググっても確証のないレベルの方法が採られています。しかし、毒物に関する蘊蓄や、血清のない毒蜘蛛に対する治療法が伏線となっているため、凶器をピンポイントで指摘できずとも、犯人がどのような方法を採ったかを推測することは可能で、このあたりの専門性を本格ミステリに落とし込む設計は上手いと思いました。
 ホワイダニットに力点が置かれているように見せかけて、じつはそれは帯やあらすじなど周辺からの情報より推測可能だったりします。そのため、ホワイダニット単体での評価よりも、ホワイダニットとハウダニットの相乗効果で本格ミステリとしての評価を高める作品だと思います。というのも、ネタバレを避けて言えば、凶器の裏表が、愛情の裏表と重ねられているからです。これはミステリだからこそ可能な小説の表現方法で、ミステリの文法によって物語の主題が描かれる点はポイントが高いところです。
 プロローグがミスリードとして機能していること、さらに展開を追うごとに犯人候補が入れ替わる展開を考えると、フーダニットの愉しみも疎かにされていません。
 全体としては福ミスらしい作品と言えると思います。

[ 2017/04/21 02:23 ] 未分類 | TB(0) | CM(0)

早坂吝「双蛇密室」 

双蛇密室双蛇密室
2017/4/6
早坂 吝

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★★★★☆



 【内容紹介】

 「蛇の悪夢」に関わる「地と天」の密室。
 過去の扉を「援交探偵」が開く!

 前代未聞の大仕掛けでミステリランキングを席巻する「らいちシリーズ」新作!

 「援交探偵」上木らいちの「お客様」藍川刑事は「二匹の蛇」の夢を物心付いた時から見続けていた。
 一歳の頃、自宅で二匹の蛇に襲われたのが由来のようだと藍川が話したところ、らいちにそのエピソードの矛盾点を指摘される。
 両親が何かを隠している?
 意を決して実家に向かった藍川は、両親から蛇にまつわる二つの密室事件を告白された。
 それが「蛇の夢」へと繋がるのか。
 らいちも怯む(!?)驚天動地の真相とは?




 援交探偵・上木らいちシリーズの最新長編です。タイトルにばばーんと「密室」と銘打っているだけあって、密室事件2つが描かれる、割とシンプルな本格ミステリです。分量も少なめでサクッと読めます。
 しかし、その密室には前例の無い前代未聞の密室トリックと犯人が描かれているため、きっと本格ミステリファンの心を満たしてくれることでしょう。ワンアイデア炸裂のため、むしろ今作のようなコンパクトさとは好相性と言えるかもしれません。
 蛇をめぐるロジックは面白くて、さすが謎解きの筋の良さを見せつけてくれますが、本作の場合、むしろ「援交探偵」シリーズらしいプロセスを経て真相へと到達する方に魅力を感じました。密室トリックについても、シリーズのどの段階でのそのトリックを思いついたのだ、と考えてしまうくらい、密室トリックが本シリーズに馴染んでいるところも高ポイントです。他の作家が描くと、もっとホラー寄りになったり重いテーマになったりそうですが、それを上木らいちではサラッと明るく描けてしまうのも良いですね。
 話の展開として、後発の「天の密室」を先に読者の前に晒すことで「地の密室」のミスリードとして機能しているし、物語上「地の密室」「天の密室」が2つワンセットであることにも必然性を持たせていて、このあたりは抜かりなく創られています。
 ラスト一行が今後のシリーズの行方をますます楽しみにしてくれます。謎解きのプロセスと、そこから導かれる意外な真相、いずれもコンパクトな中にギュッと盛り込まれています。なによりも密室ミステリ史に名を残すレベルのトリックは必見です。
[ 2017/04/10 02:38 ] 未分類 | TB(0) | CM(0)

市川哲也「屋上の名探偵」 

屋上の名探偵屋上の名探偵
2017/1/21
市川 哲也

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★★★☆☆



 【内容紹介】

 最愛の姉の水着が盗まれた事件に、怒りのあまり首を突っ込んだおれ。残された上履きから割り出した容疑者には完璧なアリバイがあった。困ったおれは、昼休みには屋上にいるという、名探偵の誉れ高い蜜柑花子を頼ることに。東京から来た黒縁眼鏡におさげ髪の転校生。無口な彼女が見事な推理で瞬く間に犯人の名を挙げる!鮎川賞作家が爽やかに描く連作ミステリ。文庫オリジナル。




 鮎川賞作家の文庫オリジナルです。短編が4つ収録されています。

 「みずぎロジック」
 「人体バニッシュ」
 「卒業間際のセンチメンタル」
 「ダイイングみたいなメッセージのパズル」


 「みずぎロジック」は「Webミステリーズ!」初出。それ以外の3編は書き下ろしです。
 「みずぎロジック」はフーダニット、「人体バニッシュ」は衆人環視の中での人間消失、「卒業間際のセンチメンタル」はアリバイ崩し、「ダイイングみたいなメッセージのパズル」はダイイングメッセージを題材にしたミステリで、学園ものにしては濃い謎が揃っています。また創元らしく、殺人事件を描いていない日常の謎としても捉えることができます。そんな殺人事件無しのミステリ作品の中で「ダイイングみたいなメッセージのパズル」は異色です。ロジックに関しても本作が収録作中いちばん力が入っている印象です。作中では自著『名探偵の証明』のアリバイ講義の引用なんかもあって、ダイイングメッセージに対する並々ならぬこだわりが感じられます。ただ、作中人物も指摘しているように、ダイイングメッセージの書き手が生きている状態でダイイングメッセージをあれこれ解釈し、犯人探しをする様は、やっぱりどうしても推理をゲームの域にまで貶めているように思えてなりません。「犯人への牽制」と作中では説明され、それが友を思う気持ちにまで話が発展するのですが、むむむ?そうなんですか?と個人的にはあまり納得できない理由でした。
 過去に一癖ある少女探偵をブレーンとして、男の子が人前での謎解きを肩代わりする様子に、学園青春もの特有の恋愛模様を感じ取ることはできます。しかしストレートではなくて、主人公の男の子は重度のシスコンで、何故に何故だか、事件関係者も同性愛者であったり、主人公と同じシスコンであったりと、マイノリティな恋愛感情をもつキャラクターが、学園モノという狭い世界の中に高密度にひしめいているのには少し抵抗がありました。物語の中心にこのような人間関係が隠されているため、イラスト表紙から感じられる間口の広さとは裏腹に、実際読んでみると想像以上にとっつきにくい作品でした。論理的謎解きにこだわった本格ミステリの方向性は非常に好感が持てるのですが…。
[ 2017/02/03 01:33 ] 未分類 | TB(0) | CM(0)

一田和樹「原発サイバートラップ リアンクール・ランデブー」 

原発サイバートラップ リアンクール・ランデブー原発サイバートラップ リアンクール・ランデブー
2016/8/8
一田 和樹

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★★★★☆



 【内容紹介】

 韓国の原発がハッキングされ、放射性廃棄物をつり下げた気球が空に浮かんでいる。これが破壊されれば日本が最大の被害を受けることになる。が、日本は表向き手出しできない。ハッカー集団にアメリカ軍需企業も巻き込んで対応を急ぐのだが…「犯人」は、事件をどこへ着地させるつもりなのか。想定外の危機に日本は何ができるのか。セキュリティの陥穽を突くサイバーサスペンス!




 サイバーミステリならこの御方、福ミス作家の一田和樹さんの新作は原発をターゲットにしたミステリです。
 作者の持ち味が遺憾なく発揮された一作です。
 タイトルの「リアンクール」というのは、日本の竹島のことで、原発については日本のではなく韓国のものがターゲットにされます。韓国の原発、というと海の向こうのもので危機感が湧きにくいところですが、じつはその距離は意外と近く、先の東日本大震災でメルトダウンを起こした福島第一原発~東京間よりも日本から近いところにあるそうです。つまり韓国の原発(第二古里原発)が破壊されるともろに日本に被害を及ぼすのです。
 このような「対岸の火事」と思わせがちな微妙な距離、さらにコンピューターやインターネットといったリアルタイムで何が行われているのか把握しにくく、(わたしなんかにとっては)仕組みが理解し難いものを利用して“戦争”が行われるため、ミステリとしてのホワットダニット的興味がそのまま不安感や恐怖にもつながりサスペンスを盛り上げます。一方、目に見えて(わたしなんかにとっても)理解しやすい事象として描かれるのが、韓国側から日本へと行われる竹島の独立と承認であったり、第二古里原発上空に浮かぶ使用済み核燃料を吊るした大量のドローンなのです。ドローンのランプが光った!ネット民が突撃した!ツイッターで大量にリツイートされてる!といったキャッチーな出来事の数々に目を奪われているうちに、犯人の奸計に知らず知らずはまっていくのが面白いです。
 現代の戦争はヤリを持って行うものではない、というのがよく分かるミステリで、高度なカードゲームを見せられている印象をうけました。セキュリティホールの情報がどれほどまで重要な切り札となりうるのか描かれていて、いかに相手にその切り札を使わせ、自分のそれを温存するか、駆け引きのある戦略が楽しいです。クライマックスにおいて、誰もレイズしてこず、こちらもスリーカードあたりで勝てるかな、と思って手札をオープンした時、意外な人物の手にロイヤルストレートフラッシュが揃っているのが衝撃的です。

 本書の最後のページに査読された専門家の名前が記載されています。おそらく本書で描かれたテロ行為は条件が揃えば実行可能なのだろうな、という予感を嫌でも読者にさせる一ページで、フィクションがノンフィクションに片足を突っ込む恐怖が味わえます。


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[ 2016/08/17 00:02 ] 未分類 | TB(0) | CM(0)
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プロフィール

ウイスキーぼんぼん

Author:ウイスキーぼんぼん

初めて読んだミステリは『そして扉が閉ざされた』(岡嶋二人)。以来ミステリにどっぷりハマリ中。
「SUPER GENERATION」で水樹奈々さんに興味を持ち「Astrogation」で完全にハマる。水樹奈々オフィシャルファンクラブ「S.C. NANA NET」会員。

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好きな推理作家:島田荘司ゴッド
嫁本:アトポス)
好きな歌手:水樹奈々ちゃん
嫁曲:SUPER GENERATION)
誕生日:ヘレン・マクロイとおなじ
体型:金田一耕助とおなじ

本年度のお気に入り(国内)
御朱印巡り
集めた御朱印です。
(各都道府県参拝した順)
※記事に出来ていない寺社多数です!鋭意執筆中!
※リンクが切れているものは下書き状態です。しばらくしたら公開されます。

【東京】
・靖國神社(その1)
・靖國神社(その2)
・東京大神宮
・浅草寺 御本尊
・浅草寺 浅草名所七福神
・浅草神社
・浅草神社 浅草名所七福神
・今戸神社
・明治神宮(その1)
・明治神宮(その2)
・増上寺
・烏森神社
・神田明神
・乃木神社

【愛知】
・熱田神宮
・一之御前神社、別宮八剣宮
・真清田神社
・大神神社
・大須観音

【大阪】
・大阪天満宮
・豊國神社
・四天王寺
・住吉大社
・坐摩神社
・法善寺
・難波八阪神社
・道明寺天満宮
・一心寺
・安居神社
・生國魂神社
・生國魂神社 干支(申)
・生國魂神社 干支(酉)
・三光神社
・玉造稲荷神社
・今宮戎神社
・方違神社
・難波神社
・露天神社(お初天神)
・太融寺
・大鳥大社
・石切劔箭神社
・枚岡神社
・慈眼寺
・久安寺

【京都】
・鈴虫寺
・松尾大社(その1)
・月読神社
・天龍寺
・御髪神社
・常寂光寺
・二尊院
・野宮神社
・下鴨神社(賀茂御祖神社)
・河合神社(下鴨神社摂社)
・盧山寺
・梨木神社
・白雲神社
・護王神社
・御霊神社
・下御霊神社
・平安神宮
・銀閣寺(慈照寺)
・金閣寺(鹿苑寺)
・龍安寺
・八坂神社
・八坂神社 美御前社
・八坂神社 又旅社
・八坂神社 冠者殿社
・八坂神社 青龍
・八坂神社 祇園御霊会
・伏見稲荷大社 本殿
・伏見稲荷大社 奥社奉拝所
・伏見稲荷大社 御膳谷奉拝所
・三十三間堂
・養源院
・東福寺
・建仁寺
・南禅寺(その1)
・南禅寺(その2)
・永観堂(禅林寺)
・北野天満宮
・北野天満宮 宝刀展限定「鬼切丸」
・大将軍八神社
・法輪寺(達磨寺)
・妙心寺
・妙心寺 退蔵院
・仁和寺
・建勲神社
・晴明神社
・御金神社
・八大神社
・豊国神社
・由岐神社
・鞍馬寺
・貴船神社
・六道珍皇寺
・六道珍皇寺 六道まいり
・六波羅蜜寺 都七福神
・安井金比羅宮
・知恩院 徳川家康公四百回忌
・青蓮院門跡
・青蓮院門跡 近畿三十六不動尊霊場
・粟田神社
・鍛冶神社(粟田神社末社)
・東寺
・上賀茂神社(賀茂別雷神社)
・大徳寺 本坊
・大徳寺 高桐院
・今宮神社
・妙顯寺
・三千院 御本尊
・三千院 西国薬師四十九霊場第四十五番
・三千院 聖観音
・実光院
・勝林院
・宝泉院
・寂光院
・宝厳院
・大覚寺
・清涼寺
・祇王寺
・化野念仏寺
・落柿舎
・城南宮
・飛行神社
・石清水八幡宮
・岡崎神社
・長岡天満宮
・平野神社
・法金剛院
・高台寺
・清水寺
・宝蔵寺 阿弥陀如来
・宝蔵寺 伊藤若冲
・勝林寺
・平等院 鳳凰堂
・宇治神社
・宇治上神社
・智恩寺
・元伊勢籠神社
・眞名井神社

【奈良】
・唐招提寺
・薬師寺 御本尊
・薬師寺 玄奘三蔵
・薬師寺 吉祥天女
・薬師寺 水煙降臨
・東大寺 大仏殿
・東大寺 華厳
・東大寺 二月堂
・春日大社 ノーマル
・春日大社 第六十次式年造替
・興福寺 今興福力
・興福寺 南円堂
・如意輪寺
・吉水神社
・勝手神社
・金峯山寺
・吉野水分神社
・金峯神社
・法隆寺
・法隆寺 西円堂
・中宮寺
・法輪寺
・法起寺
・元興寺
・橿原神宮
・橘寺
・飛鳥寺
・飛鳥坐神社

【和歌山】
・総本山金剛峯寺
・高野山 金堂・根本大塔
・高野山 奥之院
・高野山 女人堂
・熊野那智大社
・青岸渡寺
・飛瀧神社
・伊太祁曽神社
・國懸神宮
・紀三井寺

【滋賀】
・比叡山延暦寺 文殊楼
・比叡山延暦寺 根本中堂
・比叡山延暦寺 大講堂
・比叡山延暦寺 阿弥陀堂
・比叡山延暦寺 法華総持院東塔
・比叡山延暦寺 釈迦堂
・比叡山延暦寺 横川中堂
・比叡山延暦寺 四季講堂(元三大師堂)
・三尾神社
・三井寺 金堂
・三井寺 黄不動明王
・近江神宮

【兵庫】
・生田神社
・廣田神社
・西宮神社
・湊川神社
・走水神社
・千姫天満宮
・男山八幡宮
・水尾神社
・兵庫縣姫路護國神社
・播磨国総社 射楯兵主神社
・甲子園素盞嗚神社
・北野天満神社

【岡山】
・吉備津神社
・吉備津彦神社

【鳥取】
・白兎神社
・宇倍神社
・聖神社
・鳥取東照宮(樗谿神社)

【広島】
・吉備津神社
・素盞嗚神社
・草戸稲荷神社
・明王院
・出雲大社 福山分社
・沼名前神社(鞆祇園宮)
・福禅寺(対潮楼)

【徳島】
・大麻比古神社

【福岡】
・太宰府天満宮
・筥崎宮(筥崎八幡宮)
・住吉神社

【沖縄】
・波上宮

■朱印帳■
・京都五社めぐり
・高野山 開創1200年記念霊木朱印帳
・平安神宮 御朱印帳
・全国一の宮御朱印帳
・住吉大社 御朱印帳
・建仁寺 御朱印帳
・今戸神社 御朱印帳
・大将軍八神社 御朱印帳
・晴明神社 御朱印帳
・東寺 御朱印帳
・明治神宮 御朱印帳
・大阪市交通局 オオサカご利益めぐり御朱印帳
・北野天満宮「宝刀展」記念朱印帳
・熊野那智大社 御朱印帳

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