読み終わったミステリについてコメント。でも最近は脇道にそれぎみ。 このブログは水樹奈々さんを応援しています。

水樹奈々様によるラジオミステリドラマ「7デイズ・ミステリィ ~水樹奈々失踪事件~」始まったよ! 

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水樹奈々のMの世界|7デイズ・ミステリィ〜水樹奈々失踪事件〜:DAY1|AuDee(オーディー)
https://audee.jp/program/show/16851




 こんにちは!
 管理人のウイスキーぼんぼんです。

 水樹奈々さんによるオリジナルラジオドラマ『7デイズ・ミステリィ』がAuDeeより配信中です。
 
 9/28(月)の放送から、1日1話ずつリアルタイムで進行してゆく7日間のストーリーで、すでに何話か公開されています。

 この記事を書いている段階では「DAY2」まで公開されており、導入部の「DAY1」では、秋の夜長には「推理小説」なんか良いんじゃないかな~?と水樹奈々さんが「奈々ソン ミステリー6選」と題して、自身のミステリっぽい楽曲を6曲セレクト!
 そして最後には「今回の放送、よ~~~くradikoのタイムフリーで聴いてみて下さいね。それではまた来週~」と意味ありげな奈々さんの言葉で放送終了します。
 続く「DAY2」では、いよいよミステリドラマが始まり、奈々さんの失踪で幕を開けます。どうやら「DAY1」の音源は、奈々さんの失踪後にラジオ局に届いた音源なんだそうです。「DAY1」の音源に違和感を感じたスタッフが、奈々さんの行方を推理し始めます。

 一話完結型のミステリではなく、奈々さんの失踪が大きな謎として描かれて、それを7話(7日)かけて解決まで持っていくという展開のようです。

 AuDeeのサイトで無料公開されているので、だれでも視聴できます。
 スタッフはリスナーによる集合知に頼り、失踪事件を解決まで導く算段のようで、深水黎一郎さんの『犯人選挙』を彷彿とさせます。たぶんそこまで凝ったミステリとしての狙いは無いのだろうとは思いますが、コロナ禍での自粛期間中の新しい試みのようで面白いです。

 奈々さんは「闇夜にささやく~探偵 相楽恭一郎~」なんかでミステリゲームのキャラクタを演じた過去はありますが、ミステリの企画で奈々さんがガッツリと絡むのは、今回が初めてなのではないかと思います。


 【関連リンク】
 モールス符号 - Wikipedia
 https://ja.wikipedia.org/wiki/モールス符号



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[ 2020/09/29 22:22 ] 【気になった事】 | TB(0) | CM(0)

映画「クリーピー 偽りの隣人」 

クリーピー 偽りの隣人クリーピー 偽りの隣人
2時間10分
2016
西島秀俊 (出演), 竹内結子 (出演), 黒沢清 (監督)

商品詳細を見る

★★★★☆



 【内容紹介】

 犯罪心理学者の高倉は、刑事・野上から6年前に起きた一家失踪事件の分析を頼まれる。しかし事件唯一の生き残りである長女・早紀の記憶をたどるも、核心にはたどりつけずにいた。一方、高倉が愛する妻・康子と共に最近引っ越した新居の隣人は、どこか奇妙な家族だった。病弱な妻と中学生の娘・澪をもつ主人・西野との何気ない会話に翻弄され、困惑する高倉夫妻。そしてある日、澪が告げた言葉に、高倉は驚愕する。「あの人、お父さんじゃありません。全然知らない人です。」未解決の一家失踪事件と、隣人一家の不可解な関係。2つの繋がりに高倉が気付いた時、康子の身に深い闇が迫っていた…。






 竹内結子と香川照之が共演する映画です。
 前川裕による第15回日本ミステリー文学大賞新人賞受賞作『クリーピー』を映画化した作品。原作は未読です。

 アマゾンの評価は全然ですが、個人的には思ったよりも全然楽しめました。原作が新人賞受賞作だけあってか話の筋はしっかりしているし、頭のネジがどこか緩んでいるなんだかヤバい男を演じる香川照之や、幸せな結婚生活が徐々に隣人に侵食されて堕ちていく竹内結子の演技など、出演者の演技が素晴らしいので見入ってしまします。香川照之の、ある面では飽きっぽいところを見せる一方で、家の配置など変なところにこだわりを持つ点など、直接的な説明はないもの、よくよく観察してると常人とは違う動きをしているのは背筋が凍ります。
 川口春奈についても、彼女はいったい当時何を見たのか、なぜ記憶喪失なのか、といった謎に完全な説明は行われませんが、それが観るものに想像の余地を与えており、そこからある可能性に思い至ってしまう仕掛けは巧妙で、恐ろしさを倍増させています。
 ジャンルとしてはミステリというよりもホラー寄りの作品ですが、幽霊などの超自然現象でビビらせるのではありません。恐怖の対象が直ぐ側の隣人というのが、身近すぎて怖すぎるし、しかも知らぬ間に相手の手中に堕ちていき、気づけば手遅れ、という展開を上手く観せています。
 『半沢直樹』の最終回を観た今となっては、最後は思わず「あばよ!」と言いたくなるラストでした。最後まで胸糞悪い展開が続いたのですが、ラストの決着で少しはスカッとします。香川照之は相変わらず良いやられ役です。
 竹内結子も、憑き物が堕ちたかのような表情に戻るラストシーンは見事な演技でした。精神異常者を演じる香川照之ばかりではなく、善良な人間が西島秀俊側から香川照之側へ徐々に「堕ちていく」竹内結子の好演により本作は成立しています。
 心よりご冥福をお祈りします。

[ 2020/09/29 00:32 ] 【映像】 | TB(0) | CM(0)

映画「空飛ぶタイヤ」 

空飛ぶタイヤ空飛ぶタイヤ
2時間
2018

長瀬智也 (出演), ディーン・フジオカ (出演), 本木克英 (監督)

商品詳細を見る

★★★★☆



 【内容紹介】

 ある日突然起きたトレーラーの脱輪事故。整備不良を疑われた運送会社社長・赤松徳郎(長瀬智也)は、車両の欠陥に気づき、製造元である大手自動車会社のホープ自動車カスタマー戦略課課長・沢田悠太(ディーン・フジオカ)に再調査を要求。
 同じ頃、ホープ銀行の本店営業本部・井崎一亮(高橋一生)は、グループ会社であるホープ自動車の経営計画に疑問を抱き、独自の調査を開始する。それぞれが突き止めた先にあった真実は大企業の“リコール隠し”―。
 果たしてそれは事故なのか、事件なのか。






 『七つの会議』に続いて、池井戸潤氏の映画を。作者の同名小説の映画化で、著者初の映画化作品のようです。
 『半沢直樹』や『七つの会議』のような、出演者を歌舞伎俳優で固めるようなことはしておらず、オーバーアクションなどクセのある演技は影を潜めていて、比較的落ち着いて見れます。
 筋運びは安定の池井戸作品のそれで、虐げられた弱者が最後の最後に巨悪を討って一発逆転というもので、見終わった後はスカッと気分の良い余韻に包まれます。
 ただ、余韻については少し複雑で、本作の場合、実在の事故…いや事件をモデルにしています。モデルになったのは「三菱リコール隠し事件」という事件で、結構細かい部分までなぞっているため、見る人が見れば、一発で作中の「ホープ自動車」が「三菱自動車工業」のことを指していることが分かるはずです。
 本作では長瀬智也が社長を務める「赤松運送」が濡れ衣を晴らすところまでが描かれていますが、実際の「三菱リコール隠し事件」を起こした三菱自動車は現在ものうのうと存在し続けており、この現実を映画の結末の「その後」として重ね合わせてしまうと、手放しで「スカッと爽快」という気持ち良さにはならず、なかなか複雑だったりします。

 エンタメドラマとしてはよく出来ていて、配役もバッチリなのではないかと思います。特に長瀬智也は好演で、睨みを利かせた怒りの表情はジャニーズとは思えない(俳優として良い意味で)し、ネクタイ姿もよく似合っています。2002年フジテレビの『ビッグマネー』同様、こういった企業エンタメには適した役者なのではないかと思います。日本の企業風土や組織文化を描いた作品として「邦画」としても出来が良いのではないかと思います。

[ 2020/09/27 20:48 ] 【映像】 | TB(0) | CM(0)

京都・嵐山のモンキーパークいわたやまに行きました。 

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 こんにちは!
 管理人のウイスキーぼんぼんです。

 シルバーウィークに京都・嵐山のモンキーパークいわたやまに行きました。
 嵐山とったら渡月橋に紅葉に、天龍寺の庭園に、竹林の小径に…といったイメージが強いですが、お猿さんがたくさん生息しているモンキーパークも忘れてはなりません。
 以前からずっと気になっていた場所なのですが、古都京都へ猿を見に行くのはなんだかもったいないような気がして、行けていませんでした。
 外国人観光客には絶大な人気を誇る場所でもあり、インバウンド需要が復活する前に行ってみることにしました。


[ 2020/09/23 19:20 ] 【おでかけ】 | TB(0) | CM(0)

映画「七つの会議」 

七つの会議七つの会議
1時間58分
2019

野村萬斎 (出演), 香川照之 (出演)

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★★★★☆



 【内容紹介】

 都内にある中堅メーカー・東京建電。営業一課の万年係長・八角民夫は、所謂“ぐうたら社員”。課長の坂戸からはその怠惰ぶりを叱責されるが、ノルマも最低限しか果さず、定例の営業会議では傍観しているのみ。ある日突然、社内で起こった坂戸のパワハラ騒動。 そして、下された異動処分。訴えた当事者は八角だった。そんな中、万年二番手に甘んじてきた原島が新課長として着任する。成績を上げられずに場違いにすら感じる原島。誰しもが経験するサラリーマンとしての戦いと葛藤。だが、そこには想像を絶する秘密と闇が隠されていた。






 池井戸潤氏の同名小説の映画化。池井戸作品というと『半沢直樹』が真っ先に思い浮かびますが、本作は半沢第2シーズンよりも前に劇場公開された作品で、まるで視聴者の「半沢ロス」を埋めるかのように役者が『半沢直樹』出演メンバーで固められています。
 日本の民間企業とそこで働くリーマンを描いた企業エンタメ作品で、『半沢直樹』と同じテンションで視聴することが出来ます。香川照之演じる北川については、サラリーマンとしての信念を貫こうとする姿が見られる後半、大和田常務というよりもむしろあの半沢直樹の姿とダブって見えてなかなか良いやつだったりします。同じ役者でも、こういった『半沢』とは微妙なポジションの違いがあって面白いところです。

 本作でもスポットが当たるのは「帝国航空」だったりして、問題抱えすぎだろ、と思わずツッコミを入れたくなりますが、問題の本質はそこではありません。「世間の常識より社内の常識の方を上に置く」という日本の風土、そして日本のサムライリーマンたちが抱える問題を深くえぐり、それが未曾有の大問題にまで発展する様子を描いたのが本作です。大問題にまで発展するきっかけ、大河の一滴となるのが、上司から部下に対するたった一言だったりするのがよく描かれています。
 「24時間働けますか?」「モーレツ社員」といった言葉が流行った時代、我が国が高度経済成長期を向かえたのは事実ですが、良いことばかりではなくて、過ぎ去ったその時代をいまいちど省みる時代が来ているのだろう、と本作品を観て改めて感じます。そしてそれをエンタメ作品として楽しむ余裕が出来ているのは良いことでは無いかと思います。『半沢直樹』でも共通して描かれているテーマですが、高度経済成長によく囁かれたいわゆる「企業戦士」の言葉を再定義し、こうあるべきという生き方、信念を示してみせる良作だと思います。




七つの会議七つの会議
2016/2/19

池井戸 潤

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[ 2020/09/21 19:33 ] 【映像】 | TB(0) | CM(0)

映画「TENET テネット」 

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映画『TENET テネット』オフィシャルサイト
https://wwws.warnerbros.co.jp/tenetmovie/index.html


★★★★★



 【内容紹介】

 ウクライナでテロ事件が勃発。出動した特殊部隊員の男(ジョン・デヴィッド・ワシントン)は、捕らえられて毒を飲まされる。しかし、毒はなぜか鎮静剤にすり替えられていた。その後、未来から「時間の逆行」と呼ばれる装置でやって来た敵と戦うミッションと、未来を変えるという謎のキーワード「TENET(テネット)」を与えられた彼は、第3次世界大戦開戦の阻止に立ち上がる。






 この自粛期間中に映画をいろいろと観て、クリストファー・ノーラン監督の映画が個人的にどれも面白かったので、新作の『TENET』は映画館に足を運んで観てみました。ノーラン監督の映画を劇場で観るのは初めてです。

 正直、映像表現の表現可能領域を超えてしまっているものを映画にしてしまった、と言っても良いくらいの「あり得ないものが目の前に展開される」興奮に襲われる映画で、こんな未知なる世界へと連れて行ってくれる映画は初めてみました。こんな映画他に無いのではないかと思います。傑作でした。
 『インターステラー』が物理学と深く関わりを持つ映画だったのと同様、今作もそれは同様です。ただ理系要素多大の『インターステラー』が人間の根本的な感情に訴えかけているのに反して、本作のベースとなるのはスパイ映画であったりアクション映画であったりするので、『インターステラー』よりも受けが悪いのはなんとなく想像できます。日本人って理系嫌い多いですし。

 上映時間も2時間超えで、観ていて結構長かったように思われるのですが、複雑な時間の「順行」及び「逆行」を描きながらも、その割にテンポがやたらと早く、物語がスイスイ進むのが特徴です。上記のスパイ映画やアクション映画がベースにあるため、メカニズム的な説明に時間を割くのを避けているのだと思われます。「考えては駄目、感じるのです」といったような劇中での登場人物のセリフに従って、あまり深く考えずに観るものある意味正解なのかもしれません。

 出演している俳優の方も、脚本を読んでも難しすぎて分からず、何度もノーラン監督に説明を受けた、というようなエピソードを耳にしましたが、まさにその通り、はっきり言って、初見ですべてを理解するのは相当困難な作業だと思われます。
 「アルゴリズム」という装置を起動させてしまうと、この世界の時間の流れのすべてが「逆行」してしまい、今現在「順行」している時間の中を生きている我々は消滅していまう――これが劇中で「第三次世界大戦」といわれるもので、領土を奪い合った第二次世界大戦と違い、第三次は時間の奪い合いになるわけです。この大戦の勃発を阻止するために、主人公が立ち上がるのですが、「アルゴリズム」では無いにせよ、「回転ドア」という装置によって、個人単位での時間の「逆行」「順行」の切り替えは簡単に実現してしまっているのが物語をややこしくしているのです。しかし同時にそれは、本作を未知なる映像体験へと導く重大な要素です。
 物語前半は、時間が突然逆行したりして、この人達は何をやっているんだろう?と漠然とよく分からない展開が続くのですが、相棒のニールの口から「挟撃作戦」という言葉が出てから、いろんな事に合点が行き始めるのは面白いものです。最後まで観て全体が俯瞰され、そこで初めて整合が取れるシーンも多くあり、映画を観ている最中は漠然と「よく分からない」シーンが続くのは、映画の評価を下げるの減価事項になり得そうですが、とは言っても多分まともに評価するのには、開き直って二度観、三度観は必要だと思われます。オスロの空港での逆行戦闘なんて、終盤になってようやくどういったことが起こっていたのか説明されるのですが、「回転ドア」によって目まぐるしく時間の「順行」「逆行」が切り替わる戦闘は、やはりもう一回丁寧に見てひとつずつ動きを確認したいですね。あとクライマックスのスタルスク12における最終戦闘もそうで、こちらも細かい部分でギミック豊富。例えば「順行」「逆行」に板挟みにされたビルの爆破であるとか、特に立役者となった相棒のニールの動きですよね。彼の「順行」「逆行」の切り替えは、もう一回整理しながら観てみたいです。

 キャッチーな映像の連続なので大枠を理解するだけでも楽しめる作品ですが、『インセプション』なんかとは比べ物にならないくらい複雑な構造をもつ映画だと思われます。我々の想像限界と映像の表現可能領域を超えてしまった感が強い作品ですが、しかしこのような映画が生み出されてしまったのは事実です。多分ブルーレイが出たら購入すると思います。じっくり鑑賞してみたいです。

[ 2020/09/20 23:21 ] 【映像】 | TB(0) | CM(0)

井上真偽「ムシカ 鎮虫譜」 

ムシカ 鎮虫譜ムシカ 鎮虫譜
2020/9/11
井上 真偽 (著)

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★★★☆☆



 【内容紹介】

 スランプに悩む音楽大学の同級生グループが夏休みに訪れたのは瀬戸内海に浮かぶ小さな無人島「笛島」。そこには霊験あらたかな音楽の神が祀られているという。
 しかし、上陸し神社をお参りする彼らを待ち受けていたのは、なぜかカメムシの大群だった。さらにカマキリ、スズメバチ、ムカデ、そして……。
 次々と襲われる彼らの危機を謎の巫女たちが救う⁉
 虫がなぜ人を襲うのか、そして、虫の怒りを鎮める音楽「鎮虫譜」の真実とは?




 本格ミステリ大賞の候補作となる作品を生み出しながらも、昨年SFミステリとなる『ベーシックインカム』を世に放ち、読者を驚かせた作者。今年はさらに本作『ムシカ 鎮虫譜』にて冒険小説という新たなジャンルを読者の前に示してみせます。引き出しの多さにビックリしました。
 音楽大学生が孤島に上陸して、不思議な巫女に出会って、島に伝わる伝説を耳にし…という開幕はいかにも本格ミステリ然とした冒頭ですが、そこからは一転、物語はパニック小説へと転じます。敵となるのは島に生息する大量の虫で、森や川の中、洞窟などの大自然を舞台に物語は展開しながら、多種多様な虫たちと対決していきます。虫独特のグロテスクさを描きならも、奴らを「音」によって退治するのは美しく、読者の想像力を掻き立ててくるのが読書として楽しいです。
 しかし、大量の虫に襲われてピンチになる→楽器を駆使して虫を退治する→音を奏でた学生が一皮むけて成長する…という展開がワンセットとして、それを舞台や楽器、虫の種類を変えながら繰り返されるので、後半になると若干マンネリ感を覚えました。
 ミステリ作家としての作者の持ち味も健在で、終盤における世界を一転させるほどのどんでん返しによって、登場人物たちを囚えていた鎖を絶つ展開はとてもきれいな着地に思います。巻末に置かれながら「始ノ譜」と銘打たれた最終章は、物語の源泉、音の源泉に触れるようで、とても美しいワンシーンでした。

 本作は本格ミステリとしては薄味ですが、リーダビリティは抜群です。これほどのリーダビリティを有する物語が、いつか本格ミステリと結合したその時は、きっと大傑作が生まれるはずです。作者の引き出しの多さと、今後の可能性の大きさに胸躍る一冊でした。
[ 2020/09/19 01:10 ] 井上真偽 | TB(0) | CM(0)

柄刀一「ジョン・ディクスン・カーの最終定理」 

ジョン・ディクスン・カーの最終定理ジョン・ディクスン・カーの最終定理
2020/9/10
柄刀 一

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★★★☆☆



 【内容紹介】

 2006年、J・D・カーの生誕百周年の記念祭に伴い日本に上陸した幻の本――とある未解決犯罪実録集に、カーが解決を示唆する走り書きを残したことによって『カーの設問詩集』と呼ばれている一冊だ。そこには、巨匠は真相に至ったものの、なぜか未解決のままとなっている「ジョン・ディクスン・カーの最終定理」と呼ばれる不可能犯罪の概要が掲載されている。特別にこの本を持ち主から借り受けた大学生・友坂は、所属するゼミの教授や友人たちを別荘に集めて推理合戦を楽しむが、その後彼らは想像しえない“不可能犯罪"の渦中に巻き込まれる。短編「ジョン・D・カーの最終定理」を完全改稿のうえ長編化した傑作ミステリ、文庫オリジナルにて刊行。




 カーの生誕100周年を記念して刊行された『密室と奇蹟』がこの度文庫化されましたが、文庫化に際して、柄刀一さんの「ジョン・D・カーの最終定理」のみはスピンアウトされ、それが改稿の上に長編化されたものが本作です。
 アンソロジーの方はずいぶん前に刊行されたので、正直内容についてはあまり覚えてなく、短編バージョンと長編バージョンのいずれが優れているのかは比較できませんが、読み終わってみると良くも悪くも「長い短編」、あるいは「長い中編」という印象を受けました。
 カーが書物に記した走り書き――「フェルマーの最終定理」に引っ掛けた、いわゆる「ジョン・ディクスン・カーの最終定理」が中心の謎として描かれていますが、不可能犯罪の巨匠カーが残した謎とはいえど、長編一作支えるのには弱いように思いました。推理の翼を過去へと広げ、カーの「最終定理」を手掛かりに「フランドル魔弾事件」と「イーストエンド人体発火現象事件」の真相を突き止める展開は面白いものの、不可能演出に柄刀一氏らしい「リアルタイム性」の演出が無いため物足りなさを覚えます。それを補うためか、現代を舞台に密室殺人もえがかれたりして、こちらについては作者らしい、「登場人物の眼前で不可能犯罪が展開される」という華々しい演出で彩られるのがファンとしては嬉しいところ。ただ、登場人物たちは、これによって「フランドル魔弾事件」「イーストエンド人体発火現象事件」そして「現代の密室殺人」の3つを相手にしなければならなくなり、小説の展開としても「現代の密室殺人」を追いつつ、途中途中で「フランドル」と「イーストエンド」の過去の事件の謎解きが挿入されるため、テンポの悪さを感じると同時に、謎解きがいやに散漫な印象を受けました。
 たぶん長編ミステリでよく描かれる「連続殺人」のような、おのおのの殺人事件の手掛かりが束ねられ、大きな一つの真相を指し示す、という展開が生まれていないのが「散漫」という印象につながったのだと思います。その「束ねられる」こと自体にサプライズを仕込んでいるので、最終段階に至るまで事件同士のつながりを感じることができず、過去~現代と時間的なスケールは大きいものの、それに比例した「巨大な物語」を読んでいる満足感は得られにくかったです。

 個々の事件の不可能演出であるとか、謎解きについては、これぞ柄刀一氏の作品、といえるものばかりなので、久しぶりにこういう作品が読めたことはファンとしては満足です。
 『ゴーレムの檻』や『密室キングダム』のような柄刀マジックをまた見せてください。

[ 2020/09/15 21:16 ] 柄刀一 | TB(0) | CM(0)

映画「シャークネード」 

シャークネードシャークネード
1時間27分
2014

アイアン・ジーリング (出演), タラ・リード (出演), アンソニー・C・フェランテ (監督)

商品詳細を見る

★★★☆☆



 【内容紹介】

 人喰い鮫×巨大竜巻突如、カリフォルニア・ビーチを襲ったハリケーン。荒波と共に現れたサメが、人々を喰い尽くしていく。だが、それは恐怖の始まりにすぎず、 サメの大群を巻き込んだ巨大な竜巻が発生!未曾有の猛威が、アメリカを絶望の渦に陥れる!!






 映画にはさまざまなジャンルがあって、その中には“サメ映画業界”なる業界があるのだそうな。
 スティーヴン・スピルバーグ監督の『ジョーズ』シリーズの新作が途絶えてから盛んになった業界だそうで、いろんな形態のサメと人間を戦わせるパニック映画ばかりで、いずれもいわゆる「B級映画」に属されるとのこと。
 この週末に、アマゾンプライムビデオで本作『シャークネード』のセールがかかっていたので観てみることにしました。B級映画にしては評判が良く、わたしもスピルバーグ監督の『ジョーズ』は好きなので興味津々です。

 予算の都合か、それとも単純に技術力が追いついていないのか分かりませんが、CGにまず違和感を感じました。しかし「B級映画」として視聴してみると、それもなんだか許せてしまいます。むしろ、実写の人間と襲っているCGのサメを同一画面に映さなかったり、CGあるいは模型と思われるサメを思いっきり寄りで映したり、カメラの手ブレを思いっきり掛けてCGのサメを視聴者にじっくり観察させなかったり……と、このような手法(?)で、「サメが映っているけどドアップ過ぎたりブレ過ぎたりしてよく分からん」という印象を視聴者に与えて、CGの違和感を拭っているのが工夫されていました。こういう撮影の工夫が作品からにじみ出ているのは、これもある意味映画の面白さと言えるのではないかと思います。

 細かいことは良いんだよ、サメと人間のバトルを観せて楽しませてやる!とでも言わんばかり急展開とテンポの良さが潔いです。なぜこんなにサメが増殖してしまったのか?というメカニズム的な解明に時間が割かれることは一切ありません!助走も何もなく、開幕早々いきなりビーチで人間たちを襲い出すサメの様子が描かれるのはびっくりします。

 本家『ジョーズ』ではひたすら海洋の化物としてサメが描かれましたが、本作では竜巻に乗ってサメが上空から飛来してきます。海と空を征したサメに対して、人間に勝ち目はあるのか?というお話。
 途中に、ヒロインの女の子が放つ「サメは空からも降ってくるのよっ!」というセリフは冷静に考えておかしいですが、そのようなカオスが描かれるのが本作です。
 サメ側では空中での動きをコントロール出来ないはずなのに、ミサイルのごとく高精度に人間に突っ込んでくるのが笑えます。
 しかし、劇中の登場人物たちはめちゃくちゃ真剣で大真面目。視聴者と劇中人物との温度差を感じるのも、これもまた面白い展開です。

 もう都合の良い展開の連続ですが、結構視聴者が期待している展開が続くので満足度は高いです。
 ただしラストのオチについては意表を突かれてしまって、思わず「そうきたか」と感心しました。製作者側の「上手くまとめてやった感」が強く伝わってきて、短時間で「ハッピーエンド」へと畳み掛ける超速展開には思わず拍手です。

 好評なのかシリーズ化されているようなので、続きも観てみようと思います。

[ 2020/09/13 22:54 ] 【映像】 | TB(0) | CM(0)
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プロフィール

ウイスキーぼんぼん

Author:ウイスキーぼんぼん

初めて読んだミステリは『そして扉が閉ざされた』(岡嶋二人)。以来ミステリにどっぷりハマリ中。
「SUPER GENERATION」で水樹奈々さんに興味を持ち「Astrogation」で完全にハマる。水樹奈々オフィシャルファンクラブ「S.C. NANA NET」会員。

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好きな推理作家:島田荘司ゴッド
嫁本:アトポス)
好きな歌手:水樹奈々ちゃん
嫁曲:SUPER GENERATION)
誕生日:ヘレン・マクロイとおなじ
体型:金田一耕助とおなじ

本年度のお気に入り(国内)
御朱印巡り
集めた御朱印です。
(各都道府県参拝した順)
※記事に出来ていない寺社多数です!鋭意執筆中!
※リンクが切れているものは下書き状態です。しばらくしたら公開されます。

【東京】
・靖國神社(その1)
・靖國神社(その2)
・東京大神宮
・浅草寺 御本尊
・浅草寺 浅草名所七福神
・浅草神社
・浅草神社 浅草名所七福神
・今戸神社
・明治神宮(その1)
・明治神宮(その2)
・増上寺
・烏森神社
・神田明神
・乃木神社
・上野東照宮
・波除稲荷神社
・富岡八幡宮

【神奈川】
・鶴岡八幡宮
・建長寺
・高徳院(鎌倉大仏殿)
・長谷寺

【愛知】
・熱田神宮
・一之御前神社、別宮八剣宮
・真清田神社
・大神神社
・大須観音

【大阪】
・大阪天満宮
・豊國神社
・四天王寺
・住吉大社
・坐摩神社
・法善寺
・難波八阪神社
・道明寺天満宮
・一心寺
・安居神社
・生國魂神社
・生國魂神社 干支(申)
・生國魂神社 干支(酉)
・生國魂神社 干支(戌)
・三光神社
・玉造稲荷神社
・今宮戎神社
・方違神社
・難波神社
・露天神社(お初天神)
・太融寺
・大鳥大社
・石切劔箭神社
・枚岡神社
・慈眼寺
・久安寺
・多治速比売神社

【京都】
・鈴虫寺(その1)
・鈴虫寺(その2)
・鈴虫寺(その3)
・松尾大社(その1)
・月読神社
・天龍寺
・御髪神社
・常寂光寺
・二尊院
・野宮神社
・下鴨神社(賀茂御祖神社)
・河合神社(下鴨神社摂社)
・盧山寺
・梨木神社
・白雲神社
・護王神社
・御霊神社
・下御霊神社
・平安神宮
・銀閣寺(慈照寺)
・金閣寺(鹿苑寺)
・龍安寺
・八坂神社
・八坂神社 美御前社
・八坂神社 又旅社
・八坂神社 冠者殿社
・八坂神社 青龍
・八坂神社 祇園御霊会
・伏見稲荷大社 本殿
・伏見稲荷大社 奥社奉拝所
・伏見稲荷大社 御膳谷奉拝所
・三十三間堂
・養源院
・東福寺
・建仁寺
・南禅寺(その1)
・南禅寺(その2)
・永観堂(禅林寺)
・北野天満宮
・北野天満宮 宝刀展限定「鬼切丸」
・大将軍八神社
・法輪寺(達磨寺)
・妙心寺
・妙心寺 退蔵院
・仁和寺
・建勲神社
・晴明神社
・御金神社
・八大神社
・豊国神社
・由岐神社
・鞍馬寺
・貴船神社
・六道珍皇寺
・六道珍皇寺 六道まいり
・六波羅蜜寺 都七福神
・安井金比羅宮
・知恩院 徳川家康公四百回忌
・青蓮院門跡
・青蓮院門跡 近畿三十六不動尊霊場
・粟田神社
・鍛冶神社(粟田神社末社)
・東寺
・上賀茂神社(賀茂別雷神社)
・大徳寺 本坊
・大徳寺 高桐院
・今宮神社
・妙顯寺
・三千院 御本尊
・三千院 西国薬師四十九霊場第四十五番
・三千院 聖観音
・実光院
・勝林院
・宝泉院
・寂光院
・宝厳院
・大覚寺
・清涼寺
・祇王寺
・化野念仏寺
・落柿舎
・城南宮
・飛行神社
・石清水八幡宮
・岡崎神社
・長岡天満宮
・平野神社
・法金剛院
・高台寺
・清水寺
・清水寺(西国三十三所草創1300年記念)
・宝蔵寺 阿弥陀如来
・宝蔵寺 伊藤若冲
・勝林寺
・平等院 鳳凰堂
・宇治神社
・宇治上神社
・智恩寺
・元伊勢籠神社
・眞名井神社
・梅宮大社
・錦天満宮
・藤森神社(あじさい祭り限定)
・智積院
・御香宮神社
・神護寺
・西明寺
・高山寺
・大豊神社
・三室戸寺

【奈良】
・唐招提寺
・薬師寺 御本尊
・薬師寺 玄奘三蔵
・薬師寺 吉祥天女
・薬師寺 水煙降臨
・東大寺 大仏殿
・東大寺 華厳
・東大寺 二月堂
・春日大社 ノーマル
・春日大社 第六十次式年造替
・興福寺 今興福力
・興福寺 南円堂
・如意輪寺
・吉水神社
・勝手神社
・金峯山寺
・吉野水分神社
・金峯神社
・法隆寺
・法隆寺 西円堂
・中宮寺
・法輪寺
・法起寺
・元興寺
・橿原神宮
・橘寺
・飛鳥寺
・飛鳥坐神社
・般若寺

【和歌山】
・金剛峯寺
・金剛峯寺 六波羅蜜
・高野山 金堂・根本大塔
・高野山 奥之院
・高野山 女人堂
・高野山 徳川家霊台
・高野山 南院(波切不動尊)
・熊野那智大社
・青岸渡寺
・飛瀧神社
・伊太祁曽神社
・國懸神宮
・紀三井寺

【滋賀】
・比叡山延暦寺 文殊楼
・比叡山延暦寺 根本中堂
・比叡山延暦寺 大講堂
・比叡山延暦寺 阿弥陀堂
・比叡山延暦寺 法華総持院東塔
・比叡山延暦寺 釈迦堂
・比叡山延暦寺 横川中堂
・比叡山延暦寺 四季講堂(元三大師堂)
・三尾神社
・三井寺 金堂
・三井寺 黄不動明王
・近江神宮
・滋賀縣護國神社

【兵庫】
・生田神社
・廣田神社
・西宮神社
・湊川神社
・走水神社
・千姫天満宮
・男山八幡宮
・水尾神社
・兵庫縣姫路護國神社
・播磨国総社 射楯兵主神社
・甲子園素盞嗚神社
・北野天満神社

【岡山】
・吉備津神社
・吉備津彦神社

【鳥取】
・白兎神社
・宇倍神社
・聖神社
・鳥取東照宮(樗谿神社)

【広島】
・吉備津神社
・素盞嗚神社
・草戸稲荷神社
・明王院
・出雲大社 福山分社
・沼名前神社(鞆祇園宮)
・福禅寺(対潮楼)
・厳島神社
・大願寺
・千光寺
・艮神社

【徳島】
・大麻比古神社

【福岡】
・太宰府天満宮
・筥崎宮(筥崎八幡宮)
・住吉神社

【沖縄】
・波上宮

■朱印帳■
・京都五社めぐり
・高野山 開創1200年記念霊木朱印帳
・平安神宮 御朱印帳
・全国一の宮御朱印帳
・住吉大社 御朱印帳
・建仁寺 御朱印帳
・今戸神社 御朱印帳
・大将軍八神社 御朱印帳
・晴明神社 御朱印帳
・東寺 御朱印帳
・明治神宮 御朱印帳
・大阪市交通局 オオサカご利益めぐり御朱印帳
・北野天満宮「宝刀展」記念朱印帳
・熊野那智大社 御朱印帳

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2016年の水樹奈々さん
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